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海外の貴金属投資家の中では知名度が高い、デビット・ハンター氏が新たに金銀の今後の価格を予測してました。
簡潔に言ってしまうと、市場は80%の大暴落が来ると予想しているものの、大暴落の前にメルトアップ(資産上昇)があり、それにともなって貴金属も上昇するとのこと。
具体定期な価格まで予想していますが、株は30~40%の上昇。
2024年の終わりまでに金を3,000ドルに、シルバーは以前60ドル予想だったのを引き上げて75ドルと予想していると語っています。
具体的にいつリセッションが発生し、貴金属が暴騰するのか時期に関しても予測しています↓
→デビッド・ハンター「2025年半ばに株式は80%下落し、20兆ドル規模の紙幣印刷でインフレ率は25%を超えるだろう」
1,ハンター氏の正しかった過去の予測
まずハンター氏は2022年に株価が下落し、S&Pが3,500まで下がっている中、「底を打った」と予測しその後6,000まで上昇すると予測したことを語ってます。
2022年10月にS&Pが6,000に達すると話した時、皆はそれが狂っていると思った。
S&Pは10月のある日に3,500まで下がったが、その日に反転した。私は底が打たれたと言い、新たな高値に向かうと予測した。
実際どうだったのか?S&Pのチャート見るとハンター氏の言う通り、2022年10月で株価は底を打った後、反転しまだ6,000まで届いていないものの5,620まで急上昇しているのが分かります。
ハンター氏の予測が正しかったと言えます。
6,000という目標は狂っていると思われたが、市場は4,600まで上昇した。それから4,100まで下落したが、その後また新たな高値に向かうと予測した。今、S&Pは5,670まで上昇した。
そして現在は最も強気なシナリオではあるものの、2024年末あたりまでに、S&Pは7,000まで上昇すると予測しているようです。
私の最も強気なシナリオとして、ラッセル2000が3,300ポイントに達すると見ています。
これは現在から約60%の上昇を意味します。
S&Pは30%の上昇(7,000ポイント)、NASDAQは40%の上昇を見込んでいます。
2,金や銀は大暴落の前に金は3,000ドル、銀は75ドルまで上昇か
そして、金や銀に関しても株価の上昇と共に大きく上昇すると予測しており、金は3,000ドル、銀は75ドルになると語っています。これでも控えめな予測みたいですね。
私は金が3000ドルに達すると思っています。これはバブル崩壊前の話で今年かもしれませんが、来年の第一四半期に延びるかもしれません。
そして、銀はもっと大きな予測で75ドルに達すると思います。
長い間60ドルと言っていましたが、75ドルに上げました。
そして私の予測はおそらく低すぎると思います。
ハンター氏は2024年末か2025年第1四半期までは、FEDの利下げにより市場は強気姿勢を維持し続け、それによってバブル崩壊前に資産が上昇すると予測してるようです。
3,バブル崩壊後、株式市場が80%暴落予想。金銀も暴落か?
