トランプ氏、カマラ・ハリス氏の討論会を全て見ましたが、私が期待していた経済政策に関してはほとんど触れられず、あまり米国人ではない私からすると面白い内容とは言えませんでした。
ただ、メインメディア等は「ディベートはハリス氏が勝利!」と報道しているのですが、さすがにそれは無理があるなというのが正直な感想です。
トランプ氏が優れていたというわけではありませんが、ハリス氏も相当酷かったですね。
ハリス氏も「人格攻撃は止めてください」と言いつつ、人格攻撃しまくっていましたし、トランプ氏の発言を遮る、いつものように笑って誤魔化す(我慢していましたが)
などなど「ハリス氏が優れていた」は無理があります。
トランプ氏に関しても「移民がペットの猫食っているのをテレビでみた」とよくわからない事をいったり、反論が弱かったなどありますが、良くて引き分けくらいでしょう。
それはさておき、サラッと経済に関しても触れていたので、その点に関してとどちらが大統領になっても金、銀は上昇するだろうという理由を語っていきます。
1,ハリス氏「トランプ政権時失業率は大恐慌で最悪の失業を招いた」は無理がある。
ディベートの内容に関しては言及しませんが、1つだけ言いたいのは「トランプ政権時失業率は大恐慌で最悪の失業を招いた」は無理があるという点です。
トランプ政権時は失業率が大幅に上昇したというのは事実か?失業率は以下の通りです。トランプ政権は2017年1月20日から2021年1月20日。
就任してから失業率は下がっています。しかし、急激に2020年上昇しています。
誰もが理解していると思いますが、某感染症のパンデミックが発生し、誰が大統領だったとしてもこれは防げたものではありませんでした。
トランプ大統領は当時経済が完全に破壊されるのを防ぐ為、ワープスピード作戦で予防接種の開発を急ぎ、完全なロックダウンをすることなく、経済の完全な破壊は防ぎました。
おそらく予防接種がなければ完全なロックダウンが実施され、経済は完全に破壊され大恐慌に突入していたでしょう。
(予防接種に関しては賛否あるのは理解してます)
そして、給付金などバラ撒きによって経済の安定化を図り、失業率は急降下しています。そしてバラ撒きによって米国政府債務は急激に上昇してます。
失業率の上昇をトランプの責任にするのはさすがに無理がありますし、もしパンデミック時にバラ撒きを行わなかったら、大恐慌レベルの経済になっていたでしょう。
しかし問題はこれからの経済がどうなるか?金銀の価格はどうなっていくか?が重要です。
2,どちらが大統領になろうと、米国債務状況は悪化する
結論から言えばだれが大統領になろうと、インフレは上昇しそれに伴って金、銀の価格は上がっていくだろうというのが予測です。
というのも誰が大統領になろうと、米国の債務を魔法のように消し去ることはできないからです。
当ブログを読んでいただいている読者様でしたら、耳タコだと思いますが、既に35兆ドルもの米国債務。
問題は上昇ペースです。GDPの成長に伴って上昇するのであれば、そこまで悪影響は出にくいですが、経済の成長以上に借金が増えているということです。
実際米国の政府債務対GDPを見るとリーマンショック後から急激に増加し、パンデミック後更に急上昇しています。
問題は負債に対する利払い費です。現在インフレ退治の為にFRBは金利を5.5%まで上昇させていますが、それに伴って債務の利払い費は増加。
バンク・オブ・アメリカの試算によると、ここから米国が利下げをしたところで、利払い費の上昇は抑えられないとしています。
一度上昇し始めると、米国債務利払いを支払う為に、米国債務を増やし米国債務が増えると利払い費も増えてしまうというような雪だるま式に債務が上昇してしまいます。
では、利払い費を避ける為に金利を引き下げれば良いのでは?と思うかもしれませんが、そうなると今度はインフレ率が急上昇する懸念が出てきます。
公式発表ではCPIは2.5%まで下落していてはいますが
食料品の価格は上昇しており
Food has never been so expensive, and prices are still rising faster than the average before Jan '21: pic.twitter.com/Om6zha9llm
— E.J. Antoni, Ph.D. (@RealEJAntoni) September 11, 2024
このグラフは、住宅価格指数ですが米国の住宅価格は6月に前年比5.4%上昇し、過去最高値を更新しています。
