ジム・ロジャーズ「2024年は金より銀が良い」なぜ今銀を推しているのか?

世界三大投資家とも言われる金、銀に強気なジム・ロジャーズ氏がインタビューにて改めて貴金属に強気と主張していたので、共有していきたいと思います。

ただ、当ブログではいつも言っているのですが「著名人が言っているから正解」と近道するのではなく、本当にその人物の主張はポジショントークではないのか?自分で検証していく必要があります。

ジム・ロジャーズ氏は日本向けの書籍やインタビューでは、日本を非難していると言われることが多いですが、米国の財務状況に関しても非難しています。

では、なぜ今貴金属なのか?米国の何が問題なのか見ていきましょう。

1,今は金よりも銀。銀はまだ最高値より40%も下落している

ジム・ロジャーズ氏

私は銀も金も所有しています。何年も前から銀と金を買い続けており、これまで一度も売ったことはありません。もし今日買うとしたら、銀を買います。銀はまだ過去最高値から約40%も下落していますが、金は過去最高値を更新しています。

ジム・ロジャーズ氏は金も推奨してますが、今の時点であればそれよりも銀を買うと主張しています。

その理由は単純で金がここ最近はドルベースでも最高値を更新する中、銀も追随して上昇傾向にあるものの、最高値には程遠いからです。

まずは金のチャート。円安だから金は高くなっているという方もいますが、ドルベースでも最高値を更新し続けています。

現在の上昇トレンド以前の最高値は2020年7月あたりの1,970ドルで、現在は2,434ドル。

一方で銀のチャート。

金の上昇に追随して最近は上昇トレンドに乗っていましたが、2011年4月の最高値48ドルで、現在は27ドル前後。

ジム・ロジャーズ氏が言う通りチャート上の数値だけ見ると金に比べると明らかに割安です。

ただし、これはあくまでもチャートで比較しただけの話。

銀の採掘量が急増したり、需要が急減すれば価格の乖離が起こってもおかしくありません。特に金よりも遥かに産業用途が多いので実需で影響を受けやすいです。

ジム・ロジャーズ氏はここでは銀の需給には触れてませんが、実は銀は供給不足なのです。

銀はなぜ供給不足なのか?

では銀の供給量はどうなのか?このブログを読んでいただいている読者様であれば、既にご存知の通り、銀は4年連続供給不足です。

https://www.mining.com/web/global-silver-deficit-to-rise-in-2024-due-to-higher-demand-lower-supply/

非営利団体シルバーインスティテュートによると、2024年の世界の銀の供給不足量は2億6,500万オンスに達すると予測されています。

【2024年版】銀が600ドル(20倍~)を超える?価格上昇する8つの材料とは?

以下の画像は世界の銀鉱山採掘量の予測。採掘量は増えるどころか、2024年の世界の銀鉱山生産量は0.8%減少する見込み。(25,613トン減少)

銀鉱山を増やせば良いと思う方もいるかもしれませんが、新しい鉱山を開発するのには地質調査、探鉱、、環境影響評価最低でも採掘開始まで10年以上はかかるとされています。

鉱山の開発は大規模な投資が必要であるため、多くの企業は慎重に計画を立てます。

特に今のようにインフレで人件費が上がり続けるような環境だとより慎重になります。

ではなぜ銀の需要が増えているのか?まで書くと長くなりすぎるので割愛しますが、銀は金属の中で最も電導性が高いので電子機器や発電機器、バッテリー等に大量に使われます。

そして今後AIやEV、暗号通貨の発展はほぼ確実視されています。どんな悲観論者でも今後AIや暗号通貨、EVが衰退すると予想する人はいないでしょう。

またビットコインについて「詐欺的だ」とまで否定的だっったトランプ氏は以下のように語っています。

「ビットコインはドルを脅かしているのではなく、現在の府がドルを脅かしている。
米国は地球上の暗号通貨の首都となり、ビットコインの超大国となる。」

【金銀はオワコン?】トランプ 「ビットコインは金の市場価値を超える」発言の理由を考察。

現時点では大統領に当選するか?は不明ではあるものの、当選した場合ビットコインに力を入れるのは確実です。

暗号通貨にはマイニングが必要です。マイニングとは暗号通貨の取引データを複雑な計算を行います。この計算には大量の電力を消費します。

またブラックロックのCEOラリーフィンク氏ですら「G7諸国はAIを為に必要な電力が足りないと述べています。

「これらのAIデータセンターは、私たちが想像していた以上の電力を必要とするでしょう。私たちG7には十分な電力がありません」とフィンク氏。
「これは各国にとって競争上の大きな課題になると思います」

https://www.reuters.com/technology/blackrock-ceo-sees-giant-issue-europe-due-ai-power-needs-2024-05-17/

今後AIや暗号通貨、EV、新型のバッテリーなどが発展する。発展するには大量の電力が必要になる。大量の電力を効率よく使うには大量の銀が必要ということです。

現在のところ銀の在庫が需要を支えていますが、世界の銀不足は2024年に増加する見通しであり、在庫が無くなっていけば更に銀の価格は上昇していく可能性はあると思われます。

このような供給不足にもかかわらず、銀の在庫は目に見える形で存在し、個人や投資家が保有する莫大な在庫が、銀市場を今のところ圧迫から守っている。

https://www.mining.com/web/global-silver-deficit-to-rise-in-2024-due-to-higher-demand-lower-supply/

2,米国は景気後退に向かっているのか?

