
目次
- 1,ゴールド、シルバーに関するニュース等
- 1,金2645ドル、銀30ドルで推移。軟調な動き
- 2,BofA(バンク・オブ・アメリカ)の貴金属売却が、金属価格の下落の主な原因か
- 3,中国は密かに60トンの金を購入か?
- 4,次期米財務長官スコット・ベッセント氏「金は私の最大のポジション」
- 5,チェコ共和国の中央銀行は、3年以内に金準備を100トンに倍増を表明
- 6,カザフスタン金売却から購入に一転か?
- 6,ジュディ・シェルトン氏「金に転換可能な50年国債の提案。トランプ大統領の主導による、2026年7月4日に発行」
- 7,中国とインドからの銀輸入数は、今年の世界の銀鉱山生産量の約70%を占める
- 8、デビッド・ハンター氏「銀のターゲットは75ドルで、次の数ヶ月でこれが実現すると思います。」
- 世界経済のニュース
1,ゴールド、シルバーに関するニュース等
1,金2645ドル、銀30ドルで推移。軟調な動き
最近の金銀の動きは軟調です。米国大統領選挙後に大きく下落した後、一旦は2700ドルまで回復したものの再度下落。
現在は2645ドル前後で動いています。
記事後半で解説しますが、トランプ大統領が「BRICS通貨創設し脱ドルは許さない」といった発言をし、直後に金は下落。
また、銀に関しても同じような動きです。
この話だけですと、日本の貴金属投資家が意気消沈してしまいそうなので明るい話も。
私が参考にさせて頂いているジェシー・コロンボ氏の分析です。
銀についてはさらに明るい兆候が見られます。
昨晩は大きく下落したが、その後完全に回復し、ここ数週間で3番目のハンマーキャンドルを形成した。
ハンマーキャンドルは底でよく見つかります。
彼は、ハンマーキャンドルがしばしば価格の底を示すことが多いと指摘しています。
このようなキャンドルパターンは、下落した価格が反発してオープン価格付近で終了することで、銀は価格が底を打った可能性を示唆しているようです。
また別の貴金属投資家ティム氏はこのように述べています。
4年連続で赤字、地上埋蔵量は枯渇、価格が安すぎて新規採掘は不可能、唯一の原材料は1980年の高値以下で取引されている。
お買い得だ。50ドル以下で買えたら幸せ。
いつまでもこの安さは続かない。供給は枯渇した。
In deficit for the fourth year in a row, the above-ground reserves are exhausted, the price is too cheap to allow new mines, the only raw material still trading below its 1980 high. It's a steal. Be happy if you get it below $50, it will not stay this low forever. Supply is… https://t.co/YSQ0VKs2Dy pic.twitter.com/V8fOyAFgdO
— Tim Hack (@realTimHack) December 3, 2024
全面的に同意です。現時点で銀は2024年供給不足が確定していますし、今後も銀の供給不足は続くと予測が強いです。
→【2024.11】6年連続で銀は供給不足!今後も供給不足は続く?ETFのリスクとは?
景気後退が訪れれば、一度は需要も急減するでしょうが、だからといって今までの技術が失われるわけではありませんからね。
2,BofA(バンク・オブ・アメリカ)の貴金属売却が、金属価格の下落の主な原因か
金属価格下落の主犯はおそらくバンク・オブ・アメリカで、12月限で銀1,480万オンスと金20.7トンを売り払った。これは金属販売量の半分以上を占める。
12月契約の最初の通知日に、バンク・オブ・アメリカ(BofA)は6,656件の金契約(665,600オンス、20.7トン)の配達通知を発行しました。
さらに、BofAは2,951件の銀契約(1480万オンス)を1日目に売却しました。
BofAは、両金属の最大のショートポジションを持っており、これらはBofAによる過去3番目に大きな売却となります。
「最近の金などの大きな下落はバンク・オブ・アメリカが大量の貴金属を売却したからだ」とミシェル氏の分析です。
そして、興味深いのは「同じ週にバンク・オブ・アメリカは2025年は銀に強気である」というレポートを発表していたようです。
つまり、表向きには銀の価格は強気だ!とマーケットに伝え銀価格が上昇したところで、銀を売却しているのでは?と疑いがあるということです。
3,中国は密かに60トンの金を購入か?
