
トランプ氏が公式に自身のミームコイン(暗号通貨)である$TRUMPを発表し、それが50倍以上の上昇、数時間で30億ドル取引されているということで話題になっています。
そして、記事後半で解説しますが99.99%の人がこのミームコインに夢中になっている裏で、純金で出来たトランプ氏の紙幣が発行されています。
まずはミームコインの流れを見ていきましょう。
1,トランプ氏が公式 ミームコイン発表 $TRUMPが数時間で70倍以上に暴騰後、40%以上暴落。
ことの発端はトランプ氏が自身のXのアカウントで自身のミームコインを発表したことが始まりです。
https://x.com/realDonaldTrump/status/1880446012168249386
アカウントは完全に本人のもので間違いなかったのですが、いくら暗号通貨を全力で推すと発言しているとはいえ、自身のミームコインを発表はあまりにも突飛だったので
「アカウントがハッキングされているに違いない」
「息子が勝手にXに投稿したのだろう」
など疑う声がほとんどでした。
しかし、この内容が自身のSNSであるTrueソーシャルでも投稿されていたり、息子のエリック・トランプ氏もリツートしたのもあって、本物だと確定。
その後、話題が広まるにつれて価格は上昇し続け、70倍以上に上昇したようです。
$TRUMP の時価総額が正式に100億ドルに到達。S&P500の過去40年間のリターンを上回っています。
※執筆時点では最高720億ドル
BREAKING: Donald Trump's memecoin, $TRUMP, officially hits $10 billion in market cap.
— The Kobeissi Letter (@KobeissiLetter) January 18, 2025
It has now outperformed the last 40-year return in the S&P 500. pic.twitter.com/agkYMfXDSZ
コインベース、Binanceという暗号通貨取引所に上場予定のようです。
そして、現在はメラニア夫人も同じようにミームコインを発表し、わずか 4時間で20倍以上に上昇し、取引額が 10億ドルを超え。
一方でトランプ氏のミームコインは40%以上下落してます。
ここまでは執筆時点での最新情報です。ここから分かるのは、投機家や本質的な価値が見抜けない情報弱者がミームコインからミームコインに金魚のフンのように移動しているだけということです。
ちなみにこちらが公式サイトです。おすすめしているというわけではありません。
※少しお痩せになっている気が…
そして、このトランプコインを発表したことでトランプ派の人も「トランプ大統領には失望した」という声が多いようですね。
このミームコイン $TRUMPのせいで、私は次期トランプ大統領に対する尊敬の念が大きく失われてしまった。
本当に今これ…は必要なんですか…😑
みんな、何してるんですか?これがうまくいく世界ってどこなんでしょう?
それに、既に選挙に勝って、これから政権を握るって時に、資金集めなんて本当に必要なんですか?キャンペーン資金も必要ないのに。
例えば…その収益で壁でも建てるつもりなんですか?
「ハッキングを疑う」ということは、つまりトランプ氏が良くないものを売っていると判断されているから、疑われているとも言えます。
本当に良いものを発表したと判断されていたら「良し!トランプ良いぞ」と応援の声が多数になるはずです。
しかし、暴騰しているということは買われているということです。
恐らくですが、暗号通貨初心者、重度のトランプ信者、そしてこれら参加者から金を巻き上げたい投機家かと疑っています。
信者の中には「トランプが無から100億ドルを生み出した!」
と興奮している人もいますが、現時点では特に優れた機能や裏付け資産があるわけでもなく、ただ単に情報弱者とそこから搾取したい投機家のお金が$TRUMPというミームコインに集まっているだけです。
億り人になっている人が続出!としている人もいますが、情報弱者→儲けたい人に資金が移動するだけで何も生産性はありません。
そして、チャートだけ見ると億り人が続出しているように見えますが、発表されて1時間以内に購入した人以外はそれほど大きく儲けることは出来なかったという分析もあります。
「これは人生最大のチャンスだ」と主張する投稿にはだまされないでください。
実際には、最初からチャンスなんてなかったのです。
人生最大のチャンスを逃したと思って自分を責める必要はありません。チャートは肉眼では強気のように見えますが、内部操作やボット活動の兆候が見られるため、このコインには注意が必要です。
最初の1時間以内に(投稿が本物かハッキングかも気にせず)内部関係者か、盲目的に飛び込んだ「投機家」でなければ、3倍以上の利益を得ることはほぼ不可能でした。
最初の1時間が終わる時点で、時価総額はすでに70億ドルに達していました。
最初の1時間こそ、盲目的に飛び込んだ真の投機家たちが人生を変えるような利益を得た時間です。
その後のポジションでは、投稿時点(時価総額200億ドル)でせいぜい2~3倍の利益が期待できる程度です。
悪くない利益ですが、人生を変えるようなものではありません。
そして、「これは人生最大のチャンスだ」と主張する投稿にはだまされないでください。
しかし謎なのは「ビットコインを準備資産にする」と言いつつ、ビットコインと相反するミームコインを発表した点です。
以前から、トランプ氏は「ビットコインを米国の準備資産にいれる」「ビットコインで36兆ドルの米国債務を返済する」と発言してます。
→【金銀はオワコン?】トランプ 「ビットコインは金の市場価値を超える」発言の理由を考察。
もし、それが本気なのであればビットコインを全力で推すべきであり、ミームコインに資金が流入するのは悪手に思えます。
意図しているかは不明ですが、この一連の動きで何も裏付けの無いミームコインには価値がないということを数日で証明したように見えます。
裏付けのない暗号通貨を破壊することが目的なら天才的ですがどうなのでしょう?