他にもデータはあるのですが、政府が公表するよりも実際はインフレ率が高いのではないか?という予測は多くあます。
つまり利下げをすればインフレ率が上がってしまい、利下げをしなければ、米国債務利払い費が上昇してしまうというジレンマが発生している状況です。
3,トランプ氏、ハリス氏の経済政策はいずれもインフレ的
現在の米国債務状況を覆すにはもはや手遅れな状況なのですが、トランプ氏、ハリス氏どちらのの経済政策もインフレ的な施策です。
- 何百万人ものアメリカ人の医療費負担をなくす
- 食料品や食品の価格つり上げの禁止
- 処方薬の費用上限設定
- 初めて住宅を購入する人に25,000ドルの補助金を支給
- 生後1年間、子供1人につき6,000ドルの児童税額控除を提供
- 法人税を21%から28%に増税
- 1億ドル以上の富裕層に対して、含み益(未売却の資産の値上がり益)に対しても25%のキャピタルゲイン税
典型的なバラ撒き政策です。
そして、問題なのは法人税を21%から28%に増税と、1億ドル以上の富裕層に対して、含み益に対しても25%のキャピタルゲイン税という点です。
一見するとバラ撒き分の財源確保のように思えますが、富裕層や投資家が米国ビジネスから撤退する要因になり、米国経済が終わります。
よく「富裕層からもっとカネを取れ!」というような声もあるのですが、雇用を生んでいるのが富裕層です。
その富裕層が米国からビジネス撤退し、他国に投資するとなれば、雇用は減少し経済は滞り税収は減り結局さらなる債務に頼ることになります。
一方でトランプ氏に関してもハリス氏よりはマシですが、関税強化と減税で財政赤字が減るようには思えません。
- 15%法人所得税を減税
- 金利を引き下げる
- 厳格な移民制限を推進し、国内賃金と雇用の向上を目指す
- 中国に対して新たに60%から100%の関税を課す
- メキシコや中国での自動車工場の建設を認めず、アメリカ国内での生産を推奨
- 原油生産を増やしエネルギー価格を下げることでインフレを抑える
一応、インフレ対策として原油増産を謳っているものの、金利を引き下げとも発言しており、この政策でインフレが下がるか?はかなり疑問が残ります。
(個人的には景気後退は避けられないと考え、景気後退後の政策を話ているような気はする)
また政府の効率化を進める委員会を設立し、イーロン・マスク氏をトップに起用する方針表明しています。
→トランプ氏「脱ドル化の国は関税で制裁」5つの思惑とトリフィンのジレンマとは?
アルゼンチンのミレイ大統領がやったような、無駄な財政支出を徹底的に省く事で財政赤字はある程度抑えられるかもしれません。
とはいえ、急激に財政支出を抑えるということは、債務に依存していた分反動が短期的には経済に対してネガティブな影響を与えます。
もし、急速に経済が縮小するのであれば、経済刺激を促すために、またしても債務に頼ることになります。
根本的な問題である米国債務の増加をどうにかしなければ、結局インフレは加速していき、金銀の価格もそれに伴って上がっていくということです。
おそらく今後、「政府はインフレはもう終わった。経済もソフトランディングを達成し心配はいらない」という流れに持っていくと思われます。
速報 - ホワイトハウス、米国は「インフレの終焉」と発表
— Silver hand (@Anthony6355) September 11, 2024
やはりインフレが終わったと言うナラティブ。 https://t.co/wNqTANQw0E
インフレが終わっていない内に財布債務を増やすような施策を取れば、インフレが再燃すると批判されるので、インフレは終わった体にしなければなりません。
しかし、米国のM2マネーを見ると再び増加傾向にあります。
果たしてこのままインフレは収束していくのでしょうか?それとも1970年台金や銀が20倍以上に暴騰したようなスタグフレーションに突入するのでしょうか。
→今の下落相場は1970年代のスタグフレーションに近い?金、銀が暴騰後に暴落した理由。
本当に米国経済は岐路に立たされています。
→デビッド・ハンター「2025年半ばに株式は80%下落し、20兆ドル規模の紙幣印刷でインフレ率は25%を超えるだろう」
→債権王ガンドラック氏「人々を金やビットコインに駆り立てるのは”終わりのない債務システム”のせいである」
→ジム・ロジャーズ「2024年は金より銀が良い」なぜ今銀を推しているのか?
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