貴金属アナリストであるJan Nieuwenhuijs氏 @JanGold
の情報によると中国人民銀行(PBoC)は公式発表ではゴールド買いを中断しているが、実は自国の通貨を支える資産として金の保有量を増やしているとのこと。
記事によれば2024年9月だけで中国人民銀行は、約60トンの金をロンドン金市場で購入しているようです。
中国は表向きには金の購入を停止していますが、実はこっそり購入している可能性はありそうです。
詳しく解説した記事はこちら↓
また、少し前ですがサウジアラビアに関しても、密かに大量の金を購入しているという分析がありました。
サウジアラビアが160トンの金を密かに購入か?BRICS通貨に参加する?
このように表に出ない形で金が買えるのであれば、他の国も密かに購入している可能性はありそうです。
4,次期米財務長官スコット・ベッセント氏「金は私の最大のポジション」
米国財務長官としてイエレン氏の代わりに新しくトランプ氏が指名したのが、スコット・ベッセント氏です。
ベッセント氏は財務長官に就任しますが、キー・スクエア・グループというヘッジファンドを運営する投資家でもあります。
過去にはジョージ・ソロスと共にソロス・ファンド・マネジメントで働いていました。
そのベッセント氏が自身が「金に強気であり、金が最大のポジション(一番多く保有している)」
と発言があり、貴金属投資家らの間で話題になりました。
一時間ほどのインタビューですが、51分辺りからゴールドについて語っています。
I think we are in a long-term bull market in Gold. I think we're seeing Reserve accumulation by central banks I follow it closely it's my biggest position and even I was surprised the other day when the Central Bank of Poland came out and said that they want to take their gold reserves to 20% and you know.
私は金の長期的な強気相場にいると考えています。
中央銀行による準備金の積み増しが進んでいるのを見ており、それを非常に注視しています。
金は私の最大のポジションであり、先日、ポーランド中央銀行が金準備を20%に増加させると発表したことに私は驚きました。
ベッセント氏によると金に強気な理由は中央銀行が準備金として、金を大量に保有している点、ポーランド中央銀行が金準備を20%増加させる点について語っています。
そして、興味深いのはこのインタビューが大統領選のわずか3日前だった点です。
これが3年前とかであれば、ポートフォリオがまったく違っているものになっている可能性はありますが極々最近の話です。
5,チェコ共和国の中央銀行は、3年以内に金準備を100トンに倍増を表明
チェコ共和国の中央銀行は、3年以内に金の準備金を100メトリックトンに倍増させることを目指しています。
同銀行は次のように述べています:
「私たちはボラティリティを減らす必要があり、株式と相関しない資産が必要です。その資産は金です。」金は通貨システムの基盤です。
チェコ共和国の中央銀行が、金の準備金を現在の量から倍増させて100トンにするという目標を掲げていることが注目されています。
この動きは、金が株式市場とは無関係で安定した資産としての価値を提供するために重要であると考えられているからです。
また過去の記事でも書きましたが、ポーランド、ハンガリーも大量に金を購入することを宣言しています。
→大統領選後に金銀は下落。露,印,波の中央銀行は金大量購入か?等16の金銀関連ニュース【11月第2週】
6,カザフスタン金売却から購入に一転か?
