中国が銅を大量に輸出した本当の理由は?景気後退の前兆なのか?

中国は2024年にはいってから猛烈な勢いで大量に銅を備蓄していました。

しかし、今後は猛烈な勢いで銅を輸出し始めています。

そして、ほぼ同時期から、銅価格はは9日連続で下落し、2020年1月以来最長の下落しています。

 

銅は多くの産業に不可欠であり、その需給動向が経済活動の強さを示す傾向があるので「経済の医者」「ドクター・カッパー」とも言われます。

中国が銅を放出しているのと同時に価格も下落しているので、「中国経済は破綻寸前だ!」

というのが一般的なメディアの報道の仕方ですが、実は原因は中国の景気後退ではないという意見もありましたので、紹介していきます。

もちろん、どちらがあっているかは分かりませんし、どちらもあっている可能性がありますが、そういう話もあるのかと覚えておくのは良いかと思います。

@PietroVentaniさんという方の推測です。

中国の銅輸出は欧米の輸出規制対策か?

‘Copper Exports’は単なる生の銅製品だけでなく、さまざまな銅製品を指す。

中国のより詳細に分析すると銅の輸出量の増加は「精製銅カソード」という特定のカテゴリによるものです。

精製銅カソードの輸出が5月に74,000トンから158,000トンに増加してます。

精製銅カソードは生銅や銅合金、再生銅よりも高品質であり、特定の高性能な用途に適し銅製品の中でも特に不純物を極限まで除去した高純度の銅です。

電気伝導率が求められる製品の製造に適しており、EVやソーラーパネル、バッテリーなどにも利用される重要な材料です。

その銅の中でも重要な精製銅カソードが全「銅」輸出額の74%を占め、前月の総輸出額との差は178%となったようです。

中国はもうEVやソーラーパネルを諦めて貴重な銅を世界に放出しているのか?というと単純でもなさそうです。

というのも先日トランプ氏の政策でも少し話題になりましたが、米国は中国に対して大きな関税をかける方針を発表しています。

米国だけではなく、EUに関しても追加関税を発表しています。

EU、中国製の電気自動車に追加関税 5日から暫定適用

欧州連合(EU)欧州委員会は4日、中国から輸入される電気自動車(EV)に対し、5日から暫定的に追加関税の適用を始めると発表した。現行の10%に最大37.6%を上乗せする。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB04C2W0U4A700C2000000/

先日のG7貿易会合では中国の過剰生産問題を監視するとしています。

G7貿易相会合 EVなど過剰生産問題 中国念頭に連携し監視強化へ

先月のG7サミットでの合意を踏まえ、中国によるEVや太陽光パネルなどの過剰生産問題や、経済安全保障に関わるテーマで議論が交わされ、17日に閣僚声明を採択して閉幕しました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240718/k10014514401000.html

つまり中国は今後EU以外でも追加関税など課されていく流れを予想し、メキシコなど中国以外に工場に原材料である精製銅カソードを大量に輸出している可能性があるとのこと。

輸出先で製造、出荷することで関税を回避するということです。

実際、自動車メーカーでサプライチェーンの中にメキシコを組み込む事で、関税回避しているというようなデータもあります。

メキシコの自動車部品供給業者の貿易団体INAのデータによれば、2023年には33社の中国企業がメキシコで操業しており、これらの企業はアメリカへ11億ドル相当の部品を輸出しています。

これは2021年の7億1100万ドルから増加しています。また、昨年メキシコは中国から約90億ドルの車両部品を輸入しています。

https://www.mic-cust.com/insights/posts/detail/ad/chinese-exporters-turn-to-mexico-to-avoid-us-tariffs/

これを裏付けるデータが米国の中国からの輸入金額です。2023年までは中国からの輸入金額が首位だったのが、メキシコが首位になっています。

米国の中国からの輸入金額シェアは首位から落ちて2位になりましたが、それでも2位で主要な貿易相手です。

23年のアメリカ貿易統計、輸入額でメキシコ首位に…中国の首位陥落は15年ぶり

https://www.yomiuri.co.jp/economy/20240207-OYT1T50186/

https://www.esri.cao.go.jp/jp/esri/workshop/forum/231206/pdf/231206_siryo04.pdf

とはいえ中国も住宅価格の下落率は過去最高というデータもあり

ことし4月から6月までの実質GDPも4.7%で、前の3か月のプラス5.3%から縮小しています。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240715/k10014511971000.html

中国の内需が減速しつつあるのは間違いないと思います。

ただ、減速しているとはいえいまだ実質GDPはプラスであり、輸出先を新興国にシフトしている点を考慮すると”銅の輸出自体は急激に景気後退しているから”では無いようにみえます。

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