2024年金のパフォーマンスはS&Pを上回る!2025年の金銀価格3つのシナリオとは?

WSJの記事で「2024年は金ほどパフォーマンスが優れた投資対象は殆どなかった」と報道されました。

ウォール・ストリート・ジャーナル
「ウォール街は、2025年にはさらに価格が上昇すると考えています。
2024年において、金ほど好調なパフォーマンスを見せた投資対象はほとんどありませんでした。
金は2010年以来最高の年となり、記録的な年間上昇率を達成しました。」

 

https://www.wsj.com/finance/commodities-futures/gold-price-records-expectations-4252d27e

貴金属投資家であれば、すでにご存知の内容かと思います。

当記事では、2024年の金銀とS&P500や日経とパフォーマンスを比較し、2025年はどうなるのか?考察していこうと思います。

2024年金銀パフォーマンスを振り返り

チャートはあくまでも現時点での価格なので、多少の変動があった場合などはご容赦いただきたいです。

S&P500指数 4745から5970 上昇率は約25.8%

まずはS&P500指数から、年初4745前後だったのが5970になっており上昇率は約25.8%

日経 33,300円から39,990円 上昇率は約19.8%

年初33,300円だったのが39,990円で上昇率は約19.8%

ただ、ドル円レートを見ると年初142円だったのが158円まで円安になっています。

ドル円レートの円下落率は約11.27%で、これを考慮すると、日経平均株価のドル建てでの実質的な上昇率は約8.53%になります。

つまり、日経のパフォーマンスは円安の影響により、通貨価値の低下により部分的に相殺され、円建てほどの実質的な利益が出ていないともいえます。

また、日経だけに言えるわけではないですが、言うまでもなく株は金銀と違いリスク資産です。

2024年8月5日日経平均がブラックマンデーを超える暴落したのは記憶に新しいですが、その時の下落率は12.40%でした。

ただこれは直近での下落率であり、7月中旬の最高値42,500円から31,458円への約26%もの下落率です。

あくまでも政府による新NISA、GPIFにブーストや円安で株価が上昇しているだけの資産の割には下落リスクが高く、パフォーマンスが見合っているようには思えませんでした。

金 2065ドル2622ドル 上昇率は27.0%

お待ちかねのゴールドは年初2065ドルだったのが、執筆時点で2622ドル。上昇率は27.0%です。

執筆時点で言えば、を超えるパフォーマンスであり、WSJの記事による「2024年の金のほどパフォーマンスが優れた投資対象は殆どなかった」の通りですね。

金は2010年以来最高の上昇年となり、記録的な年間上昇率を達成しています。

株式などボラリティが高い資産であれば、年27%上昇する個別株などはありますが、金のようなリスクオフ資産でこの上昇率は異常レベルです。

WSJが「ウォール街は、2025年にはさらに価格が上昇すると考えています」と記事に金に対して楽観的な記事をメディアが記事にしているのはやや不気味ですが・・・

とはいえ、こちらの記事で解説しているように金が上昇している根本的理由は、米国財政が2008年のリーマンショックから急激に悪化しているからです。

ゴールドが最高値を更新し続ける”本当の理由”とは?今後も上昇する可能性は高いのか?

今後イーロン・マスクの政府功率省が大幅な財政支出削減を実施するとしていますが、財政赤字を反転させるほどの削減は難しいでしょう。

銀 23.7から29.5 上昇率は24.5%

メインメディアや著名投資家がなぜか触れない銀ですが、金と同じく高いパフォーマンスです。

年初は23.7ドルで執筆時点で29.5ドル。上昇率で言えば24.5%もの上昇です。

また、現在は下落基調ですが最大上昇時は35ドルまで上昇しており、その時点では47.7%もの上昇率でした。

円建て価格は更に上昇している

ドル建てゴールドだけでなく、円建てでも見るべきです。なぜなら

ドルの価値下落=ゴールド価格上昇

ゴールド価格が上昇しているということは、ドルの価値が下落しているとも言えますが、一方で日本円は下落してるドルに対して更に下落してます。

金は通貨下落に対してのリスクヘッジです。

ここでいう通貨下落とは基軸通貨ドルだけではなく、自国通貨下落に対するヘッジも含みます。

ドルが先に急速に下落するか、円が先に下落するか?は分かりませんが、恐らくドルは腐っても基軸通貨です。

ドルよりも先に円が急速に価値減少する可能性が高いでしょう。

円建て金価格 9464円から13404円 上昇率41.6%

円建て金価格は41.6%もの上昇です。

私からすれば、「金を所持することにより、インフレヘッジが出来た」と考えてますが、人によっては41%価格が上昇したので「金はもう高すぎる!」という意見もあるようです。

