デビッド・ハンター氏「インフレからデフレに転じ,金3400ドル、銀75ドル向かうだろう」

以前から当サイトでも紹介させて頂いている、デビッドハンター氏ですが新しいポストで「ここからインフレからデフレに転じ、株などを含む市場は上昇していく可能性が高い」と語っています。

株式、債券、通貨、貴金属市場での調整はおそらく終了し、これらすべてがここから大きく反転する準備が整った可能性が高いです。

この調整を引き起こした誤った、市場の見解が薄れていくのを見ることになるでしょう。

具体的には、「経済がより強くなっている」「インフレが上昇傾向にある」「FRBの金融緩和が終了する」「関税の懸念」といった見解です。

https://x.com/DaveHcontrarian/status/1879530562165363173

ちなみにハンター氏は以前から金3400ドル、銀75ドル金銀鉱山株なども大きく上昇するだろうと予測しています↓この見解は今も変わっていないようです。

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2025年後半に世界経済の暴落を予測していますが、暴落が始まる前に48年間の強気相場最後のメルトアップ(市場全体の価格上昇)が起き、その後にすべての資産が逆に大きく下落するという予測ですね。

デビッド・ハンター「50bpsの利下げで株価下落はナンセンス」ドットコムバブル崩壊時との相違点と当時の金相場は?

1,市場はインフレ再燃を予測している

ハンター氏の主張としては、「今市場はここからインフレに向かっていくというのは間違いであり、世界的なデフレに向かっていく、デフレの過程で利回りが下がり市場は上昇していく」

という主張です。正直、私も含めて市場の殆どは

「いやいや、今はインフレが上昇しつつあって、世界経済危機ではなく米国債利回り上昇危機が起きているのでは?」

と予想していました。

事実、FRBが9月に0.5%もの大幅な利下げを行い、合計1%も利下げしているにも関わらず、米国債利回りは上昇し続けるという異常事態が起きていました。

国債利回り上昇は、米国債が売却されているということです。

通常はFRBのような中央銀行が利下げする場合、国債利回りも低下していくのが一般的な動きです。

なぜなら、中央銀行が利下げを行うと、債券の需要が高まりと債券価格が上昇します。

債券価格が上昇すると、債券利回り(=クーポン金利 ÷ 債券価格)が低下します。

しかし、なぜ利下げしているのに、債券利回りは上昇しているのか?これは2つの要因が考えられます。

1つはインフレです。

市場では「FRBの利下げは速すぎた!50bpsもの大幅な利下げはインフレを招く!」という予想が大半でした。

9月に50bps利下げ開始したあと、10月に9月のコアCPIの発表されましたが、コアCPIは上昇しています。

これを見て市場は「FRBの勝利宣言は速すぎた。今後インフレが再燃するだろう」というナラティブが主流でした。

また、トランプ大統領の経済政策はもインフレ要因とされています。

減税や高い関税、移民を追い出すという政策は賛否はあるにせよ、確かにインフレ要因に見えます。

トランプ大統領選勝利で金、銀価格が下落した理由は?貴金属投資家の今後の見通しは?

今後インフレが上昇するということは、「FRBは再度利上げに転換、もしくは利下げ速度は遅くなるだろう」と市場は予想し、債券利回りが上昇するということです。

債券王と呼ばれるガンドラック氏や、富豪投資家であるポール・チューダー・ジョーンズ氏は次に来るのはインフレ再燃とし債券空売り、金を購入すると発言していますね。

伝説の投資家ポール・チューダー・ジョーンズ氏は、トランプ氏とハリス氏の両方の下でインフレが上昇するため、選挙前に金とビットコインを購入すると述べている。

https://finance.yahoo.com/news/legendary-investor-paul-tudor-jones-021329722.html

2つ目の理由は米国債務が急激に増加している点です。

以前から解説していますが、米国債務は急激に増加し36兆ドルを超えてます。

債務の増加と共に経済が成長していれば問題は表面化しにくいです。

会社でも多くの債務を抱えている場合であっても、売上が上昇しているなら「この会社は成長しているな」と判断され、問題にはなりません。

しかし、問題は債務が減少していないに、売上が減少してきた時です。

厳密には違いますが国の成長率(GDP)は会社の売上と捉えることもできます。

米国はリーマンショック等の金融危機が発生する度、債務増加で危機を乗り切っており、パンデミックの経済ショックに行われた超大規模緩和により更にGDP増加と債務増加に乖離が出ています。

このように急激に乖離が出てくると

「米国は債務利払いを履行できない可能性があるのではないか?」

と市場参加者は心配になり債券が売却されるということです。

しかし、基軸通貨国という特権があり経済、軍事力世界最強の米国債は本来は超安全資産であるはずです。

「米国経済が終われば、世界経済が終わる」と言われるくらいの安全資産であり、金利までもらえるのですから、世界の金融機関やヘッジファンドなどは好んで米国債を購入してきたということです。

しかし、安全資産である米国債が危うくなってくるとしたら、何を買うのでしょうか?

