ゴールドマン・サックス「金は1オンス3,000ドル目標」,金は2年ぶり売られ過ぎ水準に。15の金銀関連ニュース【11月第3週】

目次

1,ゴールド、シルバーに関するニュース等

1,金2,600ドル、銀31ドルまでの価格上昇

大きく下落した金、銀ですが若干回復傾向にあるようです。後述しますが”売られすぎ水準”にあったゴールドは2600ドルを超えてます。

銀に関しても一旦は30ドルを割っていたものの、現在は31ドルまで上昇。

銅価格が上昇すると、銀も上昇傾向になることが多いですが、銅は横ばいといったところでしょうか。

以前も書きましたが、トランプ氏が当選したことで市場は「もう米国経済、紛争は安心だ」という超楽観的な視点から貴金属が売られた面はあると思います。

トランプ大統領選勝利で金、銀価格が下落した理由は?貴金属投資家の今後の見通しは?

2,銀現物は6年連続で2024年も供給不足予想。今後も不足は続くのか?

シルバーインスティチュートが新しくレポートをリリースしましたが、やはり2024年も銀は大幅な供給不足のようです。

供給量は鉱山とリサイクル合わせて10億オンス程度ですが、銀の現物需要は合わせて1億2千万オンスです。

1億8千万オンスほどの不足ですが、これに加えてペーパー投資分の銀が1億オンス増加しているので、合計2億8千万オンスほどの不足になります。

ペーパー銀といえど、全てではないですが銀の現物が裏付けられている金融商品も多いです。

世界で最も利用されている銀のETFである、SLVは「iShares Silver Trust(アイシェアーズ・シルバー・トラスト)」と呼ばれ、銀の現物に基づいた金融商品です。

SLVが一般投資家から購入された場合、SLVの運用会社(ブラックロック)は銀の現物を増やさなければならないという仕組みになっています。

一般投資家は銀の現物引き出せないですが、ETFが購入されればそれだけ銀現物を倉庫に積む必要はあるので、現物需要と言っていいかと思います。

ちなみにブラックロックが運用している金融商品ですが、現物保管はJPモルガンなどに委託されています。

今後も銀の供給不足は続くのか?について以下の記事で考察しています↓

3,上海黄金取引所(SGE)が、物理的な銀契約の「実行閾値(KG)」を全体的に約40%引き下げる

上海黄金取引所(SGE)が、物理的な銀契約の「実行閾値(KG)」を全体的に約40%引き下げる

Ericさん「私には、SGEで物理的な銀の供給が急激に減少する可能性があるように見えます。」

https://Twitter.com/KingKong9888/status/1858362827314213276

これだけ読むと意味不明かもしれません。

実行閾値(KG)の引き下げとは物理的な銀契約において、銀の引き渡しが行われるための最小単位を下げることを意味します。

例えば現物の引き渡しが可能な銀のETFなどでも、最小引き渡し可能額が設定されていることがほとんどです。

例えば金が裏付けされているのETFでも、金現物を引き渡すなら最低でも1,000万円以上など条件があります。

これが仮に40%引き下げとなれば最低引き出しが600万円になり、より貴金属投資需要喚起になると同時に、引き出し量も多くなるので銀の供給不足が加速する可能性があるというわけです。

4,JPモルガン、貴金属保管倉庫を訴訟を提起。訴訟により、倉庫の所在が公表。

JPMorgan、貴金属保管倉庫の欠陥に対して2150万ポンドの訴訟を提起

この倉庫は、JPモルガンが貴金属を保管するために使用しており、特にコモディティ事業の一環として運用されています。
倉庫の詳細はセキュリティ上の理由で非公開にされることが多いですが、今回の訴訟により、イーストロンドンのベルヴェデーレ地区にある倉庫の所有が公表されました。