ただ「高すぎる」という思考の裏側には意図していないにせよ「金は今後安くなる」という、期待があるといえます。

なぜなら、今後金価格が上昇する(通貨価値が下落)と考えているならば、「金はもう高すぎる」などという思考は生まれないからです。

そして、以下は過去26年間の円建て金価格のチャートです。

リーマンショックやパンデミック直後などは大きく下落する場面はあるものの、基本的に大暴落が続いている場面はありません。

果たして今後、金が大暴落することはあるでしょうか?個人的には一時的に暴落する可能性はあると考えてます。

ただ、暴落した時点で金現物が購入できるのか?は疑わしいです。

円建て銀価格 109円から153円 上昇率40.4%

金価格ばかりが注目されますが、円建て銀価格も40%もの上昇です。

現在は銀は産業需要が大半を占めてますので、景気後退が発生すれば金よりも銀の方が下落率は高い可能性が高いです。

過去の記事でも解説してますが、金融危機が発生した際金よりも銀の方が大きく下落してます。

過去の金融危機で金、銀も大暴落した?S&P500と下落率を比較した結果・・・

とはいえ、いつもお伝えしているように銀は6年連続で供給不足が続いており、今後も不足が続くと予想されています。

今後AIや暗号通貨の発展で大量の電力が必要になる→ソーラー発電需要が急拡大

EV車など普及による銀使用量増加で今後も銀は必要になります。

【2024.11】6年連続で銀は供給不足!今後も供給不足は続く?ETFのリスクとは?

銀は全ての金属の中で最も高い導電率を誇り、耐腐食性も銅よりも高いので、高度な電子機器や多くのエネルギーを伝達する為に、ソーラーパネルに大量に使用されます。

そしてこれはあくまでも産業用途での話であり、現在は投資用の現物銀の需要は下落傾向です。

赤線ではなく”純現物投資”の欄を見てください。2024年は208とここ最近の中ではかなり低い数値になっているのがわかります。

つまり、今後インフレが進行し金価格が高くなっていくにつれ投資銀の需要が増加し、更に供給不足が加速する可能性があるということです。

実際、銀の供給不足が発生したのはここ6年間くらいですが、それ以前のリーマンショックや1970年代の金融危機後、銀の価格は供給不足がなかったにもかかわらず暴騰してます。

こちらはリーマンショックが発生する直前の2007年9月からリーマンショックが発生した2008年10月の金価格のチャートです。

リーマンショックが発生したのが2008年10月ですが、その前に2007年9月に金価格は680ドルだったのが、2008年3月に1,000ドルまで高騰しています。

たった半年で約47%もの上昇です。

そしてこちらは銀価格。

同時期に13ドルから21ドルまで上昇しています。上昇率としては約61.5%もの上昇です。

現在の金銀価格はリーマンショック前の暴騰相場に近い?金3270ドル、銀43ドルの可能性はある?

また、1970年代のインフレと景気後退が同時に進行したスタグフレーション相場では、金価格は25倍に大きく暴騰し

銀に関しては更に大きく暴騰し35倍まで上昇しました。

→今の下落相場は1970年代のスタグフレーションに近い?金、銀が暴騰後に暴落した理由。

当時は現在のような供給不足がなかったにも関わらず、インフレから逃れる為に金銀に人々が殺到し暴騰してます。

そして、現在は解説したように6年連続供給不足で、スタグフレーションが迫っています。

もう一つ付け加えるなら、1980年のM2マネーサプライは約1.48兆ドルでしたが、現在は約21.5兆ドルを超えています。(21.5兆ドルを1ドル=150円で換算で3,225兆円)

これはあくまでも米国だけの話であり、世界のマネー量も同様に急激に増加しています。

しかも、これはあくまでもすぐに現金化できるマネーの総量であり、世界の債務額は含まれません。

世界債務額は過去20年間で世界の債務は3倍に膨れ上がっており、322.9兆ドルを超えてます。1ドル150円で換算で4京8435兆円にも登ります。

そして、世界の金融デリバティブ市場の総額は約544兆ドルにも達したとデータも出ています。

https://medium.com/@galaxy_defi/galaxy-protocol-gamm-system-redefining-the-new-standard-for-global-asset-trading-891a75b99054

