目次
ここ最近金銀のみならず経済面、地政学面でのニュースが多すぎて全て追いきれてないですが、今週特に注目すべきニュースを振り返ってみようと思います。
1,サウジアラビアと米国の50年間ペトロダラー契約が終了?
やはり一番の注目ニュースは50年間ペトロダラー契約が終了した!とあちこちで噂されているこのニュース。
ペトロダラーに関して詳細書くと長くなるのでざっくり解説すると、原油をドル建てで取引する代わりにサウジアラビアの守るというような契約でした。
アメリカの国務長官であったヘンリー・キッシンジャーは、1974年にサウジアラビアとの重要な合意を推進。
この合意は以下のような内容でした:
1,ペトロダラー契約: サウジアラビアとアメリカ合衆国の間で50年間のペトロダラー契約が締結されました。この契約では、サウジアラビアは原油をドル建てで売却することを約束しました。これにより、他のOPEC加盟国も同様のドル建て取引を行うようになりました。
2,ドルの優位性の確保: ドルでの石油取引が一般的になることで、ドルの国際的な需要が増大し、ドルの価値が支えられることを狙いました。この契約により、ドルが国際的な主要な取引通貨としての地位を強化することに成功しました。
3,安全保障と政治的支援: アメリカは安定した安全保障を提供する代わりに、サウジアラビアとの戦略的な関係を強化しました。このことは中東地域全体の安定とアメリカの影響力を維持するために重要でした。
YouTuberやXの経済系インフルエンサー等が「ペトロダラーは終わった!」と噂はしていたのですが、特にこれと言ったソースが見受けられなかったのですよね。
なので私自身、ちょっと距離を置いて見ていたのですが過去のニューヨーク・タイムズの記事などは残っているようです。タイトルは
「1974年6月9日、米国とサウジアラビアが「画期的な」協定に署名」
ペトロダラーの記述はありませんが、ペトロダラーの契約自体が内容非公式なので、推測ですがこの時の会談でペトロダラーが結ばれたのではないかと言われています。
ただし、ペトロダラーが50年間であるという資料などは見つからず、ペトロダラーの契約が切れたのか?切れたとしても更新されることは無いのか?いろいろ不明な点は多いので個人的には保留。
一応他にもペトロダラーの終了について、NASDAQの公式サイトでも掲載されていたりと一定の信憑性はあるように感じます。
https://www.nasdaq.com/articles/us-saudi-petrodollar-pact-ends-after-50-years
逆にこれらのペトロダラー終了したという噂は米国側が意図的に流すことでサウジアラビアに圧力をかけているというような噂もあるみたいです。
否定派も肯定派も前のめりになりすぎ感はあるのでいずれにしろ、様子見しておいた方が良さそうです。
2,BRICSは脱ドル化任務の最終段階にあることを発表
ペトロダラーが終了に合わせるようにBRICSは脱ドル化最終段階にあることを発表されました。
2024年6月11日、ロシアで開催された会議で、BRICSは脱ドル化任務の最終段階にあることを発表しました。会議に参加したBRICSの代表によると、新しい支払システムが確認され、これが現行の世界的な準備通貨である米ドルに対する競争相手となる予定。
同盟の金裏付け通貨概念とCBDCは、有望な代替案とされています。
ソース:https://watcher.guru/news/brics-makes-major-de-dollarization-announcement
CBDCというとちょっと引っかかる面もありますが、西側が提唱するCBDCと性質が違うのでしょうか?