https://www.ft.com/content/2f72e90b-8544-48d2-853b-7c7260cdaeb2

上の投稿でも解説しましたが、SLVなどはJPモルガンなど委託しています。この倉庫がSLVの銀現物があるか?は不明です。

ただ、もし倉庫にSLVの銀が保有されている場合、所在が明らかになったことで狙われる可能性は出てくる気がします。

たいていのETFなどの金融商品には”紛争、強盗などで銀現物が盗難にあった場合は免責される”という契約書にあります。

考えすぎかもしれませんが、所在が明らかになったことで犯罪グループなどに狙われ、現物がなくなる→規約書には免責とあるので保証はできない

というような展開もありえなくはないと思いました。

5,ゴールドマン・サックス「金は25年12月までに1オンス当たり3,000ドルに達すると予測」

ゴールドマン・サックス・グループによると、金は来年、中央銀行の買い入れと米国の金利引き下げにより記録的な高値に上昇する見込み。

同社は金を2025年の主要な商品取引に挙げており、トランプ大統領の任期中は価格が上昇を続ける可能性があるとしている。

ダーン・ストルイベン氏を含むアナリストらは「金を狙え」とメモで述べ、2025年12月までに1オンス当たり3,000ドルという目標を改めて強調した。

ここ最近大手銀行などもゴールドの価格予想を引き上げています。

バンク・オブ・アメリカ「金は最後の安全資産」と警告!米国の債務急増リスクとバンク・オブ・アメリカの思惑とは?

主要メディア金価格上昇の論調が”ドルの信頼低下”の意図は?3つの変化した理由を推測。

金利を生まない資産であり、金融システムの支配から独立しているゴールドは銀行にとっては敵みたいなものです。

だからと言って上昇していく金価格を完全に無視することはできないということでしょうか?

金が上昇していくにもかかわらず、「金は上昇しない」など反対意見を述べれば信用が低下するので、金は上昇する(が低い想定)のように感じます。

6,ジェシー・コロンボ氏 「金も4時間足チャートのチャネルパターンを突破し2,600ドルの水準を上回っており、これもまた心強い兆候だ。

貴金属の投資家のジェシーコロンボ氏のテクニカル分析によると、ゴールド、シルバー共に下落基調から抜け出すような兆候みられるとのこと。

もちろん、短期的な予測なのでここから下落する可能性もあります。

ただ、私自身テクニカル分析に懐疑的だったのですが、ジェシー氏の過去の分析「銀が32.5ドルを超えれば、大きく上昇するだろう」というのも的中していましたし(その下落したものの)

銀は32.5ドルの抵抗線を突破!今後の銀価格予想と44年で形成された”カップウィズハンドル”とは?

逆に「ゴールドが2700ドル、銀は32ドル以下になれば、大きく下落する可能性があり、防御的になる必要がある」

と予想していましたが、それぞれの数値まで下落したのちに大きく下落しました。

ジェシー氏も仰っているように、強力なファンダメンタルズが背景にあるのが前提ですが

ゴールドが最高値を更新し続ける”本当の理由”とは?今後も上昇する可能性は高いのか?

貴金属スタッカー兼トレードもする人は、テクニカルも少し見ていていいかもしれません。

7、グローバル・マクロ・リサーチ氏「トランプ相場で下落したゴールドとシルバーは買い、インフレで高騰する」

私が日本の投資系で唯一参考にさせて頂いているのが、グローバル・マクロ・リサーチ氏のサイトです。

貴金属専門というわけではなく、世界経済や金融市場全体に影響を与える大きなトレンドから投資戦略を行っていらっしゃいます。

つまり、収益性が出るのであれば貴金属だけではなく、債券や株式など幅広くトレードするということです。

貴金属投資家だとどうしても、貴金属にバイアスがかかるケースが多いですが、マクロ戦略家の方が貴金属を推すのは心強いですね。

トランプ相場で下落したゴールドとシルバーは買い、インフレで高騰する

ちなみに以前ゴールドは3400ドル、シルバーは75ドルを予想している、デビッドハンター氏もマクロ戦略家です。

デビッドハンター氏「金鉱山株GDX約1.5倍、GDXJ約2倍を予測」金鉱山株3つの注意点とは?