以前からウォーレン・バフェットはデリバティブを「金融上の大量破壊兵器」と称しています。

バフェット氏:デリバティブは「時限爆弾」-監査をすり抜ける恐れ

バフェット氏は自らが率いる米投資・保険会社バークシャー・ハサウェイの年次株主総会で、デリバティブの「一部はあまりにも複雑なため、評価が極めて難しい」と指摘。「監査人には、これをチェックする能力が必ずしも備わっていないと思われる」と語った。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-05-01/O6HC9J6TTDS301

金融デリバティブ市場の総額や世界債務額は当然、M2マネーには含まれません。

経済が破裂したとき、果たして資金はどこに流入するのでしょうか?

2025年の金銀はどうなる?3つのシナリオ

現在のところ2025年は3つのシナリオを考えています。

2025年金銀はどうなる?3つのシナリオ

1,一旦、金銀も含め市場価格は上昇。その後景気後退で暴落

2,このまま市場価格は下落し景気後退で暴落

3,突発的な金融イベント発生により金銀の価値は上昇

私が現在考えているのは以上の3つのシナリオです。他にもあったような気がしますが。

1,2025年中旬辺りまでは金銀含む市場価格は上昇。その後ハードランディング

1の一度市場価格は上昇し、その後2025年中旬以降にリーマンショックを超える景気後退発生ですべての資産が下落するというシナリオが現実的か?と考えています。

これはデビッド・ハンター氏やEric氏も予想しているシナリオですね。

デビッド・ハンター「2025年半ばに株式は80%下落し、20兆ドル規模の紙幣印刷でインフレ率は25%を超えるだろう」

一旦下落するのであれば、今は売却して現金にした方が良いのでは?と思われるかもしれませんが、2つのリスクを考えてます。

1,景気後退時に現物が手に入らない可能性

2,急速に通貨価値の下落が始まる可能性

今では当たり前のように金銀の現物が購入できますが、リーマンショックを超える破壊的な景気後退が発生した場合に今のように現物が手に入るのか?疑問です。

現時点ではありますが、Eric氏によると香港で最大の『小売用』ゴールド地金銀行に問い合わせたり訪問したが、品薄状態になっているようです。

https://Twitter.com/KingKong9888/status/1874733422394167455

もちろん、ここから普通に買えるように回復する可能性もありますが、本当にちょっとしたキッカケで手に入らなくなる可能性があるということです。

ましてや、リーマンショックを超える景気後退が起きる場合、サプライチェーンの崩壊で個人向け金銀現物が日本に入らなくなることも考えられます。

もう一点は通貨の急速な下落です。

2024年4月、7月上旬に急速に円安が進み一時1ドル160円台突破。歴史的な円安水準に達したのは記憶に新しいです。

当時リアルタイムで見ていた人なら分かると思いますが、本当に急速に円安になったので「このまま200円、300円行ってもおかしくないのでは?」と考える人もいたと思います。

為替介入と「金利上げる上げる」という口先介入によって現在は緩やかな円安になっていますが、170円、180円と円安になってもおかしくありません。

そもそも日本政府からしたら複数の理由で、円安の方がメリットが強いので当然ですが。

2つの理由があり、今後暴落可能性があっても、金銀現物は手放さない方が良いと考えています。

2,経済がハードランディング(金銀も大きく下落)

そして、2のこのまま景気後退の可能性もありえます。

強い経済指標も出ていますが、クレジットカード負債額、延滞率、金利は最高レベルに達しています。

現在の金銀価格はリーマンショック前の暴騰相場に近い?金3270ドル、銀43ドルの可能性はある?

