
目次
1,ゴールド、シルバーに関するニュース等
1,金、銀価格は上下
今週の金銀の動きはジェットコースターのようが上下相場でした。
まず中国の金購入再開、中国の来年の緩和発表により金は高騰。
そして、その後の米国の経済指標が強い数値が発表され、インフレ的→利回り上昇→市場価格下落というように動いてます。
銀に関しても同じような動きですね。
PPI(生産者物価指数)が予想を上回るデータが出たので、インフレが懸念されています。
PPI(前月比): 0.4%(予想: 0.2%)
PPIコア(前月比): 0.2%(予想: 0.2%)
PPI(前年比): 3.4%(予想: 3.2%)
PPIコア(前年比): 3.0%(予想: 2.6%)
過去1週間で米国債利回りも急騰しています。10日には4.12%だったのが現在は4.4%を超えるほどの急上昇です。
当然、金利上昇は金利の付かない金や銀などにとっては相対的にマイナスになるので、価格が大きく下落するというわけです。
しかし気になるのは金利は上昇しているのに、市場の利下げ可能性は現在98%を超えている点です。
通常、中央銀行が利下げを行うと債券価格は上昇し、利回りは低下する傾向があります。
市場が利下げを予想しているのであれば、利回りも低下するはずですが逆に利回りが上昇しているということです。
恐らくFRBが利下げを行うことで、「将来的なインフレが高まる」と市場が予想している可能性があります。
インフレが高まると債券の実質的な価値が低下するため、投資家はより高い利回りを要求するようになります。
また、以前よりトランプ大統領は関税など経済政策を発表してますが、これらはインフレ的であるというのが市場の認識です。
→トランプ氏「BRICS通貨創設や脱ドルは100%の関税」脱ドルが止まらない4つの理由とは?
経済指標は強いのにFRBは利下げをする(来年の関税なども合わせて)
↓
インフレが再燃する
↓
インフレ率より利回りが低いなら債券を売却
↓
債券利回り上昇
↓
金銀価格も下落
既に経済指標は強いのにも関わらず、FRB利下げ&トランプ氏の経済政策により来年はインフレがより加速するかもしれない
ということです。
2,CMEが1月13日に1オンス金先物契約を発表。現物需要抑制が目的?
CMEグループは、金地金価格が記録的な高騰を見せる中、個人投資家からの需要の高まりに応えるため、1月に1オンスの金先物取引を開始する。
1オンス契約は「市場参入障壁を下げる素晴らしい方法だ」とCMEの金属部門グローバル責任者、ジン・ヘニング氏はインタビューで語った。
「当社の顧客層も若くなってきている。実現可能性がずっと高まる」
ただこの新しい1オンス契約は、物理的な金の取引需要を減少させ、
より「紙市場(ペーパーマーケット)」に資金を誘導する意図している可能性が高い
というのが海外貴金属投資家の間で共通認識になっています。
なぜこの新しい1オンス金先物契約が「現物からの需要を奪うように設計されている」という考えが出ているのか?