「ミームコイン等暗号通貨を破壊する目的なら規制すればいいのでは?」
とも思いましたが、恐らく今後金や銀に裏付けの暗号通貨や後で解説する、国債のブロックチェーン化に相反することになります。
いずれにしろ、たった数日でミームコインの信頼性は地に落ちたので、他のミームコインで儲けようとした詐欺師は困っているでしょう。
このミームコイン発表に夢中になっている中、ほぼ同時にトランプ氏公式の純金紙幣が発表されています。
2,トランプ氏 純金紙幣とは?
従来の金箔とは違い、先端技術によりポリマー基板上に純金の層を形成している紙幣で、恐らく100ミリグラム分の24K純金が含まれているようです。
1枚辺り35ドルなので現在のレートでいうとだいたい5,000円前後でしょうか。100グラムではなく100ミリグラムなので注意です。
https://realtrumpcoins.com/products/presidential-gold-aurum-note
そして説明によれば、紙幣から金に元に戻すことができ、実際に金を保有していることになるようです。
大統領ゴールド・アウルム® ノートは、世界で最も先進的な技術を駆使して作られた24K純金の紙幣です。
各ノートには、原子単位で堆積された正確かつ検証可能な金の層が、耐久性のあるポリマー基板上に形成されています。
アメリカ国内で誇りを持って製造され、このノートはオレゴン州の最先端施設で特許取得済みの原子堆積技術とカスタム印刷プロセスを使用して作られています。
従来の「ホイル(金箔)」紙幣とは異なり、アウルム®の金は適切な精錬を通じて元の元素状態に戻すことが可能です。
販売開始されるのが1月20日の大統領就任日ですが、だからといってこの日に金本位制に戻るとかそういう可能性は無いと見ています。
また調べてみるとこういった、純金が入った紙幣タイプのものは既にいくつか販売しているようですね。
過去にこういったトランプゴールド紙幣の偽物は数多くあったので、今回も偽物かと思いきや、こちらはTRUMP COINというトランプ氏と公式提携しているところの商品です。
https://x.com/realtrumpcoins1/status/1880624924228030955
この純金紙幣より前、2024年9月にトランプ氏はここで公式の金貨と銀貨を販売しています。
https://x.com/realDonaldTrump/status/1837549569481285792
日本でもトランプ氏の彫刻が入った金貨や銀貨など販売していますが、トランプ氏本人が公認しているものはここで販売されているものだけです。
しかしここでも疑問なのが暗号通貨を全力で推す!としているのに、なぜこのタイミングでわざわざ純金の紙幣や金貨、銀貨を販売するのでしょうか?
本当に暗号通貨一本に絞るのであれば、金や銀の存在を忘れるくらいに暗号通貨をゴリ推しした方が良いです。(成功するかは別にして)
3,暗号通貨×金、銀裏付けの前段階?
