
目次
1,ゴールド、シルバーに関するニュース等
1,金2,800ドル超え最高値更新、銀31ドル超えの価格上昇
まずは金、銀価格の現在の価格を見ていきます。金は2,800ドルを超え史上最高値を更新。
現在はやや下落しているものの、2,800ドル付近。上昇傾向は続いているといえます。
銀に関しても去年達した35ドルからはまだ遠いものの、31ドルを超え上昇傾向にはありますね。
銀が金に比べて弱い理由の1つが銅価格です。銀が上昇するには金価格と同時に銅価格上昇も必要です。
しかし、一応上昇傾向ではあるものの銅価格は銀価格よりも更に渋い動きです。
しかし、私が気になっているのは関税です。12月の記事でトランプ氏の関税は金銀も対象になるのでは?という予測により、金銀のリース価格費用が急激に上昇していると解説しました。
→トランプ関税で貴金属が高騰?金銀がフロリダ州の通貨になる可能性等 9つの金銀ニュース【12月第3週】
この関税が一体どの範囲までが対象なのか?原材料のみなのか?完成品のみなのか?
様々な憶測がありましたが、2月18日に関税対象に銅やアルミニウム等の原材料も対象になるようです。
トランプ氏:「我々は最終的に2月18日に半導体、石油、ガスに関税を課し、鉄鋼、アルミニウム、そして最終的には銅にも関税を課すつもりだ。」
鉱物にも関税対象ということで、金銀も対象になる可能性は高まったといえます。
また、金銀に直接関税対象にならなかったとしても、銀価格上昇に必須である銅に関税対象になっています。
もし、この関税により銅価格が上昇するとなれば、釣られて銀価格も上昇する可能性はありそうですね。
2,選挙日以降、ニューヨークのCOMEX金庫には、1,400万オンスの金(380億ドル相当)と4,500万オンスの銀が流入
主要メディアによると「トランプ関税による脅威により、ロンドンからCOMEXの金庫に大量の金と銀が流入している」と報道しています。
COMEXの金在庫が3,000万トロイオンスに急増し、2022年8月以来の高水準となっています。
なぜロンドンからニューヨークに大量の金銀が流入しているのか?
トランプ大統領は、メキシコとカナダに25%、中国に10%の関税を導入する計画を進めており、これが金属市場に大きな影響を与えています。
特にメキシコは米国への銀の主要供給国であり、2023年には米国輸入量の41%を占めています。
そして、関税が発動すれば米国に金や銀を輸入する際に追加コストがかかります。
つまり米国市場での金や銀の価格が、国際的な基準価格よりも高くなる可能性があるということです。
もちろん、ロンドンに金を預けている米国の金融機関やトレーダーらは、米国で価格が上昇するのであれば、損することになります。
そして、米国の金銀価格が上昇するのであれば、今の内に米国に金銀を移しておくことで差益を得ることも想定できます。
なので、関税が発動する前に一刻も速く金や銀を手元におくため、我先にと金銀をロンドンからニューヨークに送っているというわけです。
特に銀は通常時は船を使って輸送されるのですが、飛行機を使って急いで米国に運び込んでいると記事では報道されています。
3,イングランド銀行で金が枯渇しつつある?
イングランド銀行は、世界中の中央銀行やその他の主要な投資家から金を保管する役割を担っています。
金庫は世界最大級の金保管施設の一つで、多くの国々の中央銀行がここに金を預けています。
LBMAの取引に使われる金の多くは、ロンドンにある主要な金庫に保管されその中でも、イングランド銀行の金庫は最も重要な保管場所の一つです。
イングランド銀行には約5,000トン備蓄があるとされています。
そして、ロンドンからニューヨークに大量の金が移動していることにより、本来数日で金が輸送されるのに、4~8週間遅延しているという報道もあります。
イングランド銀行は危機に瀕している。
実際に保有している量よりも多くの金を貸し出しており、現在、金の紙幣市場は崩壊しつつあります。買い手は、数日で金塊が手に入るはずなのに、4~8週間の遅延に直面しています…。
約 5,000 メトリック トンの備蓄があるはずなのに、
@bankofengland
事実上、納入不履行になっています。これは深刻な問題です
https://x.com/AdameMedia/status/1884775240254800070
もし、本当に金が備蓄されているのであれば、このような遅延が発生するはずがないのですが、遅延が発生しているので、
「実際には金の備蓄はあまりないのでは?」という憶測もあるようです。
そして、イングランド銀行の金や銀の量がこのまま減少し続ければ、銀行のバンクランのようにデフォルトが発生するのでは?という話もでています。
4,BOB氏「イングランド銀行は債務不履行にならない」
貴金属専門家のBOB氏によれば「イングランド銀行は債務不履行にならない」としています。
イングランド銀行はデフォルトできない。ロンドンの法律では、一次カストディアンに金属を返すことができない場合、副カストディアンが一次カストディアンに対して責任を負わないとされています。
カストディアンとは投資家や機関が保有する資産を保管する役割を担う金融機関などです。