ゴールド裏付けのCBDC(のようなもの)を構想しているのであれば、最近中国を筆頭に各国の中央銀行がゴールドを買いまくっているのにも合点がいきます。
先日は中国の中央銀行がゴールドの購入が停止されたと騒がれ、ゴールド価格が下落しましたが
→中国は5月の金購入を停止!ゴールドの価格上昇の根本的な理由と今後の価格の予測。
トルコ中央銀行、インド準備銀行等は5月も引き続きゴールドを買い増してます。
もし、BRICSがゴールド裏付けの通貨発行を想定しているのであれば、中国が一国でゴールドを独占しゴールド価格が上昇するのはあまり望ましくないです。
それよりも購入量をセーブし各国にゴールドをある程度保有していた方が、ゴールド裏付けの通貨に関して各国に同意を得られやすいかと思います。
これは私の妄想ですが、BRICSに加入するには一定以上のゴールドの保有量が加入条件なのではないか?と感じてます。
3,59か国がBRICSへの参加を希望
「BRICSはならず者国家の集まりだ!」と声を上げている人もいましたが、加入希望国は増加し59カ国に。
59 Countries Show Interest To Join BRICS in 2024
2024年には59カ国がBRICSに参加を希望していることが明らかになりました。これには、アジア、アフリカ、東ヨーロッパ、ラテンアメリカのいくつかの開発途上国が含まれています。これは、BRICSが米ドルに挑戦し、地域通貨の重要性を認識する唯一の同盟であるためです。この動きにより、他の多くの発展途上国も2024年にBRICSに参加することに関心を示しています。
中央銀行がゴールドを買いまくっているトルコもBRICS加盟を申請しているのですよね。
https://Twitter.com/Anthony6355/status/1800686478739337400
という点を考慮すると、やはりBRICS加盟には一定以上のゴールド保有量が条件なのか?と勘ぐってしまいます。
4,経済関連ニュース等
フランスのマクロン大統領がフランス議会を解散することを決定したことで、ユーロ、欧州株価下落
ル・ペン氏率いる極右と言われている「国民連合」がフランスで大勝する見通しとなったことを受け、議会下院を解散し総選挙を実施すると発表。
出口調査によると「国民連合」の得票率は32%と見込まれており、マクロン氏の中道政党の2倍以上となる勢い。
これを受けてユーロは大幅下落。
https://Twitter.com/Barchart/status/1800019141002150161
フランスのマクロン大統領が政党の驚くべき政治的敗北を受けてフランス議会を解散することを決定したことで、ユーロは打撃を受けている
ユーロだけでなく株価も大幅に下落している模様。
https://Twitter.com/Anthony6355/status/1801582558007980394
日本に住んでいると日本、米国経済ばかりに目を向けてしまいますが、ユーロ圏も爆弾かかえているので、本当にどこから金融危機が始まるか予測できない状況です。
ブラックロックのCEO、ラリー・フィンク「現在、G7の平均債務対GDP比率は129%でどれだけ削減しようとしても、その債務を減らすのは不十分
ちょいちょい本音を言ってしまうラリーフィンクさん。G7側の債務が大きすぎて、どれだけ緊縮財政に転換しようとも手遅れと正直に発言してしまいました。
BlackRock CEO Larry Fink: "Today the G7 average debt-to-GDP is 129%. No matter how much we tax, how much we cut or reduce that debt, it will not be enough... This is why building new infrastructure is critical, especially through public-private partnerships." pic.twitter.com/V3sJXM1UBy
— TFTC (@TFTC21) June 13, 2024
ブラックロックのCEO、ラリー・フィンク:「現在、G7の平均債務対GDP比率は129%です。どれだけ課税し、どれだけ削減しようとしても、その債務を減らすのは不十分です... だからこそ、新しいインフラを構築することが重要です。特に官民パートナーシップを通じて。」
これに関しては完全に同意。特に日本は債務GDP比250%でこの中でも最悪の数字。
日本の財政は安心安全と思い込んでいるのは一部のMMT論者だけです。
正直に手遅れと言っているのに加えて”新しいインフラを構築することが重要です”というのがかなり引っ掛かりますね。
これはCBDCで通貨を制御する必要があるという前フリなのか、債務を減らすのは不可能なのでインフレによって債務負担を軽くすることを示唆しているのか?何か裏はありそうです。
エリザベス・ウォーレン上院議員が、連邦準備制度理事会(FRB)パウエル議長に対し、金利を引き下げるよう求める