あくまでも推測の域ですが、暗号通貨を推しつつも金や銀貨を販売しているのは、今後金や銀で裏付けた暗号通貨の為の前準備的なものかと推測してます。
以前も当ブログで紹介してますが、トランプ氏が大統領1期目にFRB理事に指名した、ジュディシェルトン氏は過去にこのような発言をしています。
ジュディ・シェルトン氏
「金で裏付けられた通貨のアイデアが気に入っています。暗号通貨のような形で実現することも可能です。」「統一された通貨システムなので、国際市場について話すとき、誰もが平等な通貨の競争の場で戦っていることになります。」
ジュディ・シェルトン氏とはトランプ大統領時にFRB理事に指名しただけでなく、当時経済アドバイザーとして助言を行っていた人物です。残念ながら上院によって阻止されバイデン大統領により指名を取り下げられていますが。
バイデン米大統領、シェルトン氏のFRB理事指名取り下げ
バイデン米大統領は4日、トランプ前大統領が連邦準備理事会(FRB)理事に指名したジュディ・シェルトン氏の人事を取り下げた。
https://jp.reuters.com/article/usa-biden-shelton-idJPKBN2A4343/
ジュディ・シェルトン氏の連邦準備制度理事会理事候補としての指名は、上院によって阻止されましたが、再度持ち出される可能性もあります。トランプ大統領は彼女を中央銀行に適任と考えていましたが、少なくとも3人の共和党議員が彼女に対して懸念を示した。
https://www.vox.com/policy-and-politics/2020/11/17/21569992/judy-shelton-federal-reserve-trump-nominee
大統領時に金本位制肯定派のジュディ・シェルトン氏を指名することから、大統領になり自身が米国財務政策に関わった後でも金本位制に肯定的だと考えられます。
また、最近もジュディ・シェルトン氏は「金と兌換可能な50年国債の提案」しています。
トランプ大統領の主導により2026年7月4日に発行される、金に転換可能な50年国債の提案。
そして、以前から何度もお伝えしているように米国債は売却が続いており、代わりに金が購入されてる状況が続いてます。
原因は米国債務増加が著しく増加しているからです。現在36兆ドルを超えており、債務利払い費だけで、防衛費や医療費を超えて現在も増加ペースは落ちてません。
→ゴールドが最高値を更新し続ける”本当の理由”とは?今後も上昇する可能性は高いのか?
イエレン財務長官からも「1月21日には米国債務は上限に達する」と追い打ちをかけています。大統領就任は20日なので翌日に上限到達という嫌がらせにしか見えないですが・・・
しかし、そんな中トランプ氏自身も「債務上限を撤廃せよ」と表明してましたが、次期財務長官のベッセント氏はもしトランプ氏が債務上限の撤廃を支するならば、それを支持すると述べています。
そして以前の記事でトランプ氏は大恐慌が迫ってくることを把握していると紹介しました。
→デビッド・ハンター氏「インフレからデフレに転じ,金3400ドル、銀75ドル向かうだろう」
一般的に不況が来る場合、債券はむしろ買われます。なぜなら国が保証しているので、株などの資産よりも安全だとされるからです。
そしてハンター氏も不況が近づくにつれて、利回りは低下してくだろうと予想しています。利回り低下とはつまり債券が購入されるということです。
しかし、現在のように金が買われ米国債売却が続いている状態で、リーマンショック超えの世界経済危機が来た場合、米国債は買われるでしょうか?
GDPの乖離が始まってから米国債離れが進んでいます。
そして、世界的な不況が来れば当然GDPも激しく下落します。
不況が来るまではオーソドックスなリスクオフとして債券が買われる可能性はありますが、実際危機が訪れた場合「もう米国ですら経済の回復は不可能だ」
と判断され世界不況が来ても米国債ですら、購入されない可能性はありそうです。
もし、不況時に安全資産とされてきた米国債ですら購入されないのであれば、人々の資金はどこに向かうでしょうか?
トランプミームコインでしょうか?金でしょうか?
ただ、当然彼らもアホではありません。債務危機が迫っていることは承知しているはずです。
今後、米国債務の増加が止まらず国債の売却が続くような事態があれば、なんとかして信頼を回復させるしかありません。
信頼を回復させるのにもっとも手っ取り早いのは倉庫から金を引っ張りだして(あれば)、シェルトン氏の提言するように、金と兌換可能な国債を発行するなり裏付けする必要が出てきます。
そして国債をブロックチェーン化するような話もあります。
各国が国債のオンチェーン化を検討
政府債券のオンチェーン化により、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の監視に関する懸念なしに、政府保証付きの利付デジタル資産が創出されることになるという。
https://jp.cointelegraph.com/news/decentralized-chatbots-govt-bonds-onchain-a16z-crypto-trends-2025
国債を購入するには銀行口座が必要ですが、ハンター氏は世界的な経済危機で多くの銀行が破綻に追いやられると予測してます。
しかし、ブロックチェーンで国債が購入できるのであれば、銀行口座がなくとも、取引可能になります。
果たして暗号通貨を推しつつ、金の紙幣なども発表しているのは金の裏付けられた暗号国債的ななにかの布石なのでしょうか?
現時点ではただただ妄想するしかありません。
いずれにしろ、金と銀は握っておいた方が良さそうです。
→デビッド・ハンター氏「インフレからデフレに転じ,金3400ドル、銀75ドル向かうだろう」
→現在の金銀価格はリーマンショック前の暴騰相場に近い?金3270ドル、銀43ドルの可能性はある?
→次期米財務長官スコット・ベッセント氏「金は私の最大のポジションである」しかし金が下落した3つの理由は?
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