カザフスタンは金の売却が続いていました。ワールド・ゴールド・カウンシルによると、2024年第2四半期はカザフスタン-11.8トン減少しています。
金の売りが続いていたわけですが、10月の4トンの金を購入したようです。
最新のIMFデータによると、カザフスタン国立銀行は10月に純4トンを購入した。
これは4月以来初めて月間準備#goldの増加となる。これにより同銀行の金保有量は合計290トンとなり、2023年末より4トン減少した。
ここから金の買いが継続するのか?注目ですね。
6,ジュディ・シェルトン氏「金に転換可能な50年国債の提案。トランプ大統領の主導による、2026年7月4日に発行」
ジュディ・シェルトン氏とは金本位制支持派の経済学者であり、トランプ氏が第一期大統領時にFRB理事に指名した人物です。
また、当時のトランプ氏の経済顧問としても活動していました。
そのジュディ・シェルトン氏が「金に転換可能な50年国債の提案」しています。
トランプ大統領の主導により2026年7月4日に発行される、金に転換可能な50年国債の提案。
現在の債券は当然ドルで利息などが返ってくるわけですが、インフレが続けばドル資産である債券価値も下落していきます。
金利がインフレを上回れば、利益が得られますが現在のようにインフレが再燃という局面では、長期債など価値が目減りする可能性があるので買いにくいです。
1年後のインフレ率がどうなるか?も分からないのに、10年、50年後のインフレがどうなっているか?なんて更に不明瞭です。
しかし、金と兌換可能であれば一定の価値を担保し続けてくれるわけです。
ただ、リプ欄など反応を見ると「本当にアメリカに金があるのか?公開監査が必要だ」という意見はかなり多いですね。
https://x.com/DavidLe76335983/status/1860078272153108956
米国は8000トンの金があるとしてますが、50年間監査していないので、実は金はもうないのではないか?という疑いは貴金属投資家の間で疑われてます。
個人的には無い。気もしますが実はある気もします。
7,中国とインドからの銀輸入数は、今年の世界の銀鉱山生産量の約70%を占める
エルサレム・ポストによると、中国の銀需要が急増しているとのこと。
- 中国の銀の需要は年間9,000トンを超えて急増
- 戦略的な産業投資が銀の消費を大きく押し上げている
- 中国の積極的な金属調達戦略が地政学的に与える影響
また、記事内にEricさんの投稿が貼ってありますがその内容を見ると
中国浙江省楽清市には国内最大の電鍍工業団地があり、毎年2,000トン以上の銀を消費しています!これは上海先物取引所の公開ニュースに基づいたデータです。
中国の銀の輸入業者の主な目的は、この巨大な工業用銀を確保することであり、現在年間で少なくとも9,000トン以上を必要としています。
さらにその需要は急速に増加しています。そのため、中国は直接ペルーに赴き、全ての銀鉱石を購入し、錢凯港から直接中国に輸送しています。習近平は400人の商業団を率いてペルーに到着しました。
https://www.jpost.com/business-and-innovation/precious-metals/article-829670
中国はペルーに銀を含む鉱物を直接貿易ができる港を建設してます。
https://x.com/oriental_ghost/status/1850050324037517327
中国は南米から銀などの重要な鉱物直接輸入する仕組みを構築してます。
そして、ペルーは銀の世界生産量第3位です。
また、ペルーはBBRICS加盟に関心を表明しています。
https://x.com/Globalstats11/status/1849398320932016179
8、デビッド・ハンター氏「銀のターゲットは75ドルで、次の数ヶ月でこれが実現すると思います。」
以前より銀は75ドル、金は3400ドルを掲げていたデビッド・ハンター氏ですが「金や銀が大きく下落後も強気予想はまったく変わっていない」ことをインタビューで語りました。
短期的には、つまり次の6ヶ月間について、私は貴金属の強気派なので、金は3400ドルに向かっていると思います。私はそのターゲットを最近3000ドルから引き上げました。
銀のターゲットは75ドルで、かなり遠いですが、次の数ヶ月でこれが実現すると思います
最近の調整は終わりに近づいており、両方とも今年中に新しい高値を更新し、その後も上昇を続けると考えています。
これにはドルも関係しています。ドルは下降を始めており、急激に下がると予想しています。
銅については、景気後退前に6ドルを超える可能性があり、現在は4ドル台前半ですが、数ヶ月後には6ドルに達すると思います。
他にもいろいろ語っていますが、大まかな予測は以前の記事にした時と同様です。
→デビッド・ハンター「2025年半ばに株式は80%下落し、20兆ドル規模の紙幣印刷でインフレ率は25%を超えるだろう」
世界経済のニュース