例えば世界の銀ETFで最も取引されているSLVですが、一応名目上は銀の現物が裏付けられています。
当然ですが、貴金属のETFを購入したからと言って、現物が手元に届くわけではありません。
そして銀現物を保管しているのはJPモルガン等です。
この場合JPモルガンなどの現物を保管するのがカストディアンです。
そして、BOB氏によれば「一次カストディアンに金属を返すことができない場合、副カストディアンが一次カストディアンに対して責任を負わないとされています。」
つまり、SLVを例に例えるとJPモルガンという一時カストディアンが、副カストディアンに保管を委託し、
この副カストディアンが何らかの事情で現物を返却出来なければ、投資家らは資産を回収できない可能性があるということです。
以前の記事でも解説しましたが、ロンドンに限らずETFの目論見書には「天災、紛争、盗難などでやむを得ない事情がある場合カストディアンは免責される」ような内容が書かれていることがほとんどです。
また、2021年にSLVは現物の確保が困難になる場合を想定しているのか、目論見書を変更しています。
「銀の需要が一時的に供給可能量を超える場合、信託への引き渡しに適した銀を取得することができない場合があります。
この場合、信託の株式発行が一時停止または制限される可能性があり、株価の変動性が増し、市場価格と基準価額(NAV)との間に大きな乖離が生じる可能性があります。」
この変更により銀の需要が急激に高まり、その供給量が一時的に不足する状況ではSLVは物理的な銀を確保できなくなる可能性があり、物理的な銀を100%保持していなくても、SLVは免責されるということです。
もし、現物が不足する事態が続けば、現物の価格とETFなどペーパー価格が大きく乖離する可能性があるということです。
ペーパー貴金属に関して米債券王ジェフリー・ガンドラック氏は以前から警鐘を鳴らしています。
著名投資家ジェフリー・ガンドラック氏は、金を裏付けとする上場投資信託(ETF)に殺到する投資家に対し、金現物に交換できるとは考えるなと警鐘を鳴らした。
「金現物が不足する状況で、誰もがペーパーゴールドの引き渡しを望んだ場合はどうなるか?彼らは無い袖は振れない」
→https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-04-02/Q84WAFDWLU6R01
ちなみにこのSLVはBlackRockの金融商品であり、JPモルガンなどのカストディアン(保管者)が物理的な銀を保管し、ETFの価格が銀の現物価格に連動するように設計されています。
5,シルバーEFPが2倍以上に急上昇
シルバーEFPは昨日から2倍になりました...
関税貨物列車の前に立ちたい人はいますか?
米国に到着する船に積まれた銀は、トランプ大統領の2月1日の発表までに間に合わないかもしれない。
EFP(Exchange for Physical)とは、先物契約を現物に交換する取引のことです。
少し難しい概念ですが先物ポジションそのものを現物資産と交換することで決済する仕組みです。
EFPが上昇するということは、物理的な金や銀を求める市場の動きが強まっており、これは投資家が現物を手に入れようとする動きが活発化していることを意味します。
関税が発動された場合、米国に銀を輸入する際に追加コストがかかるため、現物の銀の需要が急増し、EFPスプレッドが拡大しているということです。
6,トランプ関税は「カバーストーリー」で、実際にはLBMA等の金銀物理在庫が減少している。
トランプ関税により、金銀が不足しているのはあくまでも、金市場の実際の問題(物理的な金の不足)を隠すための口実として使われているという考察もあるようです。
BRICs+は過去4年間、COMEXとLBMAから金と銀の延べ棒を引き出してきており、これにより物理的な在庫が危険なほど低下しています。トランプの関税は「カバーストーリー」で、(触媒としての)最後の1本の藁でした。
中国やロシア等BRICS諸国は金を大量に購入しているわけですが、LBMAからも購入しています。
このグラフはロンドンから中国への金輸出された量のデータです。
上の黄色のグラフは中国中央銀行が報告した金の購入量です。
そして、下に伸びる青グラフは”英国から中国への金輸出”された金量です。
中国中央銀行は金の購入を公式には報告していないにも関わらず、ロンドンから大量に金が中国に輸出しているのが分かります。
このようにBRICS等はLBMAから大量に金を購入し続けている為、関税の話以前にイングランド銀行には金や銀の在庫は残っていないだろうということです。
いずれにせよ、金銀の現物在庫が減少している点に関しては間違いなさそうです。
7、スイスの対米金輸出が先月、11倍に急増
LBMAだけでなくスイスからも金が米国に流入しているようです。
トランプ関税への懸念から、スイスの米国向け金輸出が先月急増
12月の米国向け出荷量は11倍の64.2トンに増加
米国向け地金輸出量は2022年3月以来の高水準に上昇
トランプ関税の目的は米国に金、銀を集める為?LBMAを破壊?
