BRICS「SWIFTと同様の金融システム正式発表」はデマ?少し深堀りした結果・・・

BRICS、SWIFTと同様の金融システム正式発表というポストがあったので、少し騒がれているのですが、記事を読むとデマとまでは言えないものの、正式発表とも言えない内容でした。

記事はhttps://watcher.guru/という主にクリプトカレンシー(暗号通貨)や金融市場に関するニュースと分析しているニュースサイトです。

フェイクニュースとかはほぼないですが”飛ばし記事”ちょいちょい見かけます。笑

で記事の内容がこちら↓

BRICS Officially Announces Financial System Similar to SWIFT

ロシアは、BRICS同盟がSWIFTに似た新しい決済システムの構築を計画していることを確認しました。

「BRICSの金融アジェンダには、2つの主要な課題を解決するための新しい経済現実を構築する主要なイニシアチブがあります。BRICS諸国の決済を清算できる国営銀行に基づいた、SWIFTに似た自分たちの金融メッセージングシステムを作ることが含まれます。」

とロシア国会副議長のアレクサンダー・ババコフ氏は述べました。

見出しだけ見るとまるでBRICS組織が公式発表しているかのような印象を受けます。

ただ、記事の中身を見るとロシアの高官が「SWIFTに似た自分たちの金融メッセージングシステムを作る計画がある」と述べているのであって、BRICSという組織が大々的に発表しているのと言うのは”飛ばし”に感じます。

そして、このwatcherはどこから情報を持ってきているかというと、ロシアの国営ニュースサイトであるタス ロシア通信社が出どころであるようです。

「新しい金融機関のシステムを創設する必要があります。

この新しいシステムは、参加国の既存の金融インフラと技術的に互換性があり、国家の決済システム、銀行、およびその他の金融機関との統合を含むべきです。

また、システムは高いセキュリティレベルとデータ保護を確保し、サイバー攻撃や無許可の金融情報へのアクセスを防ぐ必要があります」と彼は付け加えました。

これには先進的な暗号化技術とサイバーセキュリティ技術の導入が必要です。

https://tass.com/economy/1821353

BRICSが正式発表は早とちり感がありますが、BRICSが脱ドルを目指し新しい決済システムの開発を進めているのは間違いないです。

これは完全に私の妄想レベルの話ですが、BRICSの新しい決済システムが発表されるとすれば、世界的な金融危機が発生した後ではないかと思います。

というのも、脱ドルが進んできているとはいえ、BRICS加盟国も含みまだまだ世界の貿易はドルに依存しています。

BRICS側からしても急激に金融システムの転換があれば、経済的ショックは大きいです。

現に米国の輸入金額を見るとメキシコに首位を譲ったとはいえ中国が2位です。

https://www.esri.cao.go.jp/jp/esri/workshop/forum/231206/pdf/231206_siryo04.pdf

ロシアに関しても2021年のデータではありますが、一番の貿易相手国はEUで米国も6位。

少しずつ米国以外の新興国を輸出先にシフトしておりますが、ある意味米国はお客様とも言えます。

よくBRICS側は米ドルを破壊する為に金融システムを開発しているという意見も見受けられますが、BRICS側からしても急激にドルが崩壊するのは望ましくないと思います。

BRICS側が米ドルを破壊するというよりも、米国の財政状況が著しく悪化&米ドルの兵器化を懸念し、それに備えて新しい決済システムを開発しているという側面もあると思います。

2024年10月ロシア カザンでBRICS首脳会議を主催予定。

BRICS首脳会議がロシアで開催される予定です。

この会議でSWIFTの代わりになるような金融システムが発表されるのではないか?という噂も前々からあります。(あくまでも噂ですが)

2月の時点で34カ国がBRICSへの加盟を希望しているようです。(現在は59カ国が中国のBRICSに参加する予定という話もあります)

中国とロシアが支援する経済グループ「BRICS」が10年以上ぶりに加盟国を拡大した数週間後、加盟国の南アフリカが水曜日に発表したところによると、30カ国近くがBRICSへの加盟を希望しているという。

南アフリカのナレディ・パンドール外相は記者団に対し、34カ国がBRICSへの加盟を希望していることを明らかにした。

https://edition.cnn.com/2024/02/01/china/brics-membership-applications-china-russia-intl-hnk/index.html

2024年5月に行われたロシア連邦のセルゲイ・リャブコフ外務次官にインタビューを見ると次のように述べています。

スヴィアトスラフ・アロフ: 制裁はロシアとの関係においてBRICSの活動にどのような影響を与えましたか?最近、開発銀行がロシアでのプロジェクトに資金を提供できなかったのは、西側の妨害によるものです。BRICSは協力を続け、これらの障害を回避するためにどのような努力をしていますか?

セルゲイ・リャブコフ: 現在では、違法な制裁がその作者の意図した逆効果をもたらしたことは明らかです。これらの制裁は、西側の妨害に対抗するメカニズムを探す国際社会の大多数によって積極的な探求を促進しました。

重要な側面は、国際通貨および金融システムにおけるBRICS諸国の役割を強化し、銀行間協力を発展させ、国際決済システムの変革を促進し、BRICS諸国の貿易における各国通貨の使用を拡大することです。財政、税関、独占禁止当局間の対話を強化します。

№ 3, 2024. «The BRICS summit, scheduled for October 2024, will be the culmination of the Russian year in BRICS. We intend to continue the tradition of organizing on the sidelines meetings with developing countries»: Interview with H.E. Sergey Ryabkov by Sviatoslav Arov

若干、におわせ発言ありますが果たしてどうなるでしょうか。

BRICS決済システムとはちょっと外れますが、モディ首相は乗り気な模様。

モディ首相は、10月にカザンで開催されるBRICS首脳会議への参加を求めるプーチン大統領の招待を喜んで受け入れると明言した。ロシアのラブロフ外相

インド外務省はまた、モディ首相とプーチン大統領が2030年までに両国間の貿易額を1000億ドルにするという目標を設定したと報告している。

個人的には新しい決済システムは金融危機が発生した後か、かなりギリギリまで発表しないのではないかと思ってますが、最後までどうなるか分かりませんね。

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