目次
ウォーレン・バフェットが大量の株を売却しているので、再度銀を購入するのか?という話もあったので、バフェットの銀保有に関しては少し振り返ってみたいと思います。
バフェットは1960年代と1990年代に銀を購入した
彼は3回目にまたロードしようとしているのでしょうか?
彼は30年ごとに買うようだ
Buffett bought silver in the 1960's and 1990's
— Nostra, House of Gold (@Nostre_damus) August 28, 2024
Is he about to load up again for the 3rd time ?
He seems to buy every 3 decades
1,1997年から1998年にかけてのウォーレン・バフェットの巨大な銀買い
ウォーレン・バフェットとその投資会社バークシャー・ハサウェイは、1990年代後半に大量のシルバーを購入しました。
バフェットは、シルバーが価格上昇するとの見込みから、大規模なシルバー投資を行っています。
これはバークシャー・ハサウェイ公式サイトのレターに今でも残ってます。
私たちの2つ目の非伝統的な投資は銀です。昨年、私たちは1億1120万オンスを購入しました。このポジションは市場価値で評価すると、1997年には税引前で9740万ドルの利益をもたらしました。
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近年、貴金属の在庫は大幅に減少し、昨年の夏にはチャーリーと私で、供給と需要の均衡を保つためにはより高い価格が必要だと結論づけました。
インフレ期待は、私たちの銀の価値の計算には一切関与していないことに注意が必要です。
銀を保有した理由として、当時の銀の供給不足なので供給と需要の均衡を保つにはより銀の価格が高まる必要があるとしてます。
1990年代後半は一般的にテクノロジーや産業用途での銀の需要が高まっていた時期であり、特に半導体製造や写真フィルムなどで使われていました。
そして、バフェット氏のバークシャー・ハサウェイが大量に銀を購入したことによっては、1990年代後半に銀の急性不足を引き起こしたとされています。
その証拠とも言えるのが以下の銀のリースレートが年率最大75%に達したことを示してる点です。
https://sdbullion.com/blog/warren-buffett-silver-hoard-1997-to-2006
リースレートとは銀をリースする際の金利です。これが高くなると銀の供給が逼迫していることを意味します。
いくらウォーレン・バフェットとはいえ、たった1つの投資会社が大量に銀を買っただけで、これだけ市場が動いてしまうほど銀の市場は小さいのです。
ちなみに投資市場の時価総額を並べると、金の10分の1しかないのが分かります。
- 株式市場: 世界の株式市場の時価総額は約 105兆ドル
- 債券市場: 世界の債券市場の時価総額は約 123.5兆ドル
- 金市場: 金の時価総額は約 14.6兆ドル
- ビットコイン市場: ビットコインの時価総額は約 1.40兆ドル
- 銀市場: 銀の時価総額は約 1.37兆ドル
話をバフェットの銀に戻します。バフェットは当時銀1億3千万オンスを保有していたのですが、2005年に全て売却してとされています。
バフェット自身は後の株主総会の発言で
「かつては大量の銀を保有していたが、今は持っていないし、以前の保有であまり利益を得られなかった。早期に買い、早期に売却した」
たいして早く売りすぎて大した利益にならなかったとしています。
ただ、当時の銀のチャート見ると1998年辺りは4800ドル辺りで推移していたのが、2006年には13,000ドルになっているので少なく見積もっても2倍程度に上昇しています。
ただ、その後リーマンショックで一時下落しているものの、その後48,000ドルまで上昇しているので、たしかに早く売りすぎたというのはあるかもしれません。
というように、一般的な株式投資家は知らない人がほとんどですが、バフェットも必要性があれば銀などコモディティに投資することもあるのです。
ちなみにリーマンショックに限らず、コロナショック後の金融危機後も銀は暴騰してます。
→過去の金融危機で金、銀も大暴落した?S&P500と下落率を比較した結果・・・
2,バフェットが売却した銀約1億3000万オンスで現在の銀ETFが設立された?