ジム・ロジャーズ氏

現在のところ、夕方のニュースでは株式市場が過去最高値を更新し、物事が順調であると言われているため、大多数の人々は何も心配してません。仕事があり、インフレもある程度抑えられ、株式市場は上昇しています。

ジム・ロジャーズ氏は米国が景気後退に近づいているにも関わらず、殆どの人は楽観的でなにも心配していない点を指摘しています。果たして米国の経済は本当に強いのか?

先日の米国雇用統計では遂に4.3%を超え、景気後退予兆の指標であるサームルールの条件が該当したと話題になりました。

サームルールとは失業率の3ヶ月移動平均が、過去12か月の最低値を0.5%ポイント上回った場合、1950年以降において、過去11回の景気後退期で100%サームルールが発動しているというものです。

サームルールとは別に有名な景気後退のシグナルが”逆イールド”です。

過去50年間で8回この逆イールドが発生しましたが、そのうち7回は逆イールドが発生してから景気後退が訪れています。

2021年から逆イールドが発生し深い時で、大恐慌の前年である1928年と同じレベルに達しています。

また逆イールドが発生してからと景気後退の間隔までタイムラグがあり、平均で約14カ月で景気後退が発生しています。

逆イールドが発生すると景気後退が起きる仕組み。

通常、銀行は預金者からお金を預かり、それを企業や個人に貸し出すことで利益を得ています。

短期的に安い金利で資金を調達し、それを高い金利で長期的に貸し出します。この差額(利ざや)が銀行の利益となります。

しかし逆イールドが発生すると、短期金利(銀行が資金を調達する際の金利)が長期金利(銀行が貸し出す際の金利)よりも高くなります。

これにより、銀行は高い金利でお金を借りて、低い金利で貸し出すことになり、利益がほとんど出なくなります。

銀行は利益が出ないため、新たな貸出しを控えるようになります。

さらに、既存の貸し出し条件の見直しや、貸し出し基準の厳格化が進むこともあります。

これにより企業や個人が必要な資金を調達しづらくなり、経済活動が鈍化します。

そして、景気後退は逆イールドが発生した時ではなく、”逆イールド解消するタイミング”で発生することが殆どです。

先ほどのグラフを見ると分かりますが、逆イールドが発生し金利差が収縮しはじめてから景気後退に向かっているのが分かります。

そして今まさに2年債と10年債の利回り格差は、ここ2年で最も逆転幅が小さくなっており、長らく続いた逆イールドが解消されようとしてます。

このように景気後退の兆候と言われるシグナルはいくつも点灯してるにも関わらず、米国株式市場はそれほど下落しておらず、ジム・ロジャーズ氏が指摘するようにかなり楽観的に見えます。

そしてジム・ロジャーズ氏はこのように続けます。

ジム・ロジャーズ氏

私は多くの米ドルも所有しています。なぜなら、米国は世界で最も大きな債務国だからです。しかし、危機や問題が起こると、人々は安全な避難所を求めます。歴史的な理由で、多くの人々は米ドルが安全な避難所だと考えています。実際にはそうではありませんが、人々はそう思っています。だから私はドルを所有しており、混乱が起こったときにドルが上昇し、その時に売るつもりです。

米国の債務額があまりにも多い点からして米ドルは安全ではないとしながらも、多くの人が米ドルが安全だと思いこんでいるので危機が発生した際は米ドルが上昇するとしています。

ジム・ロジャーズ氏

ワシントンは心配する必要はないと言っていますが、問題にはならないと言っています。現在、私たちは亀裂が見え始めているのでしょうか?

銀が非常に良い時期は来るのか?

ジム・ロジャーズ氏

今日、金と銀のいずれかを買う選択肢があるなら、彼は安価な金属を選ぶでしょう。なぜなら、再び銀価格が非常に良い時期が来ると確信しているからです。

一番重要なのが景気後退後に銀は下落した後に本当に上昇するのか?という点です。

一々過去の景気後退時の銀価格のチャートを全部貼りませんが、コロナショック時、リーマンショック時、1970年代のスタグフレーション時はいずれも下落後に上昇しているのがわかります。
過去の金融危機で金、銀も大暴落した?S&P500と下落率を比較した結果・・・

1970年代のスタグフレーション時に銀が30倍以上に大きく暴騰したのは有名ですが、実は銀はリーマンショック時でも他の資産クラスより大きく暴騰してます。

2008年の底値8.8ドルから2011年で48ドルまで上昇。39.2ドル上昇し、上昇率は脅威の約445.5%です。

なぜ銀を含む、インフレ資産は景気後退後に下落した後に上昇するのか?

景気後退が発生した後、中央銀行は急激な利下げや場合によっては給付金バラ撒きなどの、大規模緩和策を強いられます。

大規模緩和が実施されれば、インフレ期待が高まり銀を含むインフレ資産は上昇していくというわけです。

そして現在は1970年代のようなインフレと景気後退が同時に進行するスタグフレーションに近いと予想する投資家が数多くいます。

リーマンショック時はそれほどインフレが問題にならなかったので再度下落したのですが、今回はどうでしょう?

過去パンデミックショック、リーマンショック、1970年代の銀の相場については以下の記事についてまとめてますので、銀に興味がある人は目を通して頂きたいです。
過去の金融危機で金、銀も大暴落した?S&P500と下落率を比較した結果・・・ロバート・キヨサキ「株式、債券、金、銀、BTCの価格の史上最大の暴落が来る。」

イーロン・マスク「米国は破産しつつある」ドルの価値は過去4年間で25%の価値が減少しているのは本当か?

 

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