1つは現金決済のみであることです。
通常の金先物契約では、
フル(100オンス)、E-mini(50オンス)E-micro(10トロイオンス)などありますが、最小でも10オンスです。
そしてこれらは満期時に現物の金地金を受け取ることができます。
しかし、この新しい1オンス契約では満期時に現金で差額が決済されるため、現物の金を手に入れることはできません。
現物の金地金等購入する場合、現物プレミアムがあるので同じ1オンス投資するにも、先物価格よりも高くなります。
そして、先物取引はわざわざ現物を保管する手間や、売買する時の煩わしさ、レバレッジ取引などオプション取引があります。
従来最低10オンスからの参入だったのが、1オンスからでも気軽に投資が始められると、先物取引で金を購入する投資家も一定数いるでしょう。
つまり、先物取引と言いつつペーパー上の取引だということです。
私が参考にさせて頂いている、SemperVigilant1さんの指摘です。
CME が新しい 1オンスの金契約について示しているのがこれです。
このことから、他の月には契約がないと推測します。繰り返しますが、これは現金決済です。
配達を受けても実際の金貨は手に入りません。
これらの月は100オンス契約の有効な受渡月と正確に一致します。
多くの人が言っていますが、これは、この契約が物理的な需要を奪うように設計されているという考えを強めるものだと思います。
3,金のEFPが先週から100%以上増加
金のEFP(先物-現物交換スプレッド)は+60ドル、銀は+1.05ドル。これは先週から100%以上も上昇しています。非常に深刻な状況です。
誰かが大量の地金(大規模な現物)を取得しています。
これにより、ミント(造幣所)は大きな打撃を受ける可能性があります。
特に、1000オンスの銀地金の調達コストが急上昇しているためです。一方で、小売市場ではIRA(個人退職口座)の清算シーズンのために貴金属を売却する動きが見られます。また、小売業者間では、減少している小売顧客を巡るプレミアム競争が激化しています
EFP(Exchange for Physical)とは、先物契約を現物に交換する取引のことです。
少し難しい概念ですが先物ポジションそのものを現物と交換する=EFP、先物ポジションを現物資産と交換することで決済する仕組みです。
EFPが上昇するということは、物理的な金や銀を求める市場の動きが強まっており、これは投資家が現物を手に入れようとする動きが活発化していることを意味します。
この投稿では、金のEFPが$60、銀のEFPが$1.05となっており、これは先週から100%以上の増加を示しています。
この急上昇は、物理的な金や銀の需要が急増している可能性があると示唆しています。
https://x.com/SemperVigilant1/status/1866955076180607075
4,ニューヨークの金と銀の先物価格が急上昇 トランプ氏が提案した包括的関税措置に貴金属が含まれる可能性
トランプ氏が関税をかけると各国に牽制しているのはご存知かと思います。
もし本当に関税をかけた場合、金や銀の輸入価格に影響する可能性があり、貴金属のショートポジションを持っている投資家らは損失を受ける可能性が出てきました。
ショートポジションを解消しようとする銀行や投資ファンドが、損失を防ぐ為にCOMEXの先物を購入し、ロンドン市場で売却することで価格を押し上げたとされています。
トランプ関税リスクで金・銀価格が急騰、ニューヨーク価格も急騰
以前より、大手銀行は銀に対して大量のショートポジションを保有しているのは、貴金属投資家の間では有名です。
先月は海外Yahooニュースですら、”銀行が抱える銀のショートポジションで巨額の損失が出ている”と報道されています。
米国の5つの銀行が、銀価格の急上昇により巨額の損失に直面
銀価格が大幅に上昇し、6%以上の上昇で1オンスあたり33.6ドルを超えました。
この予想外の急騰により、銀の大規模なショートポジションを保有している米国の5つの銀行が多額の損失のリスクにさらされています。
商品先物取引委員会(CFTC)の報告によると、銀先物契約の未決済建玉は141,580契約に達しており、各契約は5,000オンスを表しています。
この量は約7億790万オンスに相当し、これは世界の年間銀生産量にほぼ匹敵します。銀価格が1オンスあたり1.84ドル上昇したことで、これらのショートポジションは現在、13億ドルの損失と推定されています。
https://finance.yahoo.com/news/five-us-banks-face-billions-180018774.html
こちらに関してもbob氏が解説してくれています。
https://x.com/profitsplusid/status/1864701658124702127
ちょっと長くて難解ですが要約したのがこちらです↓
