金価格急落でも世界の金ETFに27億ドル流入!現物保有量は過去最高の4,275トンに

2026年10月、金価格が大幅に下落するなか、世界の金ETFには約27億ドル(約2,700億ドルではなく27億ドル)の資金が純流入していたことが明らかになりました。

ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)が11月5日に発表した最新統計によると、世界の金ETFが保有する現物金は前月から19トン増加し、過去最高となる4,275トンに到達しました。

一方、金価格の下落により運用資産総額は前月比6%減少しています。

つまり、価格が下がっても、世界全体では金ETFへの投資資金が流入し、現物保有量も増え続けていたのです。

10月の金ETF、4カ月連続の資金流入

WGCの発表による主要データは以下のとおりです。

指標 2026年10月
世界の資金純流入 +27億ドル
現物金保有量の増加 +19トン
世界の現物金保有量 4,275トン(過去最高)
運用資産総額 5,420億ドル
運用資産総額の前月比 −6%
資金流入の継続期間 4カ月連続

特に注目すべきは、金価格の下落にもかかわらず、ETFの現物保有量が増加した点です。

金ETFの資金フローと運用資産総額は、必ずしも同じ方向に動くわけではありません。

運用資産総額は保有する金の市場価値に左右されるため、新たな資金が流入していても、金価格がそれ以上に下落すれば減少します。

実際、10月は資金流入によって金保有量が増加した一方、価格の下落がその効果を上回りました。

さらに、2026年1月から10月までの累計資金流入額は約410億ドルに達し、過去3番目の高水準を記録しました。

同期間に世界の金ETF保有量は246トン増加しています。

米国では売却、中国と欧州では購入

今回の報告で興味深いのは、地域によって投資家の行動が大きく異なった点です。

地域 10月の資金フロー
欧州 +18億ドル
アジア +13億ドル
北米 −5億1,200万ドル
その他 +6,200万ドル

欧州では英国を中心にドイツ、スイス、フランスでも金ETFへの資金流入が続きました。

WGCによると、欧州では18週連続で資金が流入しており、財政不安や政治的不確実性を背景に金への資産分散が進んでいる可能性があります。

一方、アジアでは中国が引き続き資金流入をけん引しました。

中国の株式市場の下落や国債利回りの低下が、利息を生まない金の相対的な魅力を高めたとWGCは分析しています。

日本とインドの金ETFにも資金が流入しました。

AI関連株の下落が米国の金ETF売却につながった可能性

これとは対照的に、北米では約5億1,200万ドルが流出しました。

ただし、北米全体の流出は米国のETFによるもので、カナダでは資金流入が続いています。

WGCは米国の資金流出について、AI関連の設備投資に対する懸念からテクノロジー株が売られ、市場の混乱によって投資家が現金を確保するために金ETFを売却した可能性を指摘しています。

これは金の重要な特徴である「流動性の高さ」が、相場急落時には売却圧力として働くことを示唆しています。

また、米国債が安全資産として買われたことで、金から国債へ一部の資金が向かった可能性もあります。

ただし、10月最後の週には米国の金ETFも小幅な純流入に転じており、売却一辺倒だったわけではありません。

COMEX金先物では94トン相当の買い越し減少

金ETFで現物保有量が増加する一方、米国のCOMEX金先物市場では投資家のポジション縮小が進んでいました。

WGCによると、10月のCOMEX金先物のネットロング(買い越し)は94トン相当減少し、560トン相当となりました。

このうち、ヘッジファンドなどが含まれるマネージド・マネーのネットロングは53トン相当減少しました。

ここで注意が必要なのは、先物の買い越し94トン減少が、現物金94トンの市場放出を意味するわけではないことです。

先物のポジション調整と、現物に裏付けられた金ETFの保有量増加は、異なる市場で同時に発生しています。

今回のデータは、金市場全体で投資家が一斉に撤退したわけではないことを示しています。

金相場の反転を判断するうえで重要な材料に

今回のWGC統計から読み取れるのは、金価格の下落と現物裏付けETFへの投資需要が必ずしも一致しないという点です。

欧州とアジアでは買い需要が続き、世界全体の保有量は過去最高を更新しました。

一方、米国では株式市場の混乱に伴う流動性確保の売却が発生した可能性があり、COMEXでは先物の買い越しも減少しています。

こうした違いは、金市場における投資家の資金需要や投資目的が一様ではないことを示唆しています。

今後の金相場を判断するには、金ETFへの資金流入が継続するかに加え、米国の株式市場が安定するか、国債利回りがどう変化するか、COMEXの先物ポジション縮小が一巡するかが重要になります。

ただし、ETF保有量の増加だけで金価格の底打ちが確認されたわけではありません。

価格が下落しても現物裏付けETFの保有量が増えているという事実は、金への投資需要が全面的に崩れているわけではないことを示す重要な材料です。


出典: World Gold Council「Gold ETF Flows: October 2026」2026年11月5日

※金ETFの統計は2026年10月31日時点。資金フローの数値は概数であり、地域別合計と世界全体の数値には端数処理による差があります。

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