2025年までに世界の銀が枯渇?専門家が警告する3つの理由とは?

銀の供給不足はメインメディアですら、取り上げられるほど無視できないものとなってきてます。

ロイターですら、2024年以降銀不足が増加すると報道せざるを得ないほど供給不足です。

需要増加と供給減少により、世界の銀不足は2024年に増加する見通し

https://finance.yahoo.com/news/global-silver-deficit-rise-2024-121500769.html

そして新しく報道された情報によると、2025年までに銀の在庫が枯渇する恐れがあるという記事が出てきて海外の貴金属投資家の間で話題になってます。

記事元はコチラ エルサレム・ポスト

https://www.jpost.com/business-and-innovation/precious-metals/article-813589

記事の内容によるとソーラーパネル、EV自動車の市場急拡大、そして最も重要なのが軍事用途により想定以上に銀の消費が進むと予測しているようです。

技術の進展: 様々なハイテク産業における銀の需要が急増しています。エレクトロニクス、光起電力(太陽光発電)、自動車などの分野が銀の主要な消費者であり、その卓越した導電性と反射性を利用しています。

太陽光発電の増加:設置には大量の銀が必要です。2024年までに世界のPV設置が660 GWに達すると予想されており、銀供給への圧力が強まっています。

電気自動車(EV): 電気自動車へのシフトも重要な要因です。EVにおける銀の使用は、市場の拡大とともに急速に増加すると予想されています。

軍事用途(鍵となる要因):防衛技術: 軍事の銀需要も在庫の減少に大きく寄与しています。武器、通信機器、監視機器などの先進的な防衛システムにおいて、銀の優れた導電性と耐腐食性が重要です。

航空宇宙用途: 銀はその信頼性と効率性から航空宇宙分野でも広く使用されています。世界の防衛予算が拡大する中で、軍事および航空宇宙分野での銀消費が増加することが予想されます。

1,EV車の新型バッテリーによる需要

日本の報道だけ見ているとまるでEV車の需要が終わったかのように報道されていますが、トヨタも固体電池の開発に力を注いでおり、今後EVが普及するのはほぼ確実だと思われます。

特にリチウムイオン電池→全固体電池のバッテリーの進化によって、ブレイクスルーが起きる可能性が高いです。

トヨタとサムスンは2027年に固体電池の量産を開始することで合意しており、トヨタはその新技術をレクサスのプレミアムモデルに最初に導入する予定です。
https://www.rideapart.com/news/728316/samsung-ss-ev-battery-coming-soon/

サムスンが新型EV全固体電池バッテリー発表!銀が16,000トン消費される?

現在のスマホやEV車ノートパソコンなどほぼ全ての充電式電池に採用されているのがリチウム電池です。

リチウム式電池は発火や過充電、放電による容量が減ってしまうといったデメリットが多いです。

一方全固体電池は液体の電解質を使用せず、固体の電解質を使用するため発火・爆発のリスクが大幅に低減されるとしてます。

基本的な電池としての性能に関しても充電速度が速い、寿命が長いなどリチウム電池よりも遥かに性能が高いです。

(例えば、パナソニックが開発中の全固体電池は、充電率10%から80%までを3分で可能)

そしてこの固体電池は”銀-カーボン(Ag-C)複合層”が使われるという予測があります。

Kevin Bambroughさんの推測によると、最大で1台のEV車1kgの銀バッテリーが使われる可能性もあるとしています。

公式な数字はまだ入手できませんが、サムスンの固体電池には1セルあたり最大5グラムの銀が使用される可能性があり、通常のEVバッテリーパックには約200セルが含まれ、100 kWhの容量の場合、1台の車両に約1kgの銀が必要になるかもしれません。

世界の車両生産が年間約8000万台であることを考えると、その20%(1600万台)がサムスンの固体電池を採用した場合、年間の銀需要は約16,000トン(1600万台 × 1 kgの銀)が見込まれます。

これは、現在の世界の銀生産量(年間約25,000トン)の大部分を占めることになり、銀市場への大きな影響を示しています。

さらに、銀はすでに不足しており、太陽光発電産業からの工業需要が年間消費量を供給量を上回って押し上げています。

https://x.com/BambroughKevin/status/1822086925416644792

(あくまでも予想です)