米国ウォーレン議員が利下げを求める書簡をFRBに提出したようです。やはり選挙前なので、利下げして欲しいんでしょうね。
エリザベス・ウォーレン上院議員が、連邦準備制度理事会(FRB)パウエル議長に対し、金利を引き下げるよう求める公開書簡。
— Silver hand (@Anthony6355) June 11, 2024
議員本人のアカウントでもポストしている↓https://t.co/JntGsIsl23 https://t.co/lRxBwMaatY pic.twitter.com/JSmUi4FYCA
こういう〇〇が言った!系の話ってけっこうデマだったり、フェイクの手紙だったりすることが多いのですが、エリザベス・ウォーレン上院議員自身のアカウントでポストしています。
選挙前なので景気後退を気にして利下げ要請したのもあると思いますが、もう1点は米国債の利払い費。
現時点で米国債は34兆ドルを超え、この利払い費だけでも軍事費を超える1兆ドルを超えるとされています。
今米国政策金利は5.5%の高金利で維持されている状態ですが、今後12か月以内に満期を迎えます。
https://Twitter.com/Barchart/status/1799611831557722529
利下げを急がなければ、高金利のまま借り換えることになり、利払い費が更に増加するということです。
かと言っ利下げ方向に舵をとれば1970年代に起きたようなスタグフレーションに突入する可能性もあります。パウエル議長はこれが怖くて身動きができない状態。
日本の財政も詰んでますが、米国の財政も詰んでいます。
当然、一般人の我々が気づくのだからBRICS側もそれを見越しているのでゴールドが買われまくっているわけですね。
5,ゴールド、シルバーに関するニュース等
中国は国営テレビでゴールドの購入を推奨しているようだ。
どうやら中国の国営テレビではゴールド購入を推奨しているような報道が多いようです。
After the People's Bank of China pauses buying gold in May, the official account of Tiktok of CCTV said that it is increasingly difficult to find new gold deposits. pic.twitter.com/Oz5sk3w0JH
— Bai, Xiaojun (@oriental_ghost) June 13, 2024
CCTVのTikTok公式アカウントは、新たな金鉱脈を見つけることがますます困難になっていると述べた。
そして、中国中央銀行がゴールド購入を停止し、ゴールド価格がかなり下落したのですが、下落したタイミングで一般人がかなりの量のゴールドを買っているような話もあります。
https://Twitter.com/DavidLe76335983/status/1800658303560900917
最近の金価格の下落を受けて、有名な「ダーマ(経済的余裕のある中国のマダム)が隠れ家から出てきて、深圳の金店に押し寄せ、食料品の買い物のように金を買いあさっています。
中国がゴールド購入停止した理由の1つとしてはあえて、購入停止することでゴールド価格を意図的に下げ、国民に買いやすい価格に調整しているような気もします。
結局のところ、いくら中央銀行がゴールドを貯めたところで、金融危機が発生し通貨の価値が下落した際に国民が貧乏では国は栄えません。
わざわざ国民を貧乏にするように誘導する意味もメリットもないので、ある程度金が国民に回るようにセーブしている気もしています。
また、中国政府がゴールドを没収するのでは?という予想もありますが、それは無いと思います。
通貨の信頼性担保の為にゴールドを推奨しているのに政府が没収するとなれば、ゴールド自体信頼性がなくなります。
没収があれば、他の資産も取り押さえられると考え資産家は他国に資産を移す流れになっていきます。
BRICS側からの信頼性も薄くなりますし、デメリットしかありません。
中国は異常なほど高い割合で銅を備蓄している
中国は金に加え銀も爆買いしているわけですが、更に銅もかなり保有しているようです。
中国は異常なほど高い割合で銅を備蓄している https://t.co/CECtKEZj33
— Silver hand (@Anthony6355) June 11, 2024
今後、AIやEV、暗号通貨のマイニングは増大しより多くの電力が必要になります。
こちらは消費電力増加のグラフ。インドも増加してますが、中国の消費電力が暴騰してます。
導電率が最も高い金属は銀ですが、銀の次に導電率が高いのが銅。
銀は既に需要が供給を上回っている状況が4年続いていて、今後も供給不足が続くと予測されてます。
となると今後銀の価格が上昇し、工業用途で気軽に使用するのは難しくなる。次に導電率が高く安価な銅を貯めているのでは?
恐らく、今後銀は暴騰すると思いますが、工業用途ではなく、貴金属や通貨として機能していくのかと思います。
他にもいろいろあったと思いますが、
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