1. 関税が金と銀の価格に影響を与える可能性:
トランプ関税が金や銀の主要生産国(メキシコ、カナダ、オーストラリア、中国)からの輸入に関税を課すことが、金と銀の価格に影響を与える可能性がある。
2. 関税の影響を受けるのは、過去に製造された金属も含む:
関税は新しい金属だけでなく、過去に製造された金や銀のバーにも適用される可能性がある。そのため、他国で保管されている古いバーも関税の対象になる可能性がある。
3. ショートポジションの解消に関税が影響:
ショートセラーは、ポジションを解消するために金や銀を納品するか、買い戻さなければならない。関税が課されると納品コストが増加し、ショートポジションの解消が経済的に困難になる。
3.ショートポジション解消の為、貴金属先物を買い戻す
関税が適用されると、空売りをしている投資家がポジションを買い戻すことが増える。
4. EFPプレミアムの急騰:
先物価格とスポット価格の乖離が進むと、EFP取引を通じて安価な現物を取得する動きがでる。
その結果EFP(現物交換)プレミアムが急騰。これが続けば金や銀のスポット価格に影響を与える可能性がある。
5.ショートスクイーズが発生する可能性:
他のショートポジションを持つ投資家が同じように買い戻しを強いられ、さらに価格がする可能性。
関税の影響で輸入コストが上昇し、貴金属価格が高騰している。
その結果、ショートポジションの解消が困難となり、投資家がEFP取引を通じてポジションを調整しようとする動きが増え、EFPプレミアムと先物価格が高騰している。
ということです。
5,金と銀がフロリダ州の公式通貨になる可能性
フロリダ州の最高財務責任者ジミー・パトロニス氏は、水曜日に金と銀をフロリダ州で法定通貨として使用できるかどうかを調査するための研究を開始すると発表しました。
金と銀については、インフレ対策だけでなく、次のような税金免除の条件も設けられる予定です:
- 金と銀の地金は個人財産として課税されない。
- 金と銀の購入や販売は州税の課税対象にはならない。
- 一種類の法定通貨(ドル)を別のものに交換することは、州税の課税対象にはならない。
こういった話はフェイク系が多いですが、どうやら話自体は本当のようです。
まだ決まったわけではありませんが、米国の各州で金銀を法定通貨としてみなすような動きが活発化しているように見えます。
6,テキサス州は法定通貨に対抗する金と銀に裏付けされた通貨を提案
テキサス州の議員が、可決されれば、基礎となる資産によって100%裏付けられた、金銀裏付けの取引通貨を創設し、州内で法定通貨として機能する2つの法案を提出しました。
この通貨は金銀地金によって100%裏付けられ、物理的な硬貨と電子的な取引の両方で使用可能となる。
この法案が可決されれば、テキサス州民は日常の取引で金銀を使用できるようになり、不換紙幣の購買力低下から身を守る手段となる可能性がある。
そもそも米国憲法第1条第10項には、「いかなる州も…金銀貨幣以外のものを債務の支払いにおける法定通貨としてはならない」と定められています。
これについて、トランプ大統領は自身のSNSで呟いています。
”合衆国憲法の第1条第10節第1項
州は通貨を鋳造したり、紙幣を発行したりすることができません。
また、金貨や銀貨以外のものを法定通貨として定めることもできません。”
https://truthsocial.com/@realDonaldTrump/posts/112000466423425620
余談ですがこういうものはフェイクが多いので「本当に呟いているのか?」「本当に本人なのか?」チェックした方が良いです。
わざわざこのような発言を投稿しているというのは、何かあると思います。
以前から言ってる予想ですが、暗号通貨×金銀など裏付けするような通貨を考えているのかもしれません。
今回のテキサス州の「この通貨は金銀地金によって100%裏付けられ、物理的な硬貨と電子的な取引の両方で使用可能となる。」の文言に一致しますし、
ジュディ・シェルトン氏は「金に裏付けられた通貨のアイデアが好きです。それは暗号通貨のような形でも実現できるかもしれません。」と発言しています。
https://x.com/GoldTelegraph_/status/1262903471436677122
シェルトン氏は金本位制支持の方で、トランプ第一期大統領時にトランプ氏自身がFed理事に指名した人物です。上院は47対50で指名阻止しました。
最近急にトランプ氏など米国でビットコインを推しているのは、こういった暗号通貨を普及させるための前段階なのではないか?と。
→米国上院議員,FRBの金を再評価&100万ビットコイン購入する法案を提出した意図は?
現時点での考察ですし、当然的外れの可能性もありますが、いずれにしろ金や銀価格が上昇するというファンダメンタルズに変わりないです。
→ゴールドが最高値を更新し続ける”本当の理由”とは?今後も上昇する可能性は高いのか?
