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米国上院議員シンシア・ルミス氏が、ビットコイン戦略的準備金を設立するという「BITCOIN法案2024」を提出し話題になってます。
https://www.lummis.senate.gov/wp-content/uploads/BITCOIN-Act-FINAL.pdf
あくまでも提案しているだけなのでその点は注意。
内容を簡潔にすると
・ 5年間で年間最大20万ビットコインを購入し、合計100万ビットコインの取得を目指す。
・市場の混乱を最小限に抑えるために、透明かつ戦略的な方法で購入
・購入プログラムを通じて取得されたすべてのビットコインを20年間は保有
・保管されたビットコインは、連邦債務証書の償還以外の目的で売却、交換、オークション、担保提供またはその他の処分はできません。
・ビットコイン購入プログラムに関連する全てのコストを、FEDの予算の範囲内で調達し、予算編成を行う必要がある。
・FRBが保有する金証券は、過去の金の価格に基づいて発行されたものであり、現在の市場価値と一致していない
・金証券の価値を現行の金の市場価格に合わせることで、財務報告の正確性を保ち、連邦準備銀行の資産を実際の価値に基づいて評価する
・新しい金証券が発行された後、古い証券と新しい証券の間の価値の差額は現金として処理する。
・新しい金証書が発行された後、各連邦準備銀行は旧証書と新証書の間の現金価値の差額は、ビットコイン購入プログラムの資金として利用される。
貴金属投資家にとって面白いのはただ単にビットコインを買うというだけでなく、FRBの保有している金の再評価し、これをビットコインの購入の為の資金源にするという点です。
1,FRBのバランスシート上の金価格は1オンス42.22ドルの評価額?
FRBの金の在庫は現時点で約8,140トンです。(あると仮定して)
ただ、意外に知られていませんが、バランスシート上の金の価格は1トロイオンスあたり42.22ドルの評価額のままで、これは1971年に米国が金本位制を終了する前の評価額です。
※正確にいえばFRBのバランスシートの一部である「準備預金に影響を与える要因」を示す表。
実際のFRBのバランスシートを見てください。2023年時点でバランスシート上の金証書の評価額は110億3700万ドルになっています。
https://www.federalreserve.gov/releases/h41/current/h41.htm#h41tab1a
米国財務省は8,134トンの金を保有していますが、これをオンスすると約261,416,390トロイオンス。
110億3700万ドル÷261,416,390トロイオンス=42.22ドルで評価していることになります。
しかし、当然ですが1971年以降、市場の金価格は上がり続け執筆時点で2,440ドルを超えてます。FRBのバランスシート上の価格と約58倍もの乖離があります。
つまり、この米国が保有している金を市場価格に再評価することで、6,400億ドル(150円換算で約96兆円)になるということです。
市場価格は常に変動しているので、どの時点で再評価するかわかりませんし、100%市場価格に合わせて評価するのか?もまだ不明ではあります。
では一体なぜ、今頃になって金の再評価が提案されるのでしょうか?
2,一番の理由はやはり米国債務の増大
法案を見ると「グローバルな金融環境の変化」などと濁している文言もありますが、一番重要な点は↓
保管されたビットコインは、連邦債務証書の償還以外の目的で売却、交換、オークション、担保提供またはその他の処分はできません。
購入したビットコインは米国債務返済以外の目的では処分ができないという点です。
法案の全体的な戦略は、金証券の再評価によって得られる現金とビットコインの売却によって得られる資金を確保し、それを利用して連邦債務を返済することにあります。
当ブログでは何度も言及して聞き飽きているかもしれませんが、米国債務急激に増加し遂に35兆ドルの大台を突破。
それに加えて、政策金利が5.5%の高水準が続いているので、米国債務利払い費だけで1兆ドルを超えてます。
この膨れ上がる米国債務に警鐘を鳴らす意味でイーロン・マスク氏が「アメリカは破産しつつある」「ドルの価値の崩壊はどこまで進んでいるのでしょうか?」と先日ポストし話題になりました。
もはや数学的に返済不可能と言われているくらいに急速に債務が増え、債務を返済する為に更に債務が増えているのが現況です。
この債務問題を解決する為に金の再評価を予想していた故Mr.ゴールドことジム・シンクレア氏は以下のように発言していました。
ジム・シンクレア氏
「これはシンプルな数学です。
アメリカが持っている金の量を考え、その借金がゼロになるためにはどの価格が必要ですか?最低価格は1オンスあたり$50,000です。
真の価格は1オンスあたり$87,500です。」
→ジム・シンクレア氏「シンプルな計算によると、$50,000から$87,500が金の価格だ」
2020年時点でもはや米国債務は通常の方法では返済不可能とし、解決するためには米国が保有する金を再評価するしかないと考察しました。
しかもこれは2020年時点の話で、現在は当時よりも更に債務額も増加ペースは加速しています。
ジムシンクレア氏はこのように続けます。
「私たちは2008年と2009年に起こったよりもはるかに大きな規模の重大な金融危機の扉に足を踏み入れていたということです。
このウイルスが発生しなかった場合、私たちは2008年と2009年よりもはるかに深刻な危機に直面していたでしょう… それは爆発寸前でした… 需要を停止することしかできませんでした。それによって金利の急騰が防がれました。」
某パンデミックにより経済が完全に停滞しましたが、実はパンデミック以前より、債務は膨張し続けています。
パンデミックを口実に経済を停止したことで、短期的に債務問題を先送りする狙いがあったのではないかと考察しています。
結局のところ、パンデミックによる経済停止は時間稼ぎでしか無く、これが世界全体でほぼ同時に緊急支援策を導入する口実になり、急激なインフレ→高金利→債務悪化になっているわけです。
数十年の間度々発生した金融危機をその度に金融緩和で時間稼ぎしてきたのですが、それも遂にゲームオーバーに近づいているいうことです。
最後にジムシンクレア氏はこのように発言してます。
ジムシンクレア氏
「トランプは経済を再生させる必要があることを知っています。もしトランプが再選されなければ、ゲームボードが崩れるでしょう。」
個人的にはトランプ氏が公表している経済政策でも、現在の債務をどうにかできる気はしませんが、何か策があるのかもしれません。
→トランプ氏は金本位制支持者?歴代大統領が暗殺される共通点とは?