8、シンシア・ルミス上院議員、「FRBの金を売却してビットコインを購入」 - ブルームバーグでも報じられるが、”金の再評価”には触れず

以前より「FRBの金価格を市場価格に再評価し、その差額でビットコインを戦略的に購入する」という法案を当ブログでも紹介しました。

米国上院議員,FRBの金を再評価&100万ビットコイン購入する法案を提出した意図は?

当時は意味が分からない人が多かったのか、反応が薄かったですがBloombergでも報じられました。

次期大統領が掲げる戦略的ビットコイン(BTC)備蓄を創設するという目標を達成するため、ワイオミング州の共和党上院議員シンシア・ルミス氏が、連邦準備制度(FRB)の金の一部を売却してBTC購入の資金を賄う案を提案しました。

https://www.bloomberg.com/news/articles/2024-11-14/trump-s-ally-lummis-pushes-to-sell-some-of-the-fed-s-gold-to-buy-bitcoin

金を売ってビットコインを購入するという表面的な部分は報道されていますが、”金を現在の市場価格に再評価し”という部分は触れていないようです。

FRBのバランスシートには、財務省が保有する金を表す証券が記載されており、その価値は約110億ドルとされています。

しかし、この価値は1973年以来一定に保たれている法定価格(1オンス42.2ドル)に基づいています。

現在の市場価格で評価すれば、この価格は約60倍の約6,750億ドルに相当します。

正直、FRBが金の価格を再評価した時に、市場の金価格がどのような動きを見せるのか?想像つきません。

それにしても、トランプ大統領は「36兆円の米国債務をビットコインで返済できるかもしれない」と語っていましたが

https://Twitter.com/Anthony6355/status/1819568881138388999

米国の返済能力や擦り続けることにより価値が減るドル、債務に何も問題がなければ、今まで通りドルで債務を支払えば良いだけです。

暗に米国に経済に問題が発生していると認めているようなものです(逆にそれが目的かもしれませんが)

気になるのはいくらビットコインで払うと言っても、債権者は認めるのか?という点です。

特に米国債務を保有している債権国が認めるように思えませんが、何か策でもあるのでしょうか?

9、インドでは価格が下がるのを待っていた顧客が買いに走り、金の需要が増加。

インドでは価格が下がるのを待っていた顧客が買いに走り、金の需要が増加。
金の物理的なプレミアムが4ヶ月ぶりの高値に達し、価格の下落が顧客の需要を引き寄せている。

https://www.brecorder.com/news/40332680

金の大きな価格下落に乗じて、インドでは購入者が増え、プレミアムが高値に届いたそうです。

10、金(ゴールド)は2023年10月以来、最大の売られ過ぎ水準に達した

金(ゴールド)は2023年10月以来、最大の売られ過ぎ水準に達した

https://Twitter.com/Barchart/status/1857263488759992351

金は2800ドルの高値から大統領選後、2540ドル辺りまで大幅に下落しましたが、”売られすぎ”水準に達したようです。

売られすぎなのもあってか、執筆時点では2600ドルまで回復傾向にあります。

トランプ氏が大統領に当選したことで、市場が極度に楽観的になっているのもあったと思います↓

トランプ大統領選勝利で金、銀価格が下落した理由は?貴金属投資家の今後の見通しは?