これらの関税の動きで狙ってかは分かりませんが、金や銀が米国に大量に流入しています。
私が一連の動きを見て感じたのはトランプ大統領は、これらの動きは狙ってやっているだろうと思います。
推測の粋ですが、金や銀が裏付け暗号資産のような、金融システムを構築が水面下で
まだ断定は出来ませんが、以前から当サイトでも紹介しているように、トランプ氏周辺人物はやけに金肯定派の人材が多いです。
→次期米財務長官スコット・ベッセント氏「金は私の最大のポジションである」しかし金が下落した3つの理由は?
トランプ氏が大統領1期目にFRB理事に指名した、ジュディシェルトン氏は過去にこのような発言をしています。
ジュディ・シェルトン氏
「金で裏付けられた通貨のアイデアが気に入っています。暗号通貨のような形で実現することも可能です。」「統一された通貨システムなので、国際市場について話すとき、誰もが平等な通貨の競争の場で戦っていることになります。」
ジュディ・シェルトン氏とはトランプ大統領時にFRB理事に指名しただけでなく、当時経済アドバイザーとして助言を行っていた人物です。残念ながら上院によって阻止されバイデン大統領により指名を取り下げられていますが。
バイデン米大統領、シェルトン氏のFRB理事指名取り下げ
バイデン米大統領は4日、トランプ前大統領が連邦準備理事会(FRB)理事に指名したジュディ・シェルトン氏の人事を取り下げた。
https://jp.reuters.com/article/usa-biden-shelton-idJPKBN2A4343/
ジュディ・シェルトン氏の連邦準備制度理事会理事候補としての指名は、上院によって阻止されましたが、再度持ち出される可能性もあります。トランプ大統領は彼女を中央銀行に適任と考えていましたが、少なくとも3人の共和党議員が彼女に対して懸念を示した。
https://www.vox.com/policy-and-politics/2020/11/17/21569992/judy-shelton-federal-reserve-trump-nominee
大統領時に金本位制肯定派のジュディ・シェルトン氏を指名することから、大統領になり自身が米国財務政策に関わった後でも金本位制に肯定的だと考えられます。
また、最近もジュディ・シェルトン氏は「金と兌換可能な50年国債の提案」しています。
トランプ大統領の主導により2026年7月4日に発行される、金に転換可能な50年国債の提案。
そして、この中でシェルトン氏は「金を2万ドル程度に再評価する」というような、発言をしています。
しかし、米国政府がある日突然「金の価格が2万ドルに再評価します」とすれば、「米国はBRICS側に負けた」というような構図になりかねません。
また、金を評価するということは相反するドルの価値をを相対的に下げることになってしまいます。
できれば自然に金価格が2万ドルに近づいてくれた方が、米国からしても都合が良いです。
どうすれば、金価格が2万ドルに近づくか?ですが、今回のように「LBMA等金融機関に実物金が不足している」点が周知できれば、市場が金銀価格を引っ張っていくと思われます。
このあたりまだ思いつき程度の推測ですが、トランプ氏が金銀に肯定な材料は揃いつつあるのは確かです。
また、先日ドナルド・トランプ氏の長男である、ドナルド・トランプ・ジュニア氏はXにて
「実物金を用いて貯蓄を守るための戦略」に関する本(無料)をポストしてます。
https://x.com/DonaldJTrumpJr/status/1883946761749950631
トランプ大統領は表向きには暗号通貨に強気にも関わらず、息子がこのタイミングで「金で資産を守る」本をポストしているのは興味深いですね。
他にも書きたいことはあるのですが、長くなるので次に書きます。
→トランプミームコインが70倍上昇から40%の暴落。そして"トランプ純金紙幣"を販売。これらの意図は?
→【2024年版】銀が600ドル(20倍~)を超える?価格上昇する8つの根拠とは?
→トランプ氏「BRICS通貨創設や脱ドルは100%の関税」脱ドルが止まらない4つの理由とは?
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