これが世界の中央銀行が史上最速で金を購入している理由です。

ゴールドが最高値を更新し続ける”本当の理由”とは?今後も上昇する可能性は高いのか?

メディア等は「地政学的要因で金が買われている~」などとしてますが、金が買われている主要因はこの米国債務の急激な増加です。

それを示すのが、世界最強の投資機関の1つでもある世界の中央銀行です。

グラフを見ると分かりますが、リーマンショック時以前は金は売却されていましたが、リーマンショック後の米国債務増加ペースがGDP増加ペースを上回った辺りから、金購入に転じているのが分かります。

と話がそれましたが、米国債利回りが上昇してきたのは簡単に言えば市場が

1、今後インフレが再燃する

2,米国債務の増加懸念

ということです。

私自身「デビッドハンター氏はデフレになると言っているが、インフレではないか?」っと思っていました。

しかし、「もしかしたら、ハンター氏はやはり正しかったかもしれない」と思い始めたのは先日発表された米国経済のデータです。

※ハンター氏は数ヶ月前から「インフレは終わりデフレに転じる」と予想していた。

2,インフレからデフレに転じる予兆?

まずはコアCPIです。

11月までのデータでは確かにインフレ再燃懸念されるデータが強かったですが、12月は下落してます。

まだ一月のデータなので断定はできませんが、一度下落するとそのまま下落トレンドに入っていくケースが多いです。

24年のデータを見ると、一旦下落し始めてから10月まで下落が続いてます。

米PPI前月比(生産者物価指数)に関しても、上昇はしているもののの、市場予測よりは低い上昇率になってます。

米PPI前月比(生産者物価指数)

結果:+0.2%
予想:+0.4%
前回:+0.2%

前年同月比

結果:+3.5%
予想:+3.8%
前回:+3.5%

米PPI予想外に鈍化、食品価格低下-インフレ懸念緩和に寄与か

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-01-14/SQ2YX0T0G1KX00

そして小売売上高も予想を下回り、下落しています。

小売売上高(前月比) 12月
結果:+0.4%
予想:+0.6%
前回:+0.7%

新規失業保険申請件数は2024年1月11日までの週に前週から14,000件増加し、217,000件となり、市場予想の210,000件を上回り、1月初めに記録された11か月ぶりの低水準からの急反発を示しました。