7,ING、2025年のコモディティ市場は低迷も金(ゴールド)の見通しは明るい
「2025年のコモディティ市場は、比較的安定した供給と需要のバランスにより、全体的に低迷すると見ています」
金(ゴールド)は、地政学的な懸念から今年に続いて記録的な高値を更新し続けるとINGは予測しており、2025年の平均価格は1オンスあたり2,760ドルに達すると見込まれています
2025年の平均価格は1オンスあたり2,760ドルとは随分低い見積もりに感じますが、上昇する事自体は否定できないということでしょうか。
8,エルサルバドルで3兆ドル相当の金鉱脈が発見されるが…
エルサルバドル ナジブ・ブケレ大統領は、電気自動車に不可欠な材料であるコバルト、ニッケル、リチウムの鉱床とともにこの発見を発表した。
ブケレ大統領はまた、これまで実施されていた採掘禁止措置を解除すると述べた。
Source for El Salvador Gold claim - from President Bukele. pic.twitter.com/OvJEhuaCr4
— Legitimate Targets (@LegitTargets) December 9, 2024
世界の金の時価総額は約18兆ドルです。
もし報道が正しければ、エルサルバドルの発見により世界の供給量が16.6%増加し、金価格の下落につながる可能性があります。
発表されたのが、ちょうど金価格が上昇しているタイミングだったので、「金価格を下げる為の策では?」というのが海外投資家らの認識のようです。
「オレの家の床下でも金鉱が見つかったぜ!掘ってないけど信じてくれ」などなど揶揄するポストが多いですね。
🤠 ワイマール・シルバー・バロン 🤠
@BankerWeimar
ウガンダが数年前に13兆ドルの金を発見したことを忘れないでください!だから今、彼らは地球上で最も裕福な国の一つになったんです。
掘削すらしていません。ちょっと地磁気や化学的サンプルを取って…あとは外挿するだけです。
#金鉱採掘は簡単だ!
実際はどうなのか?は分かりませんが、金鉱が見つかったからと言って即座に金塊が手元に増えるわけではありません。
金鉱が見つかってから、
探査・調査: 金鉱の存在が確認された後、その規模、品位(金の含有量)、埋蔵量などを詳細に調査します。地質調査、ボーリング調査、サンプル分析などが行われ、採掘の経済性を評価します。
この段階に数年から十数年かかる場合があります。
この他にも
採掘権の取得
環境影響評価
採掘計画の策定
インフラ整備
などなど採掘開始されるまでに早くても数年。遅ければ10年以上はかかるとされています。
また、採掘が開始されたとしても、金がどの程度年間採掘できるか?は分かりません。一度に18兆ドル分の金が手元に届くわけではないです。
また、2022年にもウガンダで「3100万トンの金鉱石」発見というのが話題になりましたが、
あくまでも金鉱石なので、そこから抽出される金はまた少なくなります。
世界平均の金鉱石の金含有率は1トンあたり1〜5グラム程度(品位0.0001%〜0.0005%)です。
何グラムで計算されたかは分かりませんが、3100万トンの金鉱石が発見された時は13兆ドル分の金だ!と話題になったのですが、現在も採掘は開始すらされていません。
そんなものです。
9,LBMAからたった3日で910万オンスの銀現物が引き出された
大量の銀が市場から引き出されると、供給が減り価格が上昇する可能性があります。
急いで現物を引き出す動きはやはり、トランプ氏の関税が貴金属にも及ぶことを予想しているのでしょうか?
他にもいろいろ情報はあったのですが、最近金銀関連、経済合わせると情報が多すぎて全部カバーしきれません。
→マイケル・セイラー氏「米国の金を全部売ってビットコインを買え!」で炎上。BTCが金の代わりにならない理由とは?
→【2024年版】銀が600ドル(20倍~)を超える?価格上昇する8つの根拠とは?
→トランプ氏「BRICS通貨創設や脱ドルは100%の関税」脱ドルが止まらない4つの理由とは?
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