そして、バブルが崩壊した際は貴金属も一度大きく下落すると語ってます。
しかし、ほとんどのものは下落すると考えています。
株式市場が80%下落すると仮定した場合、金価格は一度3,000ドルまで上昇した後、2,000ドルまで下落する可能性あります。
銀は75ドルから現在の価格(約26ドル)まで上昇した分をが全て下落するかもしれません。
具体的なターゲットはありませんが、確実に大きな下落があると思います。
インフレによって上昇した後、大暴落する相場は1970年代のスタグフレーションを彷彿とさせます。
貴金属投資家の間では、現在のインフレ相場は1970年代の金が25倍に上昇したスタグフレーションに似ていると言われています。
当時はインフレとデフレの波を繰り返し、金が1970年35ドルだったのが、1980年の最高値で875ドルに約25倍に上昇しています。
→過去の金融危機で金、銀も大暴落した?S&P500と下落率を比較した結果・・・
ただ、確かに1970年初めから1980年の最高値を見ると25倍に上昇はしてはいるのですが、細かくチャートを見ると大きく下落しているのも何度もあります。
後からチャートを見れば「なぜインフレなのに金を売ってしまったのか?」と思うかもしれませんが、あくまでもこれは結果論。
当時の人々からすれば、デフレが来るたびに「もうインフレは終わったのではないか?」と予想し、その度に金も売却してしまいます。
しかし景気後退が来れば今度はFRBが大きく利下げ等の大規模緩和を実施し、その都度インフレが再燃すると共に金価格も上昇しています。
以下は米国インフレ率(赤)政策金利(青)のチャートですが、金の価格もこの波に乗って上下しているのが分かります。
※米国インフレ率(赤)政策金利(青)縦の灰色は景気後退期
このように金が25倍になった!強調されることが多いですが、1970年代のスタグフレーションであっても、よくみれば上下を繰り返しているのが分かります。
ハンター氏が語っているのはこのような一時的に上昇、下落を予想しているということです。
4,経済暴落後、金は2万ドルになる?
そして、暴落後どうなっていくのか?このように語っています。
80%の下落があった場合、連邦準備制度はら20兆ドル規模が投入される可能性があると考えています。
それほどの規模の量的緩和が金融システムを安定させるために必要になると思います。
そして、もちろん他の中央銀行も同様に規模に応じた対応をするでしょう。中央銀行の規模は異なりますが、同じような比率で対応することと予想しています。
我々は2020年と2021年に5兆ドルの拡大を行いましたが、今回はその4倍の額が必要だと見積もっています。
ハンター氏は景気後退が発生した後、それを経済を回復させる為にコロナショックの4倍の規模で量的緩和を行うだろうと予想しているようです。
これに関しても過去の記事で解説しましたが、コロナショック、リーマン・ショック等大きな金融危機が発生した後は、金融危機を乗り越えるためほぼ必ずと言っていいほど大規模緩和が行われます。
簡単に言ってしまえば政府による資金注入です。例えばコロナショック暴落→世界中で行われた給付金など大規模緩和がありましたが、どの国でも政府債務額は急激に上昇しています。
そして、政府による大規模緩和な緩和政策が発表されれば、市中に資金が増加することで、人々の購買力が増えていきます。
それによりインフレ率上昇の期待により、貴金属価格もほぼ例外なく上昇しています。
ハンター氏は次のように続けています。
その後、景気後退が終了に近づくと、金が最初に上昇し始めるでしょう。
人々はこの莫大な資金(量的緩和)が将来のインフレを引き起こすと理解し始めるからです。
もしかすると、金は景気後退が来れば一度3000ドル最高値から2000ドルに下がるかもしれません。
そして、2000ドルの底から最終的には金が20,000ドルに達する可能性があると思います
つまり、景気後退の底から金が10倍の動きがあるかもしれません。
景気後退後の政府の大規模緩和により、以前の金融危機と同じようにインフレ上昇により貴金属も上昇すると語っています。
ただ、大規模緩和の規模はコロナショックの4倍と遥かに大きいので、金の価格は10倍以上に跳ね上がる可能性はあるとのこと。
イメージとしては、1970年代後半の急激に上昇した金価格に近いでしょうか。
5,銀は500ドルに?金を超えるパフォーマンスはありえるのか?
更に銀に関してはこのように語っています。
シルバーについても、75ドルに達した後にどこまで下がるかは分かりませんが、一時的に現在の価格水準(著者が発言した時点での価格)まで下落する可能性は考えられます。
しかしシルバーはしばしば金を大きく上回るパフォーマンスを示すことがあります。
最終的には、シルバーが500ドルに達すると予測しています。金が20,000ドルに達する場合シルバーは500ドルになるでしょう。
バブル高騰後の下落については分からないとしつつも、動画公開時の価格程度に大きく下落する可能性を示唆しています。
動画が公開されているのが2024年8月で8月の底値を見ると、26.6ドル前後です。
つまり75ドル→26ドルくらいまで大きく下落することは考えられるということです。
そして、26ドルから大きく上昇し500ドルまで上昇する可能性があると語っています。
これが実現するとなれば金が10倍程度の上昇に対して、銀は約20倍もの上昇です。
金価格は最高値を更新し続けているにも関わらず、イマイチぱっとしない銀ですがそのように金を超えるパフォーマンスは期待できるのか?