現在最大のシルバーETF(上場投資信託)であるSLVですが、2006年にSLVの設立された当初は約1億3000万オンスのシルバーが設定されていました。
そして、バフェットと彼のパートナーであるチャーリー・マンガーが、2005年約1億3000万オンスのという大量のシルバーバーを売却したとされています。
この大量のシルバーが誰に売却されたかは明らかではありません。
売却時期と銀の売却量が銀のETF設立時期とほぼ同時期の為、貴金属投資家の間ではこのバフェットの売却した銀がSLV設立と関連があるのではないか?と疑惑があります。
決定的な証拠はなくあくまでも予測の範疇ではありますが、1億3万オンスというとイメージが湧きづらいかもしれませんが、世界の銀の供給量は採掘、リサイクルと合わせても10億オンス程度です。
年によって違いますが、大体10億オンス程度で推移しております。
つまり、バフェット等は世界の銀の供給量の10分の1以上の銀をどこかに売却したということです。
金よりも遥かに流動性が低い小さい市場の銀ですが、大量の銀を一度に全て売却するのは難しいです。
大量の売却は給過多を引き起こし、銀の価格を大幅に下落を引き起こしますが2005年の銀の価格を見ると、1億3千万オンスが一度に売却された割には大きな暴落はないように見えます。
むしろ、銀のETFが設立された後に急上昇し、その後急落しています。
→【2024年版】銀が600ドル(20倍~)を超える?価格上昇する8つの材料とは?
この銀ETFが開設で市場のシルバー供給が増加し、その影響でシルバー価格の上昇されないように価格操作されはじめたと考えられている貴金属投資家もいます。
銀ETFが2006年に開設されたのが、リーマンショックが発生したのが2008年。金融危機が発生するたった2年前に銀ETFが設立されてます。
実際銀のチャートがコチラ
リーマンショック金融危機後の金利引下げなど金融危機により、一度は大きく銀の価格も株価などと一緒に暴騰しているもののその後暴落しています。
大手銀行など投資家が銀のETFによるショートポジションを大量に保有することで、価格を下落させることができます。
では銀のショートポジションはどうなっているのか?というと銀の場合ゴールド、プラチナ等よりも遥かに大きいショートポジションが取られています。
また別の資料ですが、2024年5月のショートポジションは8億7742万オンス膨大な数に達しており、その大部分がネイキッドショート(実際には保有していない資産を売り立てること)。
※1ロットは5,000オンス
175,484契約×5,000オンス/契約=877,420,000オンス
最初に上げた銀の資料に戻ると、2024年の銀の採掘量は8億2300万オンスと予測されてます。
つまりこのショートポジションは、世界の年間銀生産量を超えるほどの膨大なポジションということです。
リーマンショックが起こる前から金融危機→大規模緩和→銀など含む資産価格上昇を予期し、銀の価格が操作しやすいように、金融危機前に銀ETFを設立したのでは?という憶測もあるようです。
2年も前からリーマンショックを予想できるのか?ですが、マイケルバーリ氏は2005年頃からリーマンショックが発生するのを予期していました。
→マイケル・バーリがゴールド投資開始!リーマンショック再来の警告なのか?
表には出てこないだけで、金融危機を予測していた勢力がいてもなにもおかしくないでしょう。
そして、コロナショック後も銀は一度暴騰しているのですが、金が最高値を更新し続けていますが銀の動きはかなり鈍いです。
ではなぜ、そこまでして銀の価格を抑える必要があるのか?
これは1つの説ですが軍事需要で大量の銀が必要になるからです。
ロバート・キヨサキとも親交がある貴金属専門家アンディ・シェクトマン氏は動画の中で以下のように述べてます。
VRIC(バンクーバー資源投資カンファレンス)にて
「シルバーインスティテュートは、銀の供給と需要に関する統計から軍事用途を除外しています。
しかし、最近私の番組に出演したミサイル開発に携わった方が、トマホーク巡航ミサイルには500オンスの銀が使われていると教えてくれました。
トマホークミサイルの先端には15〜16キログラム、または16〜17キログラムの銀が含まれていること示す機密解除された写真等の証拠を提示し、証明してくれました。
銀は高技術兵器や宇宙関連の用途にも多く使われていますが、銀インスティテュートはこれを無視しています。」
トマホークミサイル一発に500オンスと言うと、モンスターボックス1箱分で購入時期によって変動しますが、大まか日本円にして300~400万円程度です。
一般人的な感覚からすると高く感じますが、トマホークミサイル価格は、1発あたり約182万ドル。
150円換算だと2億7,300万円です。その中の300~400万円と考えると激安です。
しかし、もし銀の価格が金のように最高値を更新し続け、軍事費用が高くなってしまうとしたらどうでしょう?
