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1,価格の急上昇後の3~4%調整はいつでも起こり得る。今後はボラティリティが高くなりやすい。
先日、銀の重要な抵抗線である32.5ドルを超えてから一度、35ドルをタッチした後下落。
現在は34ドル付近で、調整相場から上昇するか?どうか?という感じです。
下落したとはいえ32.5ドルを突破した後の動きを見ると、一旦下落しても再度上昇するペースが早くなっています。
32.5ドルが重要な抵抗線だったのは間違いないでしょう。
→銀は32.5ドルの抵抗線を突破!今後の銀価格予想と44年で形成された”カップウィズハンドル”とは?
執筆時点だと35ドルから下落しているので、心配するような声も海外のXでも見かけますが、先週まで31.7ドルで、そこから35ドルに約10%もの急上昇です。
まだ1週間も経っていませんし、このように急激な上昇があれば、調整があるのはごくごく自然な動きです。
銀の知識がある人からすると「なぜこんな時に売るのか?意味が分からない」と感じるかもしれませんが、市場参加者の知識量、資金量は様々です。
価格が上がっているからなんとなく市場に乗っている人もいれば、知識はあるがあえて短期利益を狙う人もいますし
知識量が多くても売却せざるをえない金銭事情の方もいるでしょう。
特に現在のように、表面上は景気が良いように見えているが、実は経済的に苦しい人が多いのが米国経済とされています。
バンク・オブ・アメリカのクレジットカード延滞率のデータです。
https://x.com/jessefelder/status/1827492481325494464
縦の薄い灰色は景気後退期間を示しています。現在クレジットカードの11%は90日以上延滞している状況です。
米国経済について語るとまた話が、逸れてしまいますので、こちらの記事を見ていただきたいですが
→債権王ガンドラック氏「人々を金やビットコインに駆り立てるのは”終わりのない債務システム”のせいである」
今後銀は急上昇もありえますが、その分反動もありえるので、この点は考慮した方が良さそうです。
デビッドハンター氏によると、価格の上昇後3~4%の調整はいつでも起こり得る。としてます。
前置きが長くなりましたが、では32.5ドルを超えてからは、どのような動きが想定されるのか?まずは短期的な動きを海外の投資家の方の予想を交えて見ていきましょう。
2,銀の価格予想は35ドル前後→40ドル→50ドル?(短期予想)
海外の銀投資家の方の予想を見ていると、一時停止すると予想されているのが、35ドル前後→40ドル→50ドルと言った感じが多いです。
著名貴金属アナリストである、ジェシー・コロンボ氏によると以下のように抵抗ゾーンがあるとしてます。
https://x.com/TheBubbleBubble/status/1849251833941774384
コロンボ氏自身も最終的には50ドル~と大きく上昇すると、中長期的に予想してますが、一旦はこの価格帯で足踏みがあると予想してます。
なぜそうなるのか?というと過去の高値が抵抗線になり、そこで一旦売却する投資家が多くなるからです。
投資家からすると、過去の高値に到達すると「ここが天井かもしれない」という心理状態になり、一旦売却するという行動に出ることで、価格が押し戻されやすいのです。
特に何度も価格が押し返されるほど、「ここが天井だ」という投資家心理が強化され、強い抵抗線になります。
ここ最近では32.5ドルが抵抗線であり、5月、9月、10月前半に、32.5ドル突破が試みられましたが、いずれも突破できずに下落しています。
この強固な抵抗線が突破できるか?が銀価格上昇にとって重要だったわけですが、10月19日に突破し、そこから急激に上昇しているという状況です。
そして、現在一旦35ドルにタッチした後、下落執筆時点で34ドル前後で動いてます。
2012年の高値を見ると、コロンボ氏の分析した通り、34~36ドル近辺(赤ラインの間)でウロウロしているのが分かります。
一方で34、36ドルを安定的に抜ければ、次はほぼ抵抗線はなく、40ドル前後まで急激に上昇する可能性があるということです。(緑の矢印)
そして、40ドルの次は50ドル近辺まで抵抗線がありません。
そして50ドルまでいった場合、金と同じく過去最高値になり、どこまで上昇するか?は予測不能です。
海外貴金属投資家らのXのポストを見るとやけに「次は40、50ドルだ」という意見がありますが、適当に強気発言をしているわけではなく、こういった根拠もあります。
また、ジェシー・コロンボ氏の”銀の価格が上昇する要因”として上げている、銅価格が上昇することです。
というのも銀は価値保存やアクセサリーなどの金に近い需要もありながら、銅のように工業的な需要もあるため、金の価格と同様に銅価格にも価格が左右されるとしてます。
そして、現在銅価格は下落トレンドで、銀の価格が本格的に上げるには、銅価格が押し上げる必要があるとしてます。
https://x.com/TheBubbleBubble/status/1847109392396656832
執筆時点ですが銀価格は再度上昇しつつあり、34ドルまで回復してますが、
ほぼ同時に銅価格も上昇しつつあります。
金価格も影響しますので、必ずしも一致するわけではないですが、銅価格は注目しておいたほうが良さそうです。
※コロンボ氏は最近YouTubeチャンネルも始めたようです↓英語ですが必見です。
4、50ドルの次は銀価格は75ドル?(中長期予想)