インフレによって資産がある層は消費する余裕があるので、強い経済指標を支え

一方で資産がない層はインフレの物価高で生活が苦しくなり、クレジットカードに頼らざるを得ない状況になっていると思われます。

ハードランディングして金銀が暴落するなら、手放した方が良いのでは?と思われるかもしれません。

ただ、過去の金融危機の事例を見ると、ハードランディング後世界政府は経済を支える為に、大規模な緩和策を実施しています。

過去の金融危機で金、銀も大暴落した?S&P500と下落率を比較した結果・・・

簡単に言ってしまえば世界同時に超大規模なマネーのバラマキが行われるということです。

そして、実際リーマンショック、パンデミック後いずれも金銀価格は上昇しています。

これはパンデミックショック発生後の銀価格ですが、約11.8ドルに暴落後、約29.2ドルに上昇。約147%とすさまじい上昇率です。

更に言えば現在のようなインフレ懸念される場面で、パンデミックショック時レベルの超大規模な緩和は実施されたことはありません。

もし現在のようなインフレ相場時に超大規模な緩和策が実際されれば、一時的には金銀は暴落しますが、インフレによって結局は金銀は上昇すると予想してます。

3,金本位制のような世界的な金融ルール変更?

3つ目の突発的な金融イベントが発生により金銀の価値は上昇は最も可能性が低いと考えていますが、0ではないです。

常々当ブログで発信していますが、米国債務額は36兆ドルまで急速に増加し、GDP債務比は120%を超えています。

債務が増加しようとGDPも増加しているのであれば、持続可能性は高いですが、リーマンショック、パンデミック後のバラマキによりGDPは債務額増加に追いついてません。

詳細は以下の記事で解説しています。

ゴールドが最高値を更新し続ける”本当の理由”とは?今後も上昇する可能性は高いのか?

これは米国だけの話ではなく、世界中で同じ傾向です。正直、どうみても持続不可能です。

米国がデフォルトのするような自体になれば、例え中国やロシア等の非米側すら経済に破壊的な問題がおこります。

であれば、金本位制復活のような世界的な金融ルールの変更が実施される可能性はありえると思います。

まるで陰謀論のような話ですが、1970年ニクソン大統領は突然金本位制を停止し、世界中の金融ルールを変更しました。

もし、1969年に「金本位制は終わりを迎える」と一般人に話したら、陰謀論扱いされ鼻で笑われるでしょう。

またトランプ氏が大統領1期時にFRB理事に指名し、経済顧問としても活動じていたジュディ・シェルトン氏はXのポストで「金とペッグした米国債」について語っています。

ジュディ・シェルトン氏 50年満期のゴールド担保国債について語る🔥🔥
「私が提案するのは、トランプ大統領がアメリカ合衆国財務省に対して、2026年7月4日から50年満期のゴールド担保国債を発行するように認めることです。

この日は私たちの国にとって重要な日になるでしょう。
そして、この国債は、2076年7月4日、建国300周年の日に満期を迎えます。

この国債は、保有者が選択すれば金に転換できるようにすべきだと考えています。

まず第一に、私たちは26,100万オンスの金をその債券の担保として利用します。
それは53年間、ほとんど手をつけられていません。
現在、その金は帳簿上で110億ドルとされていますが、すでに7000億ドルの利益が生まれています。

それを市場価値で評価したいのであれば、その利益を取り入れるべきです。

しかし、それだけではなく、この金に転換可能な米ドルの債券を通じて、私たちの通貨を金のように信頼できるものとして復活させ、通貨の健全性を回復することが目標です。」

「2026年7月4日から50年満期のゴールド担保国債を発行するように認めることです。」と語っています。

そして、トランプ氏はイーロン・マスクを政府債務削減の為に、政府効率省を立ち上げましたが、2026年7月4日までに結果を出すと表明しています。

日付が2026年7月4日と全く一緒なのは偶然でしょうか?

問:1971年、ニクソンが金本位制を廃止しました。2024年にそれを復活させる?

シェルトン氏「そんな感じですね。でも2026年になるかもしれません。お楽しみに。」

個人的な意見ですがシェルトン氏の発言から察するに、何か水面下で動いている気はします。

検討違いの可能性もありますが、どのシナリオに進んでも結局は金銀を持っていることが最善になりそうですね。

いずれにせよ、今後数年間は本当に何が起こるか分かりませんね。

現在の金銀価格はリーマンショック前の暴騰相場に近い?金3270ドル、銀43ドルの可能性はある?

トランプ氏「BRICS通貨創設や脱ドルは100%の関税」脱ドルが止まらない4つの理由とは?

次期米財務長官スコット・ベッセント氏「金は私の最大のポジションである」しかし金が下落した3つの理由は?

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