→2025年までに世界の銀が枯渇?専門家が警告する3つの理由とは?
3,今後、バフェットが銀を購入する可能性はあるのか?
気になるのはバフェットは再度、銀に投資する可能性があるのか?という点です。
結論から言ってしまえば”分からない”ですが、可能性は0ではないなと言うのが個人的な結論です。
というのも過去のバークシャー・ハサウェイのリリースを見るとこのように書かれています。
私たちは、価格が適切で経済的に優れたビジネスが見つからないときは、通常、非常に短期間の高品質な金融商品に資金を投入します。(政府や企業が発行する、期間が短い債券)
しかし、時には別の投資先を検討することもあります。
魅力的なビジネス投資先がない場合は、利益が低いが安全資産とされる短期債券などを購入するとしています。
そして、「しかし、時には別の投資先を検討することもあります。」
1998年に銀を大量に購入した際の投資哲学ですが、今でもこの哲学を貫いているのであれば、可能性は0とは言い切れません。
バフェット現在バンク・オブ・アメリカを大量に売却し、Apple株は50%売却し2,780億ドル現金保有しているとしてます。この現金保有は歴代最高額のようです。
https://Twitter.com/RadarHits/status/1828759431519375434
※ちなみにバンク・オブ・アメリカは大量の銀のショートポジションで、銀の価格を抑えているとされる大手銀行の1つです。
まるで、今後暴落に備えて現金保有しているようにも見えます。
かつてバフェットは「金は何も役に立ちません」と批判しながらも、2012年の記事では
「ドルは1965年から86%も価値が下がった…今では1ドルで買えるものを7ドル以上必要とする」
https://sdbullion.com/blog/warren-buffett-silver-hoard-1997-to-2006
とインフレを懸念するような指摘もしています。
そして、知っての通り現在景気後退が懸念されながらも、利下げなどによってインフレが再燃する可能性も指摘されている状態です。
もう1つ指摘したいのは1998年にバフェットが銀を大量に購入した理由をもう一度振り返ると
近年、貴金属の在庫は大幅に減少し、昨年の夏にはチャーリーと私で、供給と需要の均衡を保つためにはより高い価格が必要だと結論づけました。
当時も電子機器など発展で銀の需要と供給から考えると、銀は安すぎるから銀を買ったというような趣旨です。
そして、現在は当時より圧倒的に銀の需要が多くなっており、既に4年連続で大幅な供給不足です。2024年は2億6千万オンスが供給不足になると予測されてます。
想定よりも銀の消費ペースが速いので、2025年までに銀が枯渇するというような予測をしている専門家もいるくらいです。さすがに早すぎる気もしますが、少なくとも銀が供給不足なのは間違いでしょう。
→2025年までに世界の銀が枯渇?専門家が警告する3つの理由とは?
もし現在の銀の供給不足の状態でスタグフレーションが訪れたら、彼はどの資産を購入するでしょうか?
1970年代の景気後退とインフレが同時に襲ったスタグフレーション相場では、銀は35倍暴騰しましたが果たしてどうなるか気になるところです。
→今の下落相場は1970年代のスタグフレーションに近い?金、銀が暴騰後に暴落した理由。
→デビッド・ハンター「バブル崩壊後に銀は500ドル、金は20,000ドルに到達する」と述べる。
→債権王ガンドラック氏「人々を金やビットコインに駆り立てるのは”終わりのない債務システム”のせいである」
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