今回銀の価格が32.5ドルを突破する以前から、銀は価格上昇するだろう予想している方々です。
32.5ドルを超えたからと言って、急に予想しはじめたわけではないということです。
私のブログを以前から見ている方は、何度か見たと思いますが、中長期的な予測を参考にさせていただているマクロ戦略化の一人がデビッドハンター氏です。
恐らく2020年辺りから一貫して金銀、株式は急激に上昇する(メルトアップ)予想してます。
私は、銀は来年後半に世界的な不況で再び下落する前に、次は 44 ドル、最終的には 75 ドルに向かうと考えています。
私はほぼ毎日チェックしていますが、現在予想は変わらないようです。銀に関しては短期的には44ドルで、中長期的には75ドルとかなり強気です。
こちらはXの有志の方により、デビッドハンター氏の予測をまとめた画像です。
https://x.com/MakeGoldGreat/status/1841790522568147067
GOLD → $3,400
SILVER → $75
GDX → $65 (大手の金鉱業会社ETF)
GDXJ → $100 (中小規模の金鉱業会社ETF)
SIL → $75(大手の銀鉱業会社ETF)
SILJ → $35 (小規模の銀鉱業会社ETF)
ただ、この予想はあくまでも景気後退前のメルトアップの予想で、ハンター氏は2025年中盤~辺りからリーマンショックを超えるような経済危機を予測してます。
→デビッド・ハンター「2025年半ばに株式は80%下落し、20兆ドル規模の紙幣印刷でインフレ率は25%を超えるだろう」
そして、経済危機後は政府によるパンデミック危機時を超える、大規模な緩和策によりインフレ急増で銀は500ドル、金は20,000ドルまで達するとしてます。
この予想は1970年代にのスタグフレーション期に発生した、3度のインフレの波の最後に似ているように見えます。
→今の下落相場は1970年代のスタグフレーションに近い?金、銀が暴騰後に暴落した理由。
ちなみにハンター氏は「(メルトアップ期)銅価格は6ドルまで上昇するだろう」と予想しています。
そして、ロバート・キヨサキ氏も先日銀が50ドルに達する前に購入してくださいとポスト。
ロバート・キヨサキ氏
今日のベスト資産: 銀…50.00 ドルに達する前に購入してください。
更にその前は金や銀も含め市場は大暴落すると警告していましたが、タイムラインはハンター氏に近いのでしょうか?
→ロバート・キヨサキ「金、銀、ビットコインも含め市場は崩壊する」崩壊はいつ?
暴落後に金は1オンスあたり15,000ドル、銀は1オンスあたり110.00ドルと予想もしていたのでかなり近い気がします。
Ericさんという、貴金属に詳しい香港の実業家の方の予想です。現在のところかなり正確に感じます。
今後12ヶ月の金、銀価格予測 左の矢印が現在地です
1) 2024年8月初旬に円キャリートレードの巻き戻しが発生(既に完了)。
2) 2024年9月にFRBが利下げを行い、ゴールドとシルバーは比較的狭い価格帯の中で安定して動く。
3) 2024年10月、ゴールドとシルバーの米ドル価格が急騰する。
4) 2024年11月、米国大統領選挙の時期にゴールドとシルバーが一時的にピーク価格に達する。
ゴールドは2,800ドルから3,000ドルのレンジで修正され、シルバーは40ドルから45ドルのレンジで修正される。
5) 2025年1月、ゴールドとシルバーは強気トレンドを続ける。
6) 2025年第4四半期頃、FRBが利下げサイクルの終了を示唆し始める。
インフレ圧力の高まりによって、ゴールドは約3,700ドル、シルバーは約80ドルでピークに達する。
グローバルな米ドル流動性が反転して縮小し、ゴールド、シルバー、そして米国株式が急落する(景気後退)。
これらの予測は、金融システム内でまだ明らかになっていない何らかの問題やリスクによる「予期せぬ出来事」が起こらないことを前提の話です。
10月に銀が32.5ドルを突破し急上昇しつつある点を見ると、現在のところかなり予想は近い気がします。
短期予想では11月大統領選後までに40ドル付近、選挙後も上昇を続け2025年第3四半期~に景気後退が始まるとしています。
まとめると、ここ1ヶ月以内は40ドル~50ドル前後。その後は2025年に訪れる景気後退までに70~80ドル予想という感じでしょうか。
【まとめ】地政学的イベントが無ければ上昇継続か
ネガティブなものも含めあらゆる予測を見ていますが、やはり32.5ドルを超えた事で確証を得たという感じの意見が多いですね。
ただ、貴金属強気派の方々も仰っていますが、気になるのはやはり米大統領選前後です。
この期間は何があるか分からないので、短期的には下落するかもしれないと予想する方もいらっしゃいますね。
私も何があるか分からないので、「突然相場が急落するかもしれないな」というのは頭の片隅にいつもあります。
何かしらのヘッドライン1つで反転することは十分に考えられますので。
とはいえ、マイナス面だけ考えていてはこの上昇相場を逃すことになるので、現物(リスクヘッジ)、機動的に動かせる分(鉱山株やETF等)両面で考えていこうと思います。
→バンク・オブ・アメリカ「金は最後の安全資産」と警告!米国の債務急増リスクとバンク・オブ・アメリカの思惑とは?
→ゴールドが最高値を更新し続ける”本当の理由”とは?今後も上昇する可能性は高いのか?
→強い米雇用統計でも金,銀は急上昇した理由は?1970年代スタグフレーションに近づいているのか?
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