新規失業保険申請件数
結果:21.7万件
予想:21.0万件
前回:20.1万件

強い数値も出ている一方で、このようにインフレ鈍化を示す数値が出てきた事で、「インフレは落ち着きつつあるのか?」と市場はデフレ方向に予想してく可能性があります。

それを示すのが、米国債利回りです。ずっと上昇続きだった米国債利回りはこれらの数値発表後下落してます。

利回りが下落しているということは、今後経済悪化していく→FRBが利下げ方向に向かうと予想→債券需要増→利回り低下です。

もちろん、何度も言うように一月のデータだけでは方向性は断定できませんので、今後のデータも見ていく必要はあります。

ただ、ハンター氏の予想通り経済危機に向かうとすれば、デフレに向かっていく途中過程で市場は

「インフレは終わりつつあり、経済は順調だ。ソフトランディングが訪れた。」

と判断し、買いに走る可能性(メルトアップ)はあると思います。

そして、私の推測ですが、政治面でも今後経済危機が起こるのではないか?と示唆しているものがいくつかあります。

3,トランプ大統領は以前から「大恐慌が迫っている」と発言している

トランプ氏は大統領に就任する前から、「1929年のような大恐慌が迫っている」と発言し続けています。

トランプ「現在10か月連続で、毎月の雇用報告が下方修正されています。
おそらく大恐慌に向かっています。
こんなことは言いたくない。

でも、言わなければならない。
もしそうなるのであれば、それはバイデン政権の間に起こるべきです。

私はそれを受け入れる方が良いと思います。」

https://Twitter.com/TheStormRedux/status/1700324367211639069

このように何度も大恐慌が訪れると発言しています。

仮定の話ですが、ハンター氏の言うようなリーマンショックを遥かに超える、世界経済破綻が来るとするなら、インフレどころか致命的なデフレということです。

失業者が溢れ、人々はものを買う余裕がなくなります。そうなれば、人々は生活費を補う為に、持っている資産を投げ売りすることになるでしょう。

デビッド・ハンター「2025年半ばに株式は80%下落し、20兆ドル規模の紙幣印刷でインフレ率は25%を超えるだろう」

そして、トランプ氏の経済政策は減税、輸入品に高い関税、不法移民を追い出す(低賃金労働者排除)どれもインフレ的です。

トランプ経済政策
  1. 減税: 企業の利益を増やし、消費者の購買力を高めるため、需要が増加し、インフレを引き起こす可能性。
  2. 高関税: 輸入品の価格を上昇させ、消費者にとっては物価が上昇要因
  3. 移民規制: 特に低賃金労働者を排除することで、労働力不足が生じ、賃金上昇圧力やコスト上昇を引き起こす可能性。

メディアや金融系エンターテイナーは「こんな政策はインフレ再燃を招く。やはりトランプは経済音痴だ」

と批判していますが、もし今後失業者が溢れるようなデフレに向かっていくなら、早い段階から対策を打っていたということになります。

また、これは憶測ですが、自身が大統領就任すれば、”経済崩壊が引き起こされる”事は予測していたのではないかとも思えます。

現にイエレン財務長官は「1月21日に米国債務は上限に達し、特別措置を実施する」としてます。

https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/PARN4TVV45JWHBXWVNVXDGLFH4-2025-01-17/

米国大統領の就任は1月20日です。その翌日に債務上限に達するのは偶然でしょうか?

また、FRBは0.5bpsもの急速に利下げ開始したのにも関わらず、下記の通り2025年の見通しを”3回の利下げ”の予定から”2回の利下げ”に利下げペースを落としています。

0.5bpsもの急速な利下げ開始スタートしているのは、過去リーマンショック発生前とドットコムバブル崩壊前のみです。

なぜ過去の50bps利下げで金銀価格は暴騰したのか?ドットコムバブル,リーマンショック時と現在の相場を比較。

今後利下げペース鈍化を予想しているのはFRBは「インフレ再燃するから、あなたの政権時利下げする気はない」というようにも聞こえます。

FRBが9月に利下げした際、「バイデン政権に忖度し、利下げを実施した」という批判がありました。

もし民主党に忖度するのであれば、逆にトランプ政権時にはインフレが起こるという大義名分で利下げしない(経済を支えない)ということもありえそうです。

実際、トランプ1期発足は2016年からで当時のFRB議長はイエレン氏、2018年からはパウエル議長です。

そして、当時の金利を見るとトランプ就任後から引き上げられています。

果たしてトランプ大統領はイジワルをされているのでしょうか?

【結論】いずれにしろ金、銀は上昇するか

果たして今後インフレ再燃ルートなのか、世界経済危機ルートなのか?は分かりません。

ただ、先日の指標を見るとデフレルートも少し見えてきたような気がします。

以前からハンター氏はトランプ氏の経済政策を評価していましたが、「いやいや、インフレが進んでいくのではないのか?」と思っていました。

ただ、インフレ再燃ではなくデフレに向かうとするなら、トランプ氏はかなり早い段階で見抜き、対策しているということになります。

ハンター氏は経済崩壊事態は防げないが、経済政策のおかげで回復は速いだろうとしています。

そして、一方でポール・チューダー・ジョーンズ氏や債券王ガンドラック氏はインフレ再燃を予測し、債券を空売り、金を保有を宣言してます。

レイ・ダリオ氏も金の保有を推奨していましたね。

少しおもしろいのはインフレ再燃であろうと、経済崩壊ルートであろうと、どちらも金や銀の価格は上昇していくと予想していくところですね。

また、金融面だけではなく需給面でも金や銀は強気要素が多数あります。

【2024年版】銀が600ドル(20倍~)を超える?銀が強い8つの理由を解説。

トランプ関税で貴金属が高騰?金銀がフロリダ州の通貨になる可能性等 9つの金銀ニュース

また、トランプ氏は経済崩壊だけでなく、米国債需要が減少するのも理解している気がします。

その後何をしようとしているのか?推測は長くなったので今度書いていきます。

 

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