とはいえ、36兆ドルの国家債務もありますし、後述するクレジットカードローンも過去最高等民間債務はトランプ氏だけではどうにもできません。

中長期的には金は上昇を続けると予想しています。

世界経済のニュース

1, 米国の国家債務が36兆ドルで過去最高を達成

米国債務が36兆に届いたことも驚異的ですが、問題は利払い費と増加ペースです。

FRBが利下げトレンドに入ったとは言っても、既に債務利払い費は1兆ドルを超え、これは米国防衛費、社会保障費を超えてます。

当然ですが、元本の36兆ドル債務が増加すれば、利払い費も増加。利払い費が増加すれば、それを支払うためにまた債務が増加という雪だるま式に債務は膨らんでいきます。

10月末だけでも1050億ドルの債務が増加しています。それでも紛争にドルを送り続け、少なくとも現政権中に債務が減少する可能性は限りなく低いです。

2,米国は過去最高の17.9兆ドルの家計債務。過去10年間で56%増加しており、クレジットカード債務総額は2020年以降53%増加している。

米国は現在、以下の国を有している。

1. 過去最高の17.9兆ドルの家計債務

2. 過去最高の12.6兆ドルの住宅ローン

3. 自動車ローンの過去最高の1.6兆ドル

4. 学生ローンの総額は過去最高の1兆6000億ドルに迫る

5. クレジットカード負債が過去最高の1.2兆ドルに

家計債務総額は過去10年間で56%増加しており、クレジットカード債務総額は2020年以降53%増加している。

一方、クレジットカードや自動車ローンの延滞率は現在、2008年の水準にある。

消費者は借金でインフレと「戦っている」。

これは良い結果にはならないだろう。

仮にトランプ氏の経済政策が奇跡的に功を奏し、米国債務が減少傾向になったとしても、民間債務はどうにもできません。

イーロン・マスク氏は政府効率化省として、2兆ドルを削減するとしていますが、実際に実行できるのか?疑問の声もあります。

また、削減は出来ても、米国の経済が悪化すれば歳入が減少することになるので、債務は減少は難しくなります。

彼らは紛れもなく天才だと思いますが、限界はあると思います。

そして、超奇跡によって米国経済が成長しつつ米国債務が減少したとしても、日本やヨーロッパを含む、他国の膨大な債務まで減らせるわけではありません。

他国が金融危機に陥った場合、回復途上の米国も引きずられる可能性は高いと見ています。

3,パウエルFRB議長は、FRBは金利引き下げを「急ぐ」必要はないと述べた。

以前から、FRBやパウエル議長は民主党寄りであるという主張もありました。

私が懸念していたのが、もしトランプ氏が当選した途端、経済を支える事に興味を無くすのでは?という点です。

9月に50bpsもの大幅利下げを行ったにもかかわらず、急に利下げをしないというのはやはり民主党寄りである可能性を考えざるを得ません。

現在高金利が続いたことで、米国の大手銀行は含み損がリーマンショック時よりも大幅に増加してますが、利下げを見送るのでしょうか?

https://x.com/RadarHits/status/1847243696061677627

あえて金融危機の爆弾をトランプ氏に明け渡す気だという意見もあります。

4,国防総省は8240億ドルの予算を説明できず、7回連続で財務監査に不合格となった。(155円換算で約127兆円)

https://Twitter.com/WatcherGuru/status/1857851065208553940

どこかに消えてしまったようです。日本もコロナ予備費「11兆円」が消えたとありましたが、政府はよくお金が消えますね。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA133NB0T10C22A5000000/

5,Amazon創業者のジェフ・ベゾスがさらに6億 8,600 万ドル相当の130億ドル以上の売却。

富裕層の現金化が加速しています。

バフェット氏も過去最高の現金保有率で話題になっていますが、ドミノ・ピザ($DPZ)とプール・コープ($POOL)株を購入しています。

多くの人がこれをウォーレン・バフェットがピークを告げた兆候だと受け止めたが、彼は新たな購入も行った。

第3四半期には、ウォーレン・バフェットのポートフォリオに、ドミノ・ピザ$DPZとプール・コーポレーション$POOLの2つの新規株式が追加されました。

バフェット氏は、いくつかの大規模な売却後も、いくらかの現金を投入しているようだ。

https://Twitter.com/KobeissiLetter/status/1857177972790251937

”店舗直接お持ち帰りで半額”に可能性を感じたのでしょうか?

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