実際にどの程度、新型の全固体電池に銀が使われるか?不明ですし、”最大で”5gであり実際は10分の1かもしれないとしています。

とはいえこれほどの性能が高いバッテリーが開発されれば、EV車のみに留まるとは考えにくいです。

もし、これがEV車でけでなく、ほぼ全人類が所持しているスマホに採用され、ノートパソコンに採用されだしたらとんでもない消費量になります。

ただ、全固体電池に関してはまだ開発段階で、EV車用に量産されるのも現時点では2027年開始なので、2025年までに銀が枯渇は時期尚早な気がします。

中国の電気自動車メーカーもEV車の弱点であった、走行距離、充電時間を克服してます。

中国の電気自動車メーカー Zeekr が新しい超急速充電バッテリーを披露した。

– 10 分で最大 80% 充電。
– 15分で300マイル(483km)以上の走行距離を追加

https://Twitter.com/RadarHits/status/1823695598077284629

おそらく現時点では固体電池ではないと思われますが、もしこれに全固体電池採用されたらもっと性能が上がるのは容易に想像できます。

2,ソーラーパネル需要は660GWに達する予想。

あまり知られてませんがソーラーパネルには銀が多く消費されます。

記事によると2024年末までに世界のソーラーパネル設置が660GWに到達すると予想しているようです。

660GWと言われてもいまいちピンと来ませんが、日本全体の平均発電能力が約114GW。

一般的な原子力発電所の瞬間最大出力は約1GWから1.5 GWです。660GWの発電量は、約440から660基の原子力発電所に相当します。

世界的な銀の需要など調査発表しているシルバーインスティテュートの発表でも、ソーラーパネルは急激に増加すると予想してます。

Silver Institute  ”World Silver Survey 2024″

特にインドや中国は国を上げてソーラーパネル事業に力を入れてますし、サウジアラビアなんかの産油国ですらソーラーパネルを大量に設置しています。

個人的には国土の狭い日本ではどうなのか?20~30年の寿命を迎えたあとのソーラーパネル廃棄問題はどうなるのか?は気になる点はありますが、このソーラーパネル設置の流れは変わらないようです。

ではなぜ世界各国は必死にソーラーパネルを設置を急ぎ、電力を欲しがるのか?

これは予想の1つですが今後起きるのは、AI、暗号通貨の覇権争いです。

AIや暗号通貨の計算には大量のGPUが必要になります。NVIDIAが暴騰しているのもこれが1つの要因ではあります。

そして、GPUは大量の電力が必要で、電力が確保出来なければAIも暗号通貨も役に立ちません。

現にブラックロックのCEOラリーフィンク氏ですら「G7諸国はAIを為に必要な電力が足りないと述べています。

「これらのAIデータセンターは、私たちが想像していた以上の電力を必要とするでしょう。私たちG7には十分な電力がありません」とフィンク氏。
「これは各国にとって競争上の大きな課題になると思います」

https://www.reuters.com/technology/blackrock-ceo-sees-giant-issue-europe-due-ai-power-needs-2024-05-17/

AIや暗号通貨を握ったものが世界を制する、つまり電力を制するものが世界を制するとも言えるわけです。

3,軍事用途が鍵となる。トマホークミサイル一発で500オンスの銀が必要?【重要】

ここまでは銀投資家であればある程度知っている内容かと思いますが、より重要な要素がこの”軍事需要”です。

意外なことですが、銀は軍事兵器などにも大量に使用されるとしてます。

銀の軍事用途

導電性と耐腐食性 – 銀は非常に高い導電性を持ち、かつ腐食に強いため、軍事機器の信頼性を高めるために使用されます。特に、精密な通信機器や電子戦システム、レーダー、GPSシステムなどでは不可欠です。

高性能なセンサー – 軍事用途では、敵の位置を特定するために高感度のセンサーが必要です。銀はその特性から、赤外線や熱画像センサー、ナイトビジョン装置などに使用されます。

バッテリー技術 – 銀は一部の高性能バッテリーに使用され、長時間の運用が求められる軍事機器の電源として重要です。特に、航空機や潜水艦などで使用されるバッテリーに見られます。