1,トランプ大統領「BRICS通貨創設すれば100%関税の制裁」
https://x.com/realDonaldTrump/status/1863009545858998512
日本でも話題になってますが、トランプ氏は「BRICS諸国が脱ドルせず、BRICS通貨を作らないように求める。さもなければ100%の関税をかける」
と半ば脅しのような表明して話題になっています。
普通に考えれば、米国が過剰に債務を増加させインフレが発生しているので、ドルを価値が目減りしているわけです。
更に今回のように「使わなければ関税をかける」など脅すのはむしろ逆効果です。
米国に従わなければ、一方的に制裁される通貨なら別の通貨を使いたいと思うはずです。
つまり、ドルは持っているだけでどんどん購買力が減少し、米国の都合で制裁される可能性があるにも関わらず、「ドルを使い続けろ!」と言っているわけですね。
海外の投資家らの意見を見てもだいたいこのような感じです。
ドナルド・トランプ氏のBRICSグループに対する怒りの脅しは、まったく的外れだ。
まず、国境を越えた取引の一部は長い間、米ドルではなく現地通貨で行われてきた。そうした取引の数は徐々に増加するだろう。経済学者たちはすでに、そのことが起きていると見ている。
第二に、異なる通貨間での現金送金を円滑に行えるようにデジタルメカニズムが開発される。これには、通貨バスケットから導き出された特定の為替レートの設定が含まれる可能性があるが、それでもまだ新しいBRICS通貨とはみなされない。新しい国際送金の取り決めも検討されている。
第三に、BRICS諸国は今後も貿易の選択肢として米ドルを組み込み、現在行われているように米ドル建て融資を続けるだろう。不必要に敵を作るのは中国のやり方ではない。調和が常に望ましい。そして忍耐は常に良い手段である。
個人的にはトランプ氏自身がドルの基軸通貨を実は止めたいと考えていると予測しています。あくまで1つのシナリオですが。
→トランプ氏「脱ドル化で関税で制裁」5つの思惑とは?トリフィンのジレンマで米ドルは終了なのか?
というのも、上の記事で解説してますが通常、国は自国の商品やサービスを他国に輸出して外貨を稼ぎます。
しかし、基軸通貨を供給する立場の米国は、逆にドルを供給するために他国の商品やサービスを輸入し、その支払いとしてドルを供給する必要があります。
基軸通貨である場合世界中がドルを使わざるを得ないので、米国は貿易赤字に陥ります。
そしてドナルド・トランプ氏とスコット・ベッセント氏は、貿易赤字削減を重要な政策目標としています。
トランプ氏が「脱ドルする国は関税で制裁をかける!」と騒げば騒ぐほど、ドル離れが進むというわけです。
米国大統領という立場的にも、脱ドルを望んでいるからと言って「もう米ドルは終わりだ!BRICS通貨に従いましょう!」なんて言えるはずもありません。
2,中国人民元は米ドルに対して12か月以上ぶりの安値に急落。インドルピー、ロシアルーブル
上の発言の影響か?はわかりませんが、BRICS側の通貨は対ドルで大きく下落しているようです。
とはいえ、BRICS側は現地通貨での取引が増加し、米ドルへの依存度を減らしてきてます。
また、以前より解説しているとおりゴールドを大量に買っています。いずれは、米国により自国通貨が対ドルで下落させられると分かっていたのかもしれませんね。
いざとなれば、BRICS側諸国が先にゴールドを再評価、通貨とペッグするかもしれません。
3,FRBの損失は2100億ドルを突破(前回は2070億ドル)
もはや定例になっていますが、FRBの損失が増加し続けています。これは米国債務額とは別です。
これは、連邦準備制度が銀行やマネーマーケットファンドに対して数百億ドルの利息を支払っている一方で、米国債や住宅ローン担保証券からの収入が減少しているためです。
4,サウジアラビアの米国債保有、2020年以来の高水準先日
「サウジアラビアが米国債を大量に購入している!ドルは強い!」と騒いでいる人もいましたが
サウジアラビアの米国債保有高は4年半ぶりに最大規模
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-12-01/SNTN62DWRGG000
しかしT-Billは1ヶ月~1年の短期国債です。つまりサウジ政府は 1年を超える資金を貸し付けたくないということです。
また、以前より解説しているように金を購入しているのであれば表向きは短期債券購入し、米国のご機嫌をとりつつ、裏では安全資産に逃げているのかもしれません。
→サウジアラビアが160トンの金を密かに購入か?BRICS通貨に参加する?
→ゴールドマン・サックス「金は1オンス3,000ドル目標」,金は2年ぶり売られ過ぎ水準に。15の金銀関連ニュース【11月第3週】
→デビッド・ハンター「2025年半ばに株式は80%下落し、20兆ドル規模の紙幣印刷でインフレ率は25%を超えるだろう」
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