過去の金融危機後の金と銀の価格上昇を見ると、意外にも銀の方がパフォーマンスが高いことは多いです。
コロナショック後の金銀相場
以下はコロナショック後の金銀価格のチャート。
そしてこちらは銀のチャート一目でわかるほど銀の方が大きく上昇してます。
リーマンショックの金銀相場
金価格は底値720ドルから最高値1880ドルまで上昇。1160ドル上昇し、上昇率は約161%ほど。
一方、2008年の底値8.8ドルから2011年で48ドルまで上昇。39.2ドル上昇し、上昇率は脅威の約445.5%です。
金は最高値を更新し続けている一方で、銀は今でもこのときの48ドルが最高値です。
1970年代のスタグフレーションに関しても金は25倍の上昇に対して、銀は30倍もの上昇と銀の方が上昇率は高かったのです。
このように意外にも経済危機後の金融緩和で、銀が金を超えるパフォーマンスを誇ることは多々あります。
そしてここまではあくまでも、金融事象による貴金属価格の今後の予測です。
ハンター氏の意見に反対するわけではないですが、金融事象以外にも銀の実需面も考慮すると、更に価格上昇幅は大きくなるか、価格上昇ペースは早くなるのでは?と私は推測しています。
【まとめ】金融事象以前に銀は供給不足。
インフレやらデフレやらなどの経済状況とは別に銀は過去の金融危機時と比べて、圧倒的に供給不足という事実があります。
以下はシルバーインスティテュートという、世界の銀需給を公表している機関のデータ。
https://www.mining.com/web/global-silver-deficit-to-rise-in-2024-due-to-higher-demand-lower-supply/
2024年の世界の銀不足量は2億6,500万オンスに達すると予測されています。
なぜそれほど銀が不足しているのか?ですが、銀は金属の中で最も伝導率が高い金属で、ソーラーパネルやバッテリー等に大量に使用されます。
今後AI、暗号通貨のマイニング、EVやドローンに莫大な電力が必要であり、それらの電力を補うために大量のソーラーパネル、電子機器、バッテリーに使用される為です。
世界の消費電力増加のグラフを見るとこの通り、インドも増加しているのですが、中国が特に激しい上昇率。
またサムスンが新開発している全固体電池に、銀が使われるという話がありこれが事実であれば更に銀不足が加速していくと思われます。
→2025年までに世界の銀が枯渇?専門家が警告する3つの理由とは?
他にも世界最大の銀生産国であるメキシコで、露天採掘禁止になる流れがあったりと銀価格上昇要因は他にもあります。
→メキシコ議会で露天採掘禁止が承認?銀の採掘量は激減するのか?
全ては書ききれないので、銀に興味がある方は以下の記事も見ていただきたいですが
→【2024年版】銀が600ドル(20倍~)を超える?価格上昇する8つの材料とは?
上昇する時間軸や上昇幅など、貴金属投資家の間でも違いがあるのが面白いところですね。
ただ少なく見積もっても、デビッド・ハンター氏の予測はまったくありえないシナリオではないと思います。
具体的にいつリセッションが発生し、貴金属が暴騰するのか時期に関しても予測しています↓
→デビッド・ハンター「2025年半ばに株式は80%下落し、20兆ドル規模の紙幣印刷でインフレ率は25%を超えるだろう」
→ジム・ロジャーズ「2024年は金より銀が良い」なぜ今銀を推しているのか?
→ロバート・キヨサキ「株式、債券、金、銀、BTCの価格の史上最大の暴落が来る。」
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