魚雷、ミサイル用のバッテリー – 魚雷やミサイルの推進、誘導、起動および制御システムに電力が必要です

特に魚雷やミサイルには銀亜鉛電池が利用され、トマホークミサイル一発の先端部分に500オンスの銀が必要という話もあります。

以下の資料は軍事用の銀亜鉛バッテリーを開発、製造しているインドのHBLパワーシステムズ株式会社のもです

https://hblbatteries.com/Torpedo-Battery-Brochure.pdf

PDFにはこのように書かれています。

  • HBLは1980年に銀亜鉛電池部門をR&Dユニットとして開始。
  • 過去35年間にわたり、AgO/Zn、AgCl/Mg、AgO/Al化学に関して広範な研究を行ってきました。
  • 防衛部門の用途向けに、いくつかの国内製の銀電池(一次電池および二次電池)を開発しました。
  • すべての電池は、証明された社内技術を利用しています。
  • 銀電池は、関連する国際的な海軍、空軍、軍事基準に適合するように設計・製造されています。
  • HBLは、カスタマイズされたアプリケーションに合わせたバッテリーの設計、開発、製造に関する専門知識を持っています。

インドの会社ではあるものの、他国の防衛機関などとも取引があり、インドのみならず世界中の兵器に利用されています。

以下はr/WallStreetSilverさんの資料ですが、AEG SUT 264というドイツのAtlas Elektronik社が製造の魚雷ですが、この魚雷にはHBL製の銀亜鉛電池が使用されています。

ドイツの兵器ですがチリ、インドネシア、コロンビア、韓国、エクアドル、エジプト、南アフリカ、ギリシャ、中華民国(台湾)、インド、ペルーなどの海軍で使用されているとしてます。

また、イタリアとフランスが共同開発した魚雷A244S魚雷、ロシア製の魚雷、インドの新型魚雷などでも使用されています。

インドの新型魚雷である「バルナストラ魚雷」はバッテリーだけで650kgの重さがあります。(バッテリー全体が銀の重さというわけではないですが)

https://Twitter.com/rWallStreetSilv/status/1807589058505257188/

そして以前から、海外の銀投資家で言われていたのが「トマホークミサイル一発につき500オンスの銀が使われている」という話です。

ロバート・キヨサキとも親交がある貴金属専門家アンディ・シェクトマン氏は動画の中で以下のように述べてます。

VRIC(バンクーバー資源投資カンファレンス)にて

「シルバーインスティテュートは、銀の供給と需要に関する統計から軍事用途を除外しています。

しかし、最近私の番組に出演したミサイル開発に携わった方が、トマホーク巡航ミサイルには500オンスの銀が使われていると教えてくれました。

トマホークミサイルの先端には15〜16キログラム、または16〜17キログラムの銀が含まれていること示す機密解除された写真等の証拠を提示し、証明してくれました。

銀は高技術兵器や宇宙関連の用途にも多く使われていますが、銀インスティテュートはこれを無視しています。」

トマホークミサイル一発に500オンスと言うと、モンスターボックス1箱分に相当します。

当然購入時期によって変動しますが、大まか日本円にして300~400万円程度です。

一般人的な感覚からすると高く感じますが、軍事兵器として考えると300~400万円は激安です。

というのも一発のトマホークミサイル価格は、1発あたり約182万ドル。150円換算だと2億7,300万円です。

感覚が狂いますが約3億円の中のたった400万円なので、全体からすればコストは高くないです。

このように戦争になれば大量に消費される魚雷やミサイルだけでも、銀は多く使用されるのです。

シルバーインスティテュートの”軍事需要を除いた”今後の銀の供給不足予想でさえ、銀不足なのにそれに加えこれらの軍事需要が増加すれば確かに銀の供給不足は加速しそうです。

望ましいことではありませんが今後紛争が多くなればなるほど、更に銀不足になることが予想されます。

(海外の銀投資家の間では軍事需要に対抗する為、銀を買って紛争を止めよう運動もあるようです)

【まとめ】2025年に枯渇は早すぎる気もするが、銀が重要鉱物なのは間違いなさそうだ。

”2025年までに”枯渇するのは気が早い気もしますが、銀が原油の次に重要な鉱物になりそうなのは確かです。

中国やインドはそれを見越して、銀を大量に輸入しています。中国は銀の輸入量が過去最高に達したと報告してます。

https://x.com/TaviCosta/status/1824130088423571766

個人的には銀の実需原因によって供給不足に陥るよりも、今後インフレによって金価格が大きく上昇し、金が買えなくなった際に銀に目をつけた投資家によって銀が大量に買われるような展開の方がより現実的かなと考えてます。

銀の実需とはまた別に過去のリーマンショックやパンデミックの景気後退時には、銀の価格はほぼ必ず上昇している点も考慮しないといけませんね。

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