3,トランプ氏指名、ジュディ・シェルトン氏「暗号通貨のようなもので金本位制が実現できる」
私がこの法案を見て最初に想起したのは2020年のジュディシェルトン氏の発言です。
ジュディ・シェルトン氏
「金で裏付けられた通貨のアイデアが気に入っています。暗号通貨のような形で実現することも可能です。」「統一された通貨システムなので、国際市場について話すとき、誰もが平等な通貨の競争の場で戦っていることになります。」
"I like the idea of a gold backed currency, it could even be done in a Cryptocurrency sort of way"
— Gold Telegraph ⚡ (@GoldTelegraph_) May 20, 2020
"A unified money system, so when you talk about the international marketplace, everyone is playing on a level monetary playing field"
- Judy Shelton
pic.twitter.com/ykWQ5D9TPb
ジュディ・シェルトン氏とはトランプ大統領時にFRB理事に指名した人物です。残念ながら上院によって阻止されバイデン大統領により指名を取り下げられていますが。
バイデン米大統領、シェルトン氏のFRB理事指名取り下げ
バイデン米大統領は4日、トランプ前大統領が連邦準備理事会(FRB)理事に指名したジュディ・シェルトン氏の人事を取り下げた。
https://jp.reuters.com/article/usa-biden-shelton-idJPKBN2A4343/
ジュディ・シェルトン氏の連邦準備制度理事会理事候補としての指名は、上院によって阻止されましたが、再度持ち出される可能性もあります。トランプ大統領は彼女を中央銀行に適任と考えていましたが、少なくとも3人の共和党議員が彼女に対して懸念を示した。
https://www.vox.com/policy-and-politics/2020/11/17/21569992/judy-shelton-federal-reserve-trump-nominee
大統領時に金本位制肯定派のジュディ・シェルトン氏を指名することから、大統領になり自身が米国財務政策に関わった後でも金本位制に肯定的だと考えられます。
また、最近もシェルトン氏はXでポストしており、何か匂わせております。
問:1971年、ニクソンが金本位制を廃止しました。2024年にそれを復活させる?
シェルトン氏「そんな感じですね。でも2026年になるかもしれません。お楽しみに。」
個人的な意見ですが今回の法案とシェルトン氏の発言から察するに、何か水面下で動いている気はします。
またこれはシェルトン氏ではないのですが、マイク・リー上院議員がFRBを廃止するための法案を提出しています。
I’ve introduced legislation to End the Fed. pic.twitter.com/IGKrB3WKWP
— Mike Lee (@SenMikeLee) June 7, 2024
執筆時点で9万以上のいいねが付いており、あくまでもSNS上ですが支持している方はかなり多いと見受けられます。
【結論】法案が通ろうが通らまいが金価格は上がる
最も重要な事はこの法案がどうなろうと、金価格は上がっていくだろうという事です。
結局のところ、金が上がり続ける要因はインフレと世界の債務額増加です。
この本質部分がブレるとよくわからないところで金を売却する恐れがあるので、本質を見失わないのが貴金属投資家にとって最も重要な点です。
こういった材料も重要ではあるのですが、いちいち振り回されると、例えばこの法案が通らなかった時に金を売却してしまうということもありえます。
先日先月中国の金購入が停止したことを受けて、「中国が金買うのを止めた!もう金は終わった!」という言説もありましたが、結局上がり続けています。
→中国は5月の金購入を停止!ゴールドの価格上昇の根本的な理由と今後の価格の予測。
恐らくその時に売却してしまった人は後悔しているでしょう。このように細かい本質ではない材料に振り回されると大事な資産を失うことになります。
→中国6月の金輸入66%減少はデマ?実は5月も金を買っていた。14の金,銀関連ニュース【7月第4週】
→BRICS「SWIFTと同様の金融システム正式発表」はデマ?